2012年7月16日月曜日

■中国、ずさんな高層ビル建設相次ぐ 旅客機の視界遮断「取り壊せ」


中国、ずさんな高層ビル建設相次ぐ 旅客機の視界遮断「取り壊せ」
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120715/mcb1207151100000-n1.htm
2012.7.15 11:00  


中国の建設大手、遠大集団が湖南省長沙に工期わずか7カ月で完成を予定している地上高838メートル、220階建ての世界最高層ビル「空中城市」の完成イメージ
http://www.sankeibiz.jp/images/news/120715/mcb1207151100000-p1.jpg

 【北京=川越一】中国で2008年に起きた四川大地震の被災地の一つ、四川省綿陽市で建設中の高層ビルが、地方政府を巻き込んだ騒動を引き起こしている。地方都市まで広がる建設ラッシュの無計画性を示す一方、中国の現状は不況を招くとされる“ジンクス”にも符合している。

 不況ジンクスも

 中国メディアによると、問題となっているのは、同市の空港から約2・4キロ離れた地域に建設中の32階建ての商業ビル。4月下旬、離着陸する旅客機の視界を遮ることが判明し、空港は以後、午後6時以降の離着陸を中止している。

 離着陸料の減少で、空港側の損失はすでに1200万元(約1億5千万円)に上る。地方政府は開発業者に上部10階分を取り壊すよう要請したが、業者側は約2年前に市が許可したと反発。都市計画のずさんさが浮き彫りになっている。

 この業者は全土で約50棟の高層ビルを建設、15年までに計120棟まで拡大する計画だ。別の建設大手は湖南省長沙市に地上838メートルの超高層ビルを計画、完成すればアラブ首長国連邦(UAE)のドバイのブルジュ・ハリファを10メートル抜き、世界一の高さとなる。

 高層ビルの建設ラッシュは経済発展の象徴ともいえるが、英国の金融グループ、バークレイズ・キャピタルが今年初め、気になる報告を出している。

 米ニューヨークのエンパイアステートビルの建設が始まった1929年、世界恐慌が発生した。米中枢同時テロで崩壊した世界貿易センターの建設期は、70年代のオイルショックと重なる。ブルジュ・ハリファ建設中の09年に不動産バブルが崩壊した「ドバイ・ショック」は記憶に新しい。

 報告はこれらの事例を挙げ、超高層ビル建設が盛んになると金融危機が訪れると分析。全世界で建設中の超高層ビル124棟の約53%を中国が占める現状を踏まえ、「超高層ビル建設と景気後退の不健全な相関関係は、中国をとらえる可能性が高い」とした。

 13日に発表される第2四半期(4~6月期)の実質国内総生産(GDP)成長率は、3年ぶりに8%を割りこむ見通しだ。計画性を欠く高層ビル建設を続ける中国に、景気後退の影が忍び寄っている。



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