2012年7月16日月曜日

■【大阪】B級グルメで町おこし「これぞ堺」育ててみせる


【大阪】B級グルメで町おこし「これぞ堺」育ててみせる
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/surprise/20120715-OYT8T00312.htm?from=os2
(2012年7月15日  読売新聞)

 「大阪のおまけという感じ」「堺屋太一と何か関係あったかな」。大阪府堺市が首都圏で堺のイメージを聞いたところ、辛辣な感想が返ってきた。「堺ブランドを構築して、知名度を高めなければ」。一念発起した市は事業者に呼び掛けて名産品づくりを進め、明石焼きならぬ「堺焼」など4商品が完成。果たして、全国区の人気を獲得することができるだろうか――。

 堺には、和菓子や打刃物など様々な特産品があるが、全国での認知度は今ひとつ。市が昨年、無作為で選んだ首都圏の20~60歳代の男女12人に行ったインタビューでは、堺の特産品について「華やかさがない」「よそに同じようなもので有名なものがある」など厳しい回答だった。


 このため、市は、中小企業や個人事業者が堺の「資源」を生かして開発した商品に対し、100万円を上限に補助する「堺発!売れる名品づくり」支援事業を実施。広告の専門家らを事業者に派遣し、パッケージのデザインや消費者のニーズをつかむマーケティングについてアドバイスしてもらった。

 「堺焼」は、たこ焼き店「元祖たこ昌」(大阪市中央区)と、穴子加工会社「松井泉」(堺市堺区)が共同で開発。明石焼きのタコの代わりに穴子を使い、冷凍での長期保存もできる。

 堺の出島地区は明治から昭和初期にかけて穴子のはえ縄漁が盛んで、かつては〈下関のふぐ 堺の穴子〉と呼ばれたほどの名産地だった。臨海開発で漁獲量が激減したが、松井泉では今も焼き穴子を出荷。深夜、串に刺した穴子を白焼きにし、特製のタレに漬け込んで焼き上げる昔ながらの製法を守る。

 松井利行社長は「厳選した穴子と、明石焼きで使うたまごの相性は抜群。う巻きのように上品な風味に仕上がった。堺の食文化である穴子を気軽に味わってほしい」と話す。商品は、たこ昌の店舗のほか、関西空港やJR新大阪駅などで販売。インターネット販売もしている。

 また、1868年(明治元年)創業の和菓子店「河合堂慶長」(堺市西区)と、1850年(嘉永3年)創業の製茶会社「つぼ市製茶本舗」(高石市)の二つの老舗は、「堺利休餅」を共同で作った。

 堺は茶人・千利休(1522~91)の出身地でもあり、茶の湯に不可欠な和菓子作りが古くから盛ん。茶の品質を見極める茶鑑定士でもある谷本順一・つぼ市製茶本舗社長が厳選した国産抹茶を練り込んだあんを、柔らかなもちで丁寧に包み込んだ。食べる際に抹茶パウダーをふりかける。「利休と言えば茶、茶といえば堺。それぞれのイメージを結びつけてもらえれば」と谷本社長。添加物を使っていないため賞味期限が短く、試験販売段階だが、今後、本格的な販売を目指す。

 このほか、堺打刃物製造業「森本刃物製作所」(堺市堺区)が、包丁と同じ工程でペーパーナイフ「紙切包丁」を製作。漬物メーカー「堺共同漬物」(堺市中区)は、たくあん漬けで知られ、南宗寺(同市堺区)の住職だった沢庵和尚にちなみ、なにわ伝統野菜・田辺大根のキムチ漬け「堺のたくわえ漬け」を開発した。

 市では今年度、さらに商品を増やし、将来は20商品前後にするという。全国的な販路の開拓も進めたい考えだ。(南省至)



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