2012年7月1日日曜日

■牛の生レバー禁止前夜、最後に堪能

■牛の生レバー禁止前夜、最後に堪能
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news/20120630-OYT8T01256.htm
2012年7月1日  読売新聞

厚生労働省が牛の肝臓(レバー)の生食提供を1日から禁止することを受け、富山市内の焼き肉店は30日、最後のレバ刺しを味わおうとする客でにぎわった。

富山市桜町の「焼肉ハウス大将軍駅前店」では午後6時の開店から午後10時まで、全60席の予約が「レバ刺しが食べたい」という客で埋まった。

高岡市の会社員男性(39)は「柔らかい歯触りが好きだった。今日は最後なのでゆっくり味わいます」と、1枚1枚大切そうに口に運んでいた。同店の柴田仁店長(39)は「食文化が一つなくなるようでさみしい」と語った。

厚労省は、昨年4月の「焼肉酒家えびす」の牛ユッケによる集団食中毒事件を受け、食肉処理された牛約150頭の肝臓を調査。複数の肝臓の内部から腸管出血性大腸菌が見つかったことなどから提供禁止を決めた。今後、牛の生レバーを焼き肉店などが提供した場合、食品衛生法に基づき、2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科されることもある。





■生レバー“食べ納め”に長蛇の列…15人前注文も
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/07/01/kiji/K20120701003582180.html
[ 2012年7月1日 06:00 ]スポニチ

生の牛レバー(肝臓)の提供・販売を禁じた食品衛生法の規格基準が1日施行されるのを前に30日、各地の焼き肉店などには、食べ納めで訪れた来客の長蛇の列ができた。現状では安全に食べる有効な対策がないと説明する厚労省に対し、生食文化存続を訴える団体は“脱法レバー”がはびこるだけと主張。安全かつ合法的にレバ刺しを口にできる機会がまた訪れる日は来るのか――。

東京・蔵前の「ホルモン寺」にはレバ刺し目当ての客が殺到。すでに予約客でいっぱいの中、店外には予約を取れなかった客が諦めきれず長い列。最大約50人が並び、「早く入りたい」と泣く子供の姿も。

一番乗りは千葉県市原市から来た会社員古屋好宏さん(45)家族。妻と2人の息子とともに午後3時ごろから約2時間10分待った末にありついた。古屋さんは「6人前頼んで、ほとんど僕が食べました。2度と食べられないので、ゆっくり味わった。最後のひと切れはもったいなくて、なかなか口に運べませんでした」と名残惜しそう。

問い合わせの電話がひっきりなしに鳴る中、レバ刺し作りに追われた寺田穣店長(37)は、「15人前頼む団体もいた。はっきり言って異常」と過熱ぶりにぐったり。「近所の常連さんのためにレバ刺しを続けたが、こんな事態になるなんて。正直、終わってホッとしている」と話した。

東京・渋谷の「焼肉いのうえ」では普段の3倍のレバーを用意し万全の備え。「予約なしだと、午後11時くらいまで入れない状態です」と田頭慎平店長(28)。

一番乗りした川崎市の会社員清水久寛さん(26)と東京都北区の北村彰道さん(24)は1人前を2人で分け合い満足の笑み。北村さんは「レバーは焼くと楽しめない。最後と思うとますますうまいです」と話した。


◇厚労省による牛生レバー提供禁止までの経緯

▼11年4月 焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の3県の店舗で集団食中毒が発生。ユッケなどを食べた5人が死亡、100人以上に症状

▼5月 厚労省が衛生基準を見直し、罰則を設ける方針を公表

▼7月 生レバーの調査で、食中毒件数がユッケに比べ約5倍。内部から腸管出血性大腸菌O157が見つかったと発表。全国の飲食店に提供自粛を要請

▼10月 ユッケなど生食用牛肉の提供基準を厳格化

▼12年3月 牛レバーの生食での提供禁止の方針を決定

▼4月 食品安全委員会が牛レバーの生食禁止方針を了承

▼6月12日 7月1日からの提供禁止を正式決定






■レバ刺し禁止 ネットに渦巻く疑問に対する厚労省の回答紹介
http://www.news-postseven.com/archives/20120630_124472.html
2012.06.30 16:00

 明日7月1日から、牛レバーの生食、いわゆるレバ刺しが禁止される。飲食店などが客に提供すれば2年以下の懲役か200万円以下の罰金という罰則付きだ。先月この方針が明らかになるや、「個人の自由を罰則で禁止するのか」「今まで食べられてきたのになぜ」といった、大きな疑問がネット上に相次いだ。そこで、それら「素朴な疑問」を、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課の担当者にぶつけてみた。(聞き手・文=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *

--今まで自由に食べられたものが罰則付きで禁止というのはやりすぎではないでしょうか。
厚労省:ご意見はとても理解できます。しかし昨年4月のユッケ事件(富山県の焼肉店でユッケを食べた客が食中毒にかかり、5人が死亡した)を、国民の食品衛生・公衆衛生を預かる省として重く受け止めざるを得ません。原因となった腸管出血性大腸菌を除去する方法が見つからず、しかも重い食中毒症状を引き起こすことがわかった限りは、安全性を確保できる方法が見つかるまでは禁止すべきだと考えました。

--資料によると厚労省は平成10年から、幼児やお年寄りの生食を控えるようにアナウンスしてきました。今回の禁止はその周知徹底が十分ではなかったことが背景にあると思うのですが、禁止するより周知徹底をより強化する方法はなかったのですか。
厚労省:生食について焼肉店など業者に対する管理指導は自治体が行う自治事務であり、厚労省は各自治体に通知を出す立場です。残念ながら自治体の管理指導にバラツキがあり、禁止という手段になりました。

--しかし昨年中毒死したのはユッケで、今回禁止になるのはレバ刺しです。しかも統計によるとレバ刺しで死亡事故は起きていません。
厚労省:その通りですが、腸管出血性大腸菌が多いのが牛の肝臓なのです。レバ刺しを食べての死亡事故は起きていませんが、起きてもおかしくない状況で、人が死ぬ前に禁止すべきだと考えました。

--腸管出血性大腸菌は他の食中毒を引き起こす菌とは違う特徴があるのですか。
厚労省:たとえば腸炎ビブリオだと感染するのに10の6乗個の菌が必要なのに、腸管出血性大腸菌は2から9個というきわめて少ない菌で感染します。つまりレバーの鮮度は関係なく、新鮮なレバーでも感染するということです。管理を徹底しても取り除くことは不可能で感染すると重症になること、さらに人から人への二次感染(接触感染)があったことも2例報告されています。

--危険ならば7月1日を待たずに即禁止にすればいいのでは。
厚労省:食品衛生法の手続きに時間が掛かりました。

--鳥や豚のレバーは今後どう考えていますか。
厚労省:食中毒と菌などの事例と情報が整理でき次第、検討することになっています。

--今後レバ刺し禁止が解かれる可能性はありますか。
厚労省:「安全に食べたい」というパブリックコメントをいただいています。厚労省は業者を所管しているわけではないのですが、今後は安全に食べていく方法を調査研究していきたいと考えています。
 今回の措置について、私は当初「長く食べられていたものを罰則禁止というのはやり過ぎではないか」と考えていた。しかし厚労省とのやりとり、公開されているデータを読むうちに、「やむを得ないのではないか」という考えに傾いている。大きな理由は、二次感染も起こりえる、ということだ。自分のリスクで食べて食中毒になるならいいが、他人を巻き添えにする可能性がある。それが幼児やお年寄りなら死亡するかもしれない。そこまでして食べなければいけないものなのか。みなさんはどう考えるだろうか。



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