2012年7月20日金曜日

■【コラム】韓国が無視する韓国音楽


【コラム】韓国が無視する韓国音楽
http://japanese.joins.com/article/890/155890.html?servcode=100&sectcode=120
2012年07月19日17時04分 [ⓒ 中央SUNDAY]

  私は音楽好きだ。 10歳の時にギターを弾き始め、14歳の時に髪を肩まで伸ばした。 モップのように滑稽なスタイルで、母や先生はひどく嫌った。 大人は正しかった。 少なくとも私にはその頭が似合っていなかったからだ。 不幸にも女の子も大人と同じ考えだった。

  私の髪は今は短い。 以前のように熱心にギターを練習したりもしない。 その代わり音楽を聴いて代理満足している。 余裕があれば弘大を行って音楽に浸る。

  弘大の音楽は「インディー」または「アンダーグラウンド」に分類されたりする。 韓国では「インディー」の定義が「芸術家が自分で曲を作って楽器を演奏し、ダンスは踊らない音楽」のようだ。 この1、2年間、弘大のインディーズバンドが主流音楽界に入るケースがかなりあった。 しかし相変わらず弘大のバンドは十分に尊敬を受けていないようだ。

  西欧のバンドが来韓すれば話は変わる。 レディオヘッドの韓国コンサートのチケットは非常に高価だが、よく売れた。 レディオヘッドは実験的な曲を選択するはずで、率直に言うとそれほど大したことがない最近の曲を演奏する雰囲気だ。 はっきりしているのは、彼らが仁川空港を出る時はより金持ちになっているという点だ。

  韓国のインディーズバンドは自国でこうした待遇を受けられないという事実が悲しくはないだろうか。外国バンドを見るためには10万ウォンを惜しまずに出し、相当な実力を持つ韓国のバンドの公演には1万ウォンももったいないという心理はどういうものなのか。皮肉にも私が韓国インディーズバンドを見に行けば、いつも観客席には多くの外国人がいる。

  韓国人音楽家の曲のダウンロードも示唆する点が多い。 1曲をダウンロードするのにわずか60ウォン(4円)だ。 ほとんど無料だ。 日本は1曲のダウンロードに2000ウォンほどかかる。 国際的にも1曲当たり1000-1500ウォンが相場だ。

  もちろんこれは市場で決まる価格だ。 結局は大衆の選択を反映するものだ。 韓国人は自国の音楽を外国よりも安くて劣るものにしてしまっているようだ。

  韓国メディア・政府がそろってK-POPを大々的に広報し、その文化的な価値を誇張するのに力を注いでいる。 しかしK-POPさえもその人気に比べ、それほど高い収益を創出していない。 本当の収益は、一つのグループがブランド価値として定着し、広告費と出演料を引き出す時に生まれる。 音楽それ自体は平価切り下げとなる。

  韓国ロック音楽の父シン・ジュンヒョンにインタビューをしたことがある。 彼はインタビューで、韓国の若者がライブ舞台ではなく、MP3だけで音楽を聴くと嘆いていた。 MP3で聴く音楽は軽い。 バンドが演奏するライブ舞台を見て、レコード店を訪ねるのは貴重な経験だ。 60ウォンで1曲をダウンロードするのとは比較にならない響きを持つ経験だ。

  音楽がこのように冷遇される状況は、音楽を使い捨てとする結果をもたらす。 2年前の曲は‘旧式’になって聴く価値がなくなる。 このためシン・ジュンヒョンの音楽がどれほどすごいかを韓国人の友人に話しても、友人は私をおかしな人と考える。 「シン・ジュンヒョンは昔の音楽」という言葉も返ってくる。 私がキム・チュジャ、パク・インス、キム・ジョンミのような歌手が好きだと言うと、友人は私を狂った人間と見る。 しかしこの歌手たちはみんな偉大な音楽家だ。

  エリック・クランプトンも‘昔’の音楽だ。 さらに私にはシン・ジュンヒョンの音楽がもっと素晴らしい。 しかしエリック・クランプトンがまた韓国でコンサートを開けば、大型コンサート会場は満席になるはずであり、クランプトンは王族のような待遇を受けるだろう。 クランプトンが素晴らしくないわけではない。 しかしなぜ韓国人は韓国の音楽をもっと尊重しないのだろうか。

  ◇ダニエル・チューダー=オックスフォード大学で哲学・経済学を専攻した後、マンチェスター大学でMBAを取得。 2002年韓日ワールドカップ(W杯)当時に初めて訪韓し、2010年6月からソウルで働いている。(中央SUNDAY 279号)



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