2012年12月8日土曜日

■【コラム】アップルの「iTunes 11」、見た目や操作性、機能が大幅に向上


【コラム】アップルの「iTunes 11」、見た目や操作性、機能が大幅に向上
http://jp.wsj.com/IT/node_559583?mod=Right_pickfree
2012年 12月 6日  17:34 JST

 米アップルの「iTunes(アイチューンズ)」は、音楽や映画、テレビ番組の再生・管理・購入用ソフトウエアとして世界最大の人気を誇っている。そのアイチューンズが2003年以来大幅に刷新された。

 筆者がその最新版「アイチューンズ11」を試用した結果、見た目や操作性、機能が大幅に向上していると感じた。これまでのアイチューンズは、長年にわたる新機能の詰め込み過ぎで動作が緩慢になり、操作が複雑化していた。

 新バージョンは全てのアイチューンズユーザーを満足させるものではないだろう。慣れ親しんだ操作の一部は変更され、シンプル化の名の下に長年利用されてきた機能の一部は削除された。また細かいバグも多少あり、アップルはすぐに修正するとしている。

 だが、筆者は新バージョンの使用感はおおむね快適だと感じた。

 テストには4台のコンピューターを使用した。マイクロソフトの基本ソフト(OS)「Windows(ウィンドウズ)7」と「ウィンドウズ8」搭載のノート型パソコンそれぞれ1台、やや古いアップルのデスクトップ型パソコン「iMac(アイマック)」、アップルの新型ノート型パソコン「MacBook Air(マックブック・エアー)」だ。

 新バージョンはこれらいずれのパソコンでも快適かつスムーズに稼働し、動作が突然停止することもなく、ローカルとクラウド(インターネット上)いずれに保存した音楽や動画も全て問題なく再生できた。

 テストではさまざまな新曲や動画も購入してみたが、4台のパソコンのほかアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」やタブレット端末「iPad(アイパッド)」を含め、筆者の全ての端末ですぐに利用可能だった。また、アイフォーンやアイパッドはもちろん、携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の古いモデルもスムーズに同期することができた。

 アイチューンズ11は、あちこちに細かい変更が加えられているが、特に際立っているのが以下のような点だ。

サイドバーからボタンへ

 最も目につく変更点が、「ミュージック」、「ムービー」、「テレビ番組」、「ポッドキャスト」などの主要メディアタイプを切り替えるための長い、テキストスクロール用サイドバーがなくなったことだ。代わりにドロップダウンボタンを押して選ぶようになっており、メディアタイプを選択すると1番上に選んだタイプが表示される。

 アイチューンズストアへの移動は右上のボタンを使用する。アイチューンズからライブラリに戻る場合も、右上の同様のボタンを押す。

 サイドバーの方が好みのユーザーは、サイドバーを表示させ、ボタンを隠すことも可能だ。
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 筆者お気に入りの新しい機能の1つが、拡大表示だ。アルバムのカバーをクリックすると、大きなカラフルなパネルが開き、そこにアルバムの全曲が表示される。 

 この拡大表示はムービーやテレビ番組でも利用でき、映画に関連した情報やテレビ番組の場合はエピソードのリストが表示される。

「次はこちら」機能

 もう1つの便利な新機能が「次はこちら」だ。「DJ」機能に取って代わるもので、基本的には曲の再生リストだ。リストのトップに配置した曲が次に再生され、前にどのような曲を再生したか履歴を確認することもできる。また、リストにある曲はどれでも即時に再生することも可能だ。

ストリーミング

 アイチューンズは長年、クラウドからのストリーミング(逐次再生)ではなく、主にメディアをダウンロードして使用する仕組みを取っていた。だが、アイチューンズ11ではその仕組みが変わり、アップルの音楽・動画保存サービス「iCloud(アイクラウド)」との統合が一段と進んでいる。

 これまで通り、アルバムや映画、テレビ番組がアイクラウドに保存されている場合は小さなクラウドアイコンが表示される。それらアイコンをクリックし、これまでのように音楽や動画を自分の端末にダウンロードすることもできる。だが、新バージョンでは、ダウンロードせずに音楽や動画をストリーミングすることも可能になった。

 これまでは、クラウドからのストリーミングを利用できるのは、有料クラウドサービス「アイチューンズ・マッチ」を利用しているユーザーだけで、しかも音楽だけだった。

ミニプレーヤー

 アイチューンズには以前から「ミニプレーヤー」というオプションがあった。これは、メーンウインドーを隠し、小さな長楕円(だえん)形のウインドーだけを表示させるもので、他のアプリケーションのウインドーを開いたままアイチューンズを使用したい場合に便利だ。

 新バージョンでは、このミニプレーヤーに検索や「次はこちら」などさまざまな機能が加わった。

欠点

 アイチューンズの愛用者は一部機能が削除されていることやバグに気づくだろう。長年売りにしてきた、アルバムをめくるように表示する「カバーフロー」機能は排除されている。アップルによると同機能を便利だと考えるユーザーが非常に少なかったためだという。エントリーの重複を特定する機能もなくなっている。アップルは、近くマイナーアップデートで復活させる予定だとしている。

 筆者のテストでは、一部のアルバムがアルバムビューに表示されなかった。アップルによると、これはわずかに残るバグの1つで、既に問題は解決されており、近くマイナーアップデートで修正する予定だという。また、アーティストの略歴を見たい場合、いちいちストアに移動しなければならない。ライブラリで見られれば便利だと思ったが、アップルによると変更される予定はないという。

結論

 アップルはアイチューンズを向上させ、使いやすくした。長年のアイチューンユーザーも、多少時間はかかるかもしれないが、慣れてしまえば新機能の良さを実感できるだろう。

(ウォルター・モスバーグは、ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の「パーソナルテクノロジー」コラム(毎週木曜日掲載)担当の記者。ウォール・ストリート・ジャーナルで40年近く記者および編集者として勤務するほか、米CNBCネットワーク制作のテレビ番組でテクノロジー関連のコメンテーターも務めている)

記者: Walter S. Mossberg




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