【コラム】 外交バランスを無視した竹島訪問という李大統領の愚行
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0815&f=column_0815_034.shtml
2012/08/15(水) 14:02
国際関係というものは、バランスがすべてである。ある国と国とが関係することは、その両国が高層ビルにかかった一本の綱をわたるようなものでもある。バランスを保てば、安定して綱を渡ることができる。しかし、バランスが崩れれば、両国の関係は不安定なものとなり、最悪の場合には「戦争」という不幸な状況におちいることもありえる。
そんなことを、私たちはこれまでの歴史でうんざりするほど学んできた。だからこそ、各国には外務を専門に担当する役所があり、そこには外交のスペシャリストが集い、彼らは他国との安定したバランスを保つために心血を注いでいるのである。まあ、日本の外務省がどれだけ「心血を注いでいる」のかどうかは、すこし疑問の残るところだが。
さらに、各国は「大使館」という装置を他国に派遣して、自国と他国の関係にひびが入らぬよう、人間関係を構築し、情報収集に努めている。多くの国際問題は、報道などを通じて世界の人々の知るところとなる前に、問題の解決がなされるわけだが、その最先端で活躍するのが大使館だと言える。
こうして各国が他国との関係について、安定したバランスを慎重に保とうとする理由はいろいろあるが、なかでも最大の理由はナショナリズムの暴走を防ぐためだと言ってもよい。ナショナリズムとは、簡単に定義できるものではないが、ここでは「国」という単位で囲われた人々が抱く、他国に対するプライドや自尊心という部分に注目する。
人が憤怒するきっかけで最強かつ最悪のもの。それは、プライドを傷つけられたときの憤怒であろう。自分が小馬鹿にされたとき、人は瞬間湯沸かし器のような速さで怒りの念を抱き、暴力的な気分になる。その気分が「国」という単位の人々に伝播し、共有されたときに、ナショナリズムの暴走が起きやすくなる。
こんな教科書的なことを長々と述べているのは、8月10日におこなわれた韓国の李明博大統領による竹島訪問が、いかにおろかなことなのかを示したいからである。これまで竹島の領有権は、日本と韓国との外交のバランスを安定させるために、あえて棚上げにされてきた。棚上げにすることで、両国は政治・経済・文化などあらゆる面での交流を進めてきた。
その安定や交流が、李大統領による竹島訪問により、台無しになってしまう可能性が生じている。理由は何であれ、李大統領および彼の竹島訪問を許した韓国外務省の愚行には、あきれてものが言えない。韓国政府は、日本との外交バランスを安定させるべく、すばやく愚行を反省し、両国が合意の元で領土問題を「棚上げ」にしているという原点に戻った上で、再び竹島に関する議論をすべきであろう。
ところで、ロンドン五輪のサッカー男子3位決定戦(日本対韓国)の試合後に、韓国の朴鍾佑選手が竹島領有を主張するメッセージを掲げた。朴選手の行為は、ある意味でナショナリズムのガス抜きともいえるオリンピックという装置を、逆にナショナリズムの暴走を誘う契機におとしめるような、残念なものだと筆者は思う。
(谷川茂)(夕刊ガジェット通信)
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