2012年7月17日火曜日

■中国人富裕層狙え…北朝鮮、外貨獲得へ観光ルート次々


中国人富裕層狙え…北朝鮮、外貨獲得へ観光ルート次々
http://www.asahi.com/special/08001/TKY201207160510.html
2012年7月17日0時20分

 北朝鮮が中国からの旅行者を受け入れる動きを強めている。鉄道や飛行機で入国する新たな観光ルートを相次いで開設し、政府の担当者も訪中して市場動向を調査する。狙いは観光業による外貨の獲得だ。ただ、携帯品の制限などもあり、そのまま「対外開放」につながるかは見通せない。

 北朝鮮旅行の手続きを担う複数の中国の旅行社によると、北朝鮮観光は北京や瀋陽、ハルビンなどから空路で平壌に入るルートと、鉄道や自家用車、徒歩で国境を越える方法がある。

 ハルビン発のチャーター便が開通したのは4月下旬。ハルビンの旅行社は「毎日20~30件の問い合わせがあり、手応えはよい。北朝鮮は特別な国。投資環境を見ようと商用視察を兼ねた旅行も多い」という。

 陸路でも昨年、吉林省図們から鉄道で入国して北東部の清津や七宝山を訪問するコースや、同省琿春から自家用車で羅先に向かうツアーが始まった。図們の旅行社は「毎週1度のツアーだが、毎回100人近い参加がある。両国の歴史に特別な思いを抱く高齢者の参加が多い」と話す。

 いずれのコースも主に中国人の富裕層を当て込む。中国の人民元が現地で直接使用でき、平壌でゴルフプレーを楽しむことを売りにするコースも登場した。

 中国の中朝関係の研究者によると、北朝鮮で観光旅行を担当する政府職員が定期的に吉林省などを訪れ、市場調査も始めたという。北朝鮮の旅行業者は朝日新聞の取材に「旅行ルートの増設は外貨を得るため。投資が少なくて済むので効率的だ」と語った。

 ただ、ツアーはすべて団体旅行で、費用は現地の物価を考えると割高感は否めない。自由行動が制限され、大型カメラや望遠鏡、携帯電話、録音機や韓国の食品や印刷物も持ち込めないとの制約もある。

 同研究者は「旅行業にかける北朝鮮の熱意は感じるが、開放がほかの分野に拡大するのかはまだ判断できない」と話す。



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