2012年7月23日月曜日

■なぜ中国人消費者は安い商品を好まないのか―大型TVを実例に


なぜ中国人消費者は安い商品を好まないのか―大型TVを実例に
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0723&f=column_0723_023.shtml
2012/07/23(月) 09:57

中国インターネット調査 コンジョイント分析(ACA)の事例 第2回

(1)低価格商品を好まない中国人の心を読み解く
 中国消費者の大型テレビに対する志向性を把握する調査で、最も重要視されているのが「価格」で、価格帯の中で最も好まれているのが「3001-5000元」であることが明らかになった。また、「ブランド」も重要度は高いが、効用値(好みの度合い)が最も高かったのが「ソニー」で、次いで「シャープ」「サムスン」と続いた。

 これは、中国消費者に対するインターネット調査で、コンジョイント分析(ACA)の手法を通じて割り出された調査結果。2012年6月に行われ、有効回答数は433人。サーチナ総合研究所(上海サーチナ)が企画、設計、実査した。

 なお、コンジョイント分析は、いくつかの特徴を組み合わせたプロファイル(仮想の商品)を回答者に提示し、比較検討してもらう調査手法。属性の重要度を直接尋ねるアンケート方法と異なり、実際の商品選択により近く、信頼性の高い結果を得られやすい。

 調査によれば、各属性の重要度は次のようになった。

価格:31.02985
ブランド:25.15122
特徴:24.18791
サイズ:19.63103

 この結果から、中国人消費者の大型テレビを選ぶ際、最も重視しているのが「価格」であり、最も重視していないものが「サイズ」であることが分かる。


(2)なぜ中国人消費者は安い商品を好まないのか
 「価格」の効用値のなかで最も高かったのが「3001-5000元」。大型テレビの比較検討において、中国ではこの価格帯が最も好まれていることが明らかとなったが、注目すべきは、「3001-5000元」の効用値が「3000元以下」よりも高い点。なぜ「3001-5000元」のほうが「3000元以下」よりも好まれるのか。

 原因の一つとして挙げられるのが、価格が持つ「品質シグナル」としての機能。一般的に、品質に関する情報が不十分である場合、消費者は価格を“品質を示すバロメータ”にすることが多い。そうした場合、価格の低下は消費者のネガティブな反応を引き起こすことがある(マクゴルドリック(McGoldrick)他,1987)。

 現在、中国メーカーが次々に低価格帯テレビを市場に投入しているが、消費者側がそれら低価格帯テレビの品質に関する情報を十分に持ち合わせていない場合、中国人消費者は「低価格」という情報から、品質に関してマイナスのシグナルを読み取る可能性がある。マイナスのシグナルを読み取った消費者は、その商品に対して警戒感を強め、購入をためらうことになる。

 第1回目で紹介した「スマートフォンに関する調査」では、こうした現象がより顕著に見られる。スマートフォンの「価格」の効用値の中で最も高かったのが「1500-2000元」だが、価格帯が安くなるほど、効用値が下がっている。


<スマートフォンに関する調査における「価格」の効用値>
500元未満:-16.86902
500-1000元:-1.04446
1000-1500元:15.00908
1500-2000元:19.85584
2000-2500元:14.03131
2500-3000元:8.13203
3000-3500元:-4.17283
3500-4000元:-12.17776
4001元以上:-22.76419


 コンジョイント分析においては、効用値がプラスの場合、「より好まれる」ことを表し、マイナスの場合は「より好まれない」ことを表すのだが、スマートフォンの「500元未満」および「500-1000元」の効用値はマイナスとなっている。中国人消費者は、「500元未満」および「500-1000元」のスマートフォンを好んでいないことが分かる。

 商品価格が下がるほど消費者に好まれなくなる現象は、中国では他の業界においても見られる。


(3)「70インチ以上」の大型テレビは好まれない
 「ブランド」について見てみると、「ソニー」「シャープ」「サムスン」の順で効用値が高く、いずれもプラスの数値となっている。一方、中国ブランドの「スカイワース」と「ハイセンス」はマイナスとなっている。このことから、海外ブランドに対する好みの強さが伺える。

 「特徴」の重要度は、「ブランド」に次いで高くなった。「特徴」のなかで効用値が高いのが「節電性能が高い」と「ハイビジョン」。一方、「外観デザインがクール」という点に関しては、効用値が最も低くなっている。

 「サイズ」では、「54インチ以下」と「70インチ以上」の効用値がマイナスとなっている。つまり、サイズが大きすぎても、小さすぎても、好まれない。中国人消費者は単に大きいものを選ぶのではなく、住まいの環境に合ったサイズを求める傾向があると推測できる。



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