2012年10月15日月曜日

■中国人観光客300万人もてなす 秘密兵器は“超アナログツール”


中国人観光客300万人もてなす 秘密兵器は“超アナログツール”
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/121014/cpd1210141221001-n1.htm
2012.10.14 12:20  

 大阪を訪れる中国人観光客が年間約70万人といわれるなか、大阪商工会議所が開発した中国人接客のための“秘密兵器”が大阪市内の商店街などで活躍している。接客でよく使われる会話例などを示した「指さしシート」で、重宝される最大の理由は中国人の買い物動向を的確に反映していることだ。

 尖閣諸島をめぐる日中間の対立で訪日中国人は一時的に減少しているものの、4年後には300万人が来阪するとみられ、この超アナログツールが今後もさまざまな場面で利用されそうだ。

 大商によると、平成22年の訪日中国人観光客は約140万人で、このうち半数の約70万人が大阪を訪れているという。政府は28年に訪日外国人観光客数を2千万人とする目標を掲げており、大商ではこれが達成されれば、大阪を訪れる中国人観光客は約4・5倍の300万人、大阪での消費額は2430億円と試算。大阪市内の主要百貨店10店舗の年間売上高は、約7711億円(22年実績)で、4年後には中国人の消費額がその3割超に相当するというわけだ。

 こうした中、大阪の中小小売業などを中心に話題を集めているのが、大商が作成した「指さしシート」と名付けられた販売支援ツールだ。とはいえ、デジタル技術を応用したような最先端の販売支援ツールとは程遠く、A3タイプの用紙1枚の両面に、中国人観光客に対する接客でよく使われるキーワードや会話例などを約350掲載しただけのもの。店頭などでの使用に配慮し、シート表面には破れにくく、汚れに強い特殊加工が施してある。

 それぞれキーワードごとに、日本語表記、中国語表記、中国語での読み方(カタカナ表記)が記載。例えば、「レジ」には「收款台」(ショウクァンタイ)という表記、「ヘッドホン」には「耳机」(エァージー)といった具合だ。会話例では「不能伏恵(値引きできません)」「現在是滿座(只今満席です)」などが掲載されている。

 店員は、中国人観光客にこの「指さしシート」を示し、自らがキーワードを指したり、客側に指してもらったりしながら接客を進めていく。

 キーワードの中でも、好評なのは感触や触感に関する表現。ここ数年、日本のお土産として化粧品を買い求める中国人が多く、商品を説明する際にどうしても必要になるからだ。シートでは「干爽(ガンシュゥアン)=さらさら」、「光滑(グゥァンファ)=すべすべ」などの表現が記載されており、まさに“かゆいところに手が届く”シートに仕上がっている。

 大商は昨年12月から大阪市内の商店街や百貨店、ショッピングセンターを対象にした無料の「中国人観光客対応セミナー」をスタート。流通・サービス産業部の土居英司さんは「中小企業や商店街では、費用面などで中国人観光客対応の社員教育が難しい」とセミナー開設の理由を説明する。

 セミナーは約45分。大商が作った「対応ガイドブック」と「接客DVD」を使って解説する。これまでに延べ30回開催され、約800人が受講。「指さしシート」はこのセミナーで配布されている。

 現在、大阪市内の商店街などを中心に約2500枚が出回っており、「今ではこれがないと、中国人観光客とコミュニケーションができない」と大阪市中央区の商店街にある衣料品店の店主は話す。

 日中関係の悪化で中国人観光客は9月以降、減少している。関西の観光地でも同問題の影響を危惧(きぐ)する声はあるが、大商は「今のところ大きな影響は出ていない」と述べ、引き続き多くの中国人観光客が大阪を訪れているという。

 ただ、日中関係の悪化が長引き、大阪を訪れる中国人観光客が今後急減する恐れは否めない。それだけに大商は「こうした状況だからこそ、指さしシートのような“おもてなしの心”が伝わる接客が重要になってくるのではないか」と話している。



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