2013年3月3日日曜日

■女性相手のホストバー、江南に急増 /ソウル


女性相手のホストバー、江南に急増 /ソウル
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2013/03/03 09:35

 1月21日午前4時、ソウル市江南区の宣陵駅近くの5階建てビルを訪れた。1階のコーヒーショップのような空間に20-40代の女性客約10人がいくつかのテーブルに分かれて座り、お茶を飲んだりたばこを吸ったりしている。

 30代の男性が、3人の若い女性とエレベーターで1階まで下り、店の外まで見送ってから帰ってきた。この男性は、次にテーブルでお茶を飲んでいた女性2人を4階まで案内した。同店は、カラオケという看板こそ掲げてはいるものの、ビル全体が、ホストの男性が働く「ホストバー」となっている。女性客が座っている1階は、「順番」を待つ控室だったのだ。

 同店は24時間営業するほど、客の出入りが多く、20代のホスト200-300人が交代で勤務している。明け方の時間帯には主に「勤務」を終えたルームサロン(高級個室バー)の女性オーナーや居酒屋の女性従業員が、昼間の時間帯には主婦が、そして夕方には会社員などが入れ替わり立ち代わり訪れる。

 このように、女性専用カラオケや女性専用カフェなどの看板を掲げたホストバーが急速に広がっている。こうした店の中には政府の許可を受けていないものが多く、許可を受けているとしても脱税のためにカラオケや一般の飲食店として登録しているなど、ほぼ違法な形で営業している。

 1月22日の早朝、新ノンヒョン駅近くの裏通りには、ホストバーの広告チラシが無数に散らばっていた。「選手150人待機」「最高の男性100人を無限チョイス」などの文句がしたためられていた。ルームサロンなど、男性を呼び込むためのチラシよりも多かった。

 ここでチラシを配る30代の男性は「ここは居酒屋に勤める女性従業員が最も多く住んでいる地域だ。勤務が終わる頃合いを見計らって宣伝しにやって来た。以前に比べて会社の社長や主婦、会社員客が増えてはいるが、依然として最大の顧客層は何と言っても居酒屋の女性従業員」と話す。

 近くにある24時間営業の「美容室村」でも珍しい光景が見受けられた。真夜中であるにもかかわらず、ヘアースタイルを手入れする男女客でごった返していた。夕方出勤を控えたホステスたちでにぎわっていた周辺一帯の美容室に、最近では若いホストたちが新たな顧客層として集まり始めている。

 1990年代にソウル市江南区と釜山市の一部地域で隠れて営業されていたホストバーは、今ではソウルの有名な風俗店街はもちろんのこと、京幾道城南市や高揚市などの首都圏や新都市、大邱や蔚山、大田などの全国の主要都市にまで拡大している。

 ホストバーが増加している背景には、経済的に余裕のある女性が増えてきたことが大きく影響しているが、各店舗が大幅な値下げに踏み切ったことも一役買っている。「ルームサロン皇帝」ことイ・ギョンベク受刑者が価格破壊戦略で中低価のルームサロン市場を開拓したように、各ホストバーも相次いで飲み代を引き下げることで女性客を誘惑している。業界の関係者は「1人当たり15万-20万ウォン(約1万2000-1万7000円)で2、3時間遊べるホストバーが増えている」と話す。低価格タイプのホストバーや女性専用カラオケの場合、ホストに与えるチップは1時間当たり3万ウォン(約2500円)だ。もちろん「2次会」へ行く場合にはさらに多くの費用が要求されるわけだが、ほとんどの店は営業時間中の性的行為を禁止しているという。

 さらには、就職に失敗した男性や、容易に金もうけしたいと考える若い男性が増えてきていることも、ホストバーが増加している一因だ。女性専用カラオケで勤務した経験を持つある大学生は「いい顧客に出会って1日に100万ウォン(約8万4000円)を稼いだことがある。この年齢で1日に20万-30万ウォン(約1万7000-2万5000円)もくれる職場がどこにあるのか」と話した。一部のホストバーのオーナーに至っては、大学を訪ねていき、格好いい男子学生を相手に「スカウト」を展開している。一昔前にルームサロンの女性オーナーたちが、かわいい女性従業員を見つけるために、女子大に繰り出していったのと同じパターンだ。

 ソウル市内の江南や新村、新川など、主な風俗街には、男性従業員の写真を店の前に堂々と掲げる女性専用カフェやバーが相次いで登場しているほか、一部の男性たちは韓流にあやかって、中国や日本に「遠征就職」しているという。居酒屋で女性従業員として働くパクさん(27)は「愛人バンクに連絡すれば、ホストをどこにでも派遣してくれる。友だちの中にはレストランや屋台に男を呼んで遊んでいる人もいるし、お願いすれば家にでも『選手』を呼ぶことができる」と説明した。会社員のチョンさんは「お金と時間のある男たちだけがルームサロンに行って遊べるというのはおかしい」と話した。

 しかし、現在営業されているホストバーのほとんどは違法営業だ。脱税のためにカラオケや一般の飲食店として登録しているだけではなく、あらかじめ取り締まりを意識し無許可で営業している店もかなり多い。

 警察と検察は数年前からルームサロンに対して大々的な取り締まりを行っているが、ホストバーに対する摘発はほとんど行われていない。ホステスの女性は定期的に保健所の検査を受けるが、ホストは保険証を持っていないケースがほとんどで、ホストバーが性病の死角地帯として浮上している。これまで批判されてきた男性たちの歓楽文化がそっくりそのまま女性に飛び火してしまっているというのは、それだけ韓国社会の自浄機能が低下してきていることを物語っている、との指摘が出ている。

 京畿大学犯罪心理学科のイ・スジョン教授は「社会の底辺に青年の失業問題が存在し、欲求というものが男性だけにあるものではない上、本格的な取り締まりが行われていないことから、ホストバーのような違法営業の店が増えている。女性を被害者としていたこれまでの性暴力予防教育などの性教育や人権教育体系を、全般的に見直す必要性がある」と指摘した。




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