2012年8月6日月曜日

■五輪に悩むテレビ局 放送権料高騰で赤字「日本人は五輪好き…やらざるを得ない」


五輪に悩むテレビ局 放送権料高騰で赤字「日本人は五輪好き…やらざるを得ない」
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120723/cpd1207231323003-n1.htm
2012.7.23 00:59  

 五輪の放送権料の高騰が、放送局の経営に重くのしかかっている。ロンドン五輪でNHKと民放がつくるジャパン・コンソーシアム(JC)が支払う放送権料は、一昨年のバンクーバー冬季五輪と合わせて325億円で、次季2大会ではさらに10%増が決定。局トップからは「脱落する局が出てもおかしくない」と本音も漏れる。放送権料の有効活用のため今大会から本格的に始めるインターネットでの生中継が、地上波の視聴者を奪う“もろ刃の剣”となる可能性もあり、放送局側の綱渡りが続きそうだ。

 「やっても赤字」

 フジテレビの豊田皓社長は今月6日の定例会見で「視聴率と売り上げの関係で言えば、うちと日本テレビは五輪をやっても赤字。レギュラー番組の方が収入がある。しかし日本人は五輪が好きだから、やらざるを得ない」とこぼした。

 商業五輪と呼ばれた1984年のロサンゼルス大会で、日本が国際オリンピック委員会(IOC)に支払った放送権料は46億円。その後高騰が続き、北京大会では198億円に達した。

 日本テレビの大久保好男社長は「これ以上高くなると、五輪の放送に参加できない局が出てきても不思議ではない」と述べ、テレビ朝日の早河洋社長も「支出と収入との関係で言うと、五輪放送はギリギリ。五輪をやれば大きな収入が入ってくるという、かつてのような状況ではない」と現状を説明した。

 さらに、今大会はロンドンと8時間の時差があるため、予選は夕方から、決勝は午後10時以降になる。民放連の井上弘会長は19日の会見で「大変難しい時間帯だ」と指摘し、加盟各社のCM販売が好調とはいえない状況を明かした。

 視聴者分散も

 今大会で最大の“不確定要素”が、ネットによる長時間の生中継だ。

 NHKと民放はそれぞれ専用サイトを設置し、地上波とBSで放送しない競技に限ってネット生中継を行う。NHKは延べ1千時間以上、民放は150時間に及ぶ。NHKは北京大会に続いて提供するハイライト動画も充実させ、ツイッターやフェイスブックなどでお気に入りの動画を共有できる機能を導入。民放各局も共同で北京の6倍近い2千本のハイライトを配信する。

 これは放送権料の有効活用が狙いで、民放連の井上会長は「サイトはあくまで地上波とBS放送のPRという位置づけ」と説明する。しかし、編成が流動的なこともあり、ネットから放送へと視聴者を誘導する具体的な仕組みは現時点で未定。ハイライトだけでなく生中継をネットで行うことで、むしろ視聴者が分散する懸念が局側にはある。

 民放連の関係者によると、ネットの動画にCMを入れるかどうかについても決まっていない。ネット活用が放送局の首を絞めることがないよう、大会直前まで調整が続きそうだ。



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