観光庁 国際会議などの誘致強化 高い旅行単価、経済効果に期待
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121225/mca1212250501000-n1.htm
2012.12.25 05:00
訪日外国人の拡大に向け、観光庁は国際会議や見本市、学会、スポーツイベントなど「MICE」の日本誘致強化に乗り出す。観光立国として2016年までに訪日外国人を11年実績の約3倍に相当する1800万人まで増やす目標の中で、観光とは別のジャンルとして確立する。
すでに有識者による「MICE国際競争力強化委員会」を立ち上げ、来年3月までに予算措置や官民連携などについて協議、提言をまとめる計画だ。MICEは観光に比べ旅行単価が高い上、都市競争力やブランド力向上につなげることもでき、直接・間接的に大きな経済効果があると期待している。
MICEは、ミーティング(M)、インセンティブ(I)、コンベンション(C)、エキシビション&イベント(E)の頭文字をとったもの。大型のホテルや展示場を利用し、通訳サービス、パーティーなども必要になるため、1人当たりの消費額は一般の観光に比べ1.5~2倍前後になると推定されている。観光庁によると、1万人規模の国際会議を開催すれば、およそ38億円の経済波及効果があると試算している。
国際会議協会によると、日本では1991年ごろには年間130件程度だったのが、昨年は233件まで増えた。だが、アジア各国での開催はこれを大きく上回る。アジア・太平洋地域の主要国(日本、中国、韓国、シンガポール、豪州)での開催件数は、91年には日本が約5割を占めていたが、他国が積極誘致を進めたことで、現在のシェアは2割程度に縮小。中国にも抜かれている。
これに対応し、観光庁はこれまで政府としてほとんど取り組んでいなかったMICE誘致強化に乗り出す。今後の委員会では、今年10月に48年ぶりに東京で開催され、約2万人が来日した国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会や、その際に行った地域物産展、日本文化を紹介するイベントなどの成果も提言に盛り込む方針だ。
ただ、MICE誘致に向けては、専門知識を持った人材が少ないことや、マーケティング分析の不足、会議場、展示場、宿泊施設など対応施設の不足などが課題として挙げられている。また、フランスではルーブル美術館を国際学会などに利用するなどの取り組みがあるが、日本の歴史的建造物をどのように活用するかなども有識者会合で議論する。
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