2012年7月2日月曜日

■【コラム】スペインの住宅バブル、日本と酷似


【コラム】スペインの住宅バブル、日本と酷似
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/07/01/2012070100113.html
2012/07/01 09:59 朝鮮日報

 地中海に面し、コスタ・デル・ソル(太陽海岸)と呼ばれるスペインのマラガは、欧州人に人気の観光都市だ。2010年2月、マラガの海岸を車で1時間ほど走ったことがある。海辺から山の尾根まで3-4階建ての住宅が建ち並んでいた。しかし、住宅街に入っていくと、半分程度が空き家だった。工事が中断され、長い間放置されたまま、雑草が生い茂っている物件もあった。しかし、現地人は「外国人による需要が高いので心配していない」と平然とした様子だった。住宅価格が下落すれば、これまで高くて手が出なかったドイツ、英国などの人々が定年後の住宅として購入するようになるとの論理だ。自信満々だったスペインは結局、金融支援を受けるなど、債務不履行(デフォルト)の危機に直面した。

 スペインの危機は、典型的な日本型の不動産バブル崩壊だ。スペインでは過去10年間で住宅価格がほぼ3倍に値上がりした。新築住宅戸数は、1990年代の年間20万戸から2000年代には70万戸に増えた。人口4000万人のスペインが英国(6000万人)、ドイツ(8300万人)、フランス(6400万人)の合計を上回る住宅を建てたといわれるほどの不動産ブームが起きた。スペインはれんがを輸入し、外国人の建設労働者も押し寄せた。

 スペインの住宅建設ブームは、欧州統合が引き金だった。国境が事実上なくなり、裕福な英国人、ドイツ人が定年後に住むため、スペインの住宅を購入するのではないかというばら色の観測があふれた。もう一つの要因は利下げだ。ドイツの大手銀行がスペインの銀行に資金を融通し、貸出金利は10%台から3-4%台に低下した。この資金の大半は、製造業ではなく、住宅に投資された。スペインの銀行の不良債権は半分が不動産関連だ。投資は雇用の30%を建設部門が占めた。

 スペインをめぐっては、2008年のリーマン・ショック以降、危機説がささやかれてきた。しかし、すぐに白旗を揚げたアイスランドやアイルランドと異なり、スペインがこれまで持ちこたえてきたのは、1990年代の日本の銀行と同様、いつかは回復するとの期待から、不良債権処理を先送りしてきたためだ。日本の銀行は不動産価格が暴落すると、粉飾会計でやり過ごそうとしたが、6-7年後に破綻に至った。

 しかし、日本とスペインには決定的な違いがある。輸出大国の日本は、負債の大部分が国内資金という点だ。一方、観光産業が主力のスペインは、銀行融資の相当部分を海外からの借り入れでまかなっている。日本は輸出で稼いだ資金で低金利政策を取り、公共工事で建設景気をてこ入れし、失業率を4-5%に抑えた。それでも、不動産価格は20年前の半分程度だ。しかし、スペインは政府自体が債務不履行の危機に直面し、景気対策を取る能力もない。国債利回りは7%まで上昇した。高金利に20%を超える失業率で、住宅価格は下落が続き、銀行の不良債権は膨らむ一方だ。

 20年前の日本は「不動産バブルは必ずはじける」という教訓を残したが、スペインは「われわれは違う」と考え、自ら危機を招いた。韓国でも住宅価格の下落が目立っている。不動産融資で貯蓄銀行が次々と破綻している。韓国政府も「日本とは根本的に異なり、規制を緩和すれば、需要が回復する」として、過去の政策や思考から脱却できずにいる。根本的に発想の転換が求められている。



0 件のコメント:

コメントを投稿