2012年8月26日日曜日

■【中証視点】中国経済、予想以上に困難な底探り局面に直面


【中証視点】中国経済、予想以上に困難な底探り局面に直面
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0824&f=business_0824_170.shtml
2012/08/24(金) 15:42

 香港上海銀行(HSBC)が8月23日に発表した報告書によると、8月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.8で、7月の49.3より大幅に低下し、9カ月ぶりの低水準となった。サブ指数を見ると、製造業生産指数の速報値は47.9で、7月の50.9から低下、景気の良し悪しの境目となる50を再び下回り、5カ月ぶりの低水準となった。24日付中国証券報が伝えた。

 HSBC製造業PMIは既に景況感の改善と悪化の分岐点となる50を10カ月連続で下回っている。8月は季節要因によって例年上昇に転じる傾向にあるが、2012年は前月を1.5ポイント下回った。HSBC製造業PMIが季節要因に相反して低下したのは、最盛期のはずの時期においても経済が振るわい状況であることを示している。

 2006―2011年には、8月のHSBC製造業PMIは前月比で、平均0.18ポイント上昇しており、世界金融危機が発生した2008年を除けば、前月比で平均1.04ポイント上昇している。とことが、2012年8月のPMI速報値は1.5ポイント低下、2008年の世界金融危機に次ぐ下げ幅となり、中国の景気減速の深刻さが浮き彫りになっている。

 需要面を見ると、新規輸出受注指数の低下が外需の続く低迷を示している。8月の新規輸出受注指数は前月より2ポイント低下し、41カ月ぶりの低水準となり、外需が疲弊していることがわかる。この状況は先進国の先行指数の伸びが縮小していることとも一致する。7月のユーロ圏の製造業PMIは44、米製造業PMIは49.8で、いずれも景況感の改善と悪化の分岐点となる50を下回っており、ユーロ圏に関しては12カ月連続で縮小し続けている。7月の中国の輸出は前年同期比1%増で、季節調整後は同1.6%増、2009年12月以来の低水準だった。今後の見通しに関しては、世界経済の鈍化が続く状況の中、輸出が著しく改善することは難しく、今後数カ月は低水準を維持すると見られ、マイナスになる可能性も否定できない。

 内需も同様に低迷している。8月のHSBC新規受注指数は前月より2.1ポイント低下し、新規輸出受注指数の方は前月より2ポイント低下していることから、中国国内の需要は海外の需要よりも縮小幅がやや大きいことがわかる。内需の疲弊と輸出の不振が二重の圧力となって、中国の製造業は大きな打撃を被るだろう。特に、バリューチェーンの末端にある中小企業へのマイナス影響はより深刻である。

 生産面を見ると、8月の製造業生産指数は前月より3ポイントの低下、5カ月ぶりの低水準となった。在庫指数は上昇に転じ、実体経済が尚も在庫の消化を進めていることを示しており、出荷価格指数と投入価格指数が引き続き低下していることとも合致する。

 7月末以来、中国商務部の生産資料価格指数は1.05%低下し、前月比で20週間連続低下している。うち、エネルギー価格は1.5%低下、フェラスメタル(鉄・マンガン・クロム・鉄鋼)価格は1.2%低下しており、川上・川中産業の在庫圧力は尚も極めて大きいことを示している。

 在庫圧力が大きいことは他のデータからも裏付けることができる。河北省秦皇島港の石炭在庫量は660万トン近くまで縮小し、概ね例年の正常な水準まで戻ったものの、川上の生産地の石炭の在庫水準は依然高いままである。また、データによると、山西省の石炭在庫は高止まりしており、8月21日には2033万トンの過去最高水準を記録した。これについては、中継地の石炭価格が低く、輸送コストが高止まりしていることで、利益が大幅に縮小してしまうため、石炭生産企業の在庫の消化が進まないことが要因であると言える。鉄鋼工業もこのところ、操業を一時停止して生産量を抑制する傾向にあるが、その効果には限りがある。中国鉄鋼工業協会のデータによると、8月上旬の重点鉄鋼企業の1日あたりの粗鋼生産量は196万9900トンで、前月比1.05%増となり、在庫の消化ペースは市場の予想より遥かに遅い。

 在庫を消化する時間が長引くことで、経済の底入れも先延ばしになる。中国経済の底探り局面は予想していたよりも複雑なものとなっている。



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