パンダの故郷・成都が観光都市に 旅行業界注目、国際線も続々就航
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120707/biz12070707430001-n1.htm
2012.7.7 07:39
中国四川省成都の郊外にあるパンダ繁育研究基地のパンダの記念撮影
24年ぶりという東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」の出産から一夜明けた6日、喜びは列島中に広まり、地元では観光誘致への期待が高まる。でも、パンダを特別な観光資産として持ち上げているのは日本だけではない。パンダの故郷とされる中国四川省の省都・成都を訪れ、観光都市への発展の期待を一身に背負う、愛らしい“観光大使”を取材した。
記念撮影は1000元
成都市街から車で約2時間半の山村にある「成都パンダ繁育研究基地」。60頭を超えるジャイアントパンダを保有し、保護や育成、研究を行っている。表向きは観光目的の施設ではないというが、入場料118元(約1480円、シャトルバス代含む)を払えば、観光客も入場できる。
「フン、フン、フン」。鼻息が聞こえるほど距離は近い。腰の高さほどの透明の柵はあるものの、手を伸ばせば届きそうだ。コアラのように木に登ったり、バリバリと音を立てて笹や竹を食べる様子も間近で見られる。1日飼育員体験を楽しめるオプションもあるという。
なかでも旅行業界が目玉のアクティビティーとして宣伝しているのは、2歳の子パンダとの記念撮影だ。料金は1人1000元(6月末時点)と安くはないが、欧米から訪れた家族連れらで、あっというまに行列ができた。
記念撮影を楽しむ子供たちは、係員に促されて、青色のビニール製のフードをかぶり、手袋や靴カバーをつけさせられた。そしていよいよ「子パンダさま」と対面。白い部分が少し茶色っぽく汚れてみえるものの、ベンチにどっしりと腰を掛け、おとなしくシャッターに収まる姿は愛嬌(あいきょう)がある。無邪気にポーズをとる子供たちに構わず、わずか20秒後には係員の「次」の声で撮影は終了した。
「料金はパンダ研究に寄付される」。観光ガイドはそう説明する。7~8月はパンダの出産期といい、このガイドが昨年施設を訪れたときは、生まれて間もない10頭の赤ちゃんパンダがずらりと並ぶ光景が見物できたという。
魅力の世界遺産
6月27日午後、ベトナム航空のハノイ-成都線の第1便が成都双流国際空港に到着した。ベトナム航空にとって、観光都市として発展する成都便の就航は悲願で、ホーチミン支店で営業トップだったカオ・アイン・ソンさんを成都支店長に充てた。ソンさんは「ベトナムを訪れる観光客は増えているが、成都便の開設で、その観光客に、もう一つの旅のオプションを提供できる」と胸を張った。航空業界では、将来の観光都市としての発展を見込んで、成都便の開設を競う動きが加速しており、日本でも、全日本空輸が昨年6月に直行便を就航した。
観光地として人気の高い北京や上海に比べても、成都には自然を満喫できる観光資産が多い。ユネスコの世界遺産にも登録されている九寨溝(きゅうさいこう)は、カルスト地形で、淡水の美しい湖水地帯。峨眉山(がびさん)は、中国四大仏教名山の一つで、ロープウエーで標高3076メートルの山頂まで登ったり、天気が良ければ遊覧船で全景を楽しむことができる。
世界遺産めぐりは、すでに中高年の観光客をターゲットに日本でも多くの旅行商品が売り出されている。マーボー豆腐や担担麺などの四川料理も知られており、観光都市として発展する条件は整う。「パンダは若者や家族層に客層を広げるキラーコンテンツ」(JTB)といい、上野の赤ちゃん誕生で、パンダの故郷もますます脚光を浴びそうだ。
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