2013年3月3日日曜日

■【コラム】無資格の観光ガイド


【コラム】無資格の観光ガイド
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/03/03/2013030300162.html
2013/03/03 09:28

 昨年10月、韓国観光公社が中国人観光客のためのショッピング促進イベントを開催した。10万ウォン(約8400円)以上商品を購入した観光客に、抽選で景品を進呈するというものだった。観光客が提出した領収証の中には4000万ウォン(約337万円)と書かれたものもあった。ロレックスの時計を購入した際の領収書だった。韓国の免税店で販売する、ダイヤモンドが埋め込まれたロレックスの時計の価格は1200万ウォン(約101万円)だ。韓国観光公社の職員は「一度に10個購入する中国人もいる」と話した。

 中国人観光客はすでに韓国の観光産業の最大の変数として浮上している。昨年、韓国を訪れた中華圏の観光客は初めて日本人観光客を上回った。今年1月の1カ月間の中国人観光客は、昨年1月に比べて16.8%増加し、2月は1月の増加率の2倍となる32%の増加が予想されている。日本人観光客は中国人観光客の増加率に相反するかのように減少を続けている。

 しかし大きな問題がある。中国人観光客を案内する約1000人のガイドのうち、およそ8割が無資格ガイドと推定されていることだ。無資格ガイドは安い観光ツアーと共生している。中国人のための低価格パックツアーに4泊5日で3000元(約4万4000円)という商品がある。この3000元から往復の航空運賃2300元(約3万4000円)と中国の旅行会社のマージン500元(約7300円)を引くと、残りはわずか200元(約2900円)だ。このような状況で、観光客の宿泊費や交通費、韓国の旅行会社のマージン、ガイドの収入はどうやって賄うのだろうか。

 その秘密は土産物屋などのショッピングコミッション(顧客紹介料)にある。中国人観光客が商品を購入すれば、旅行会社やガイドは販売業者から最大で価格の40%に当たるコミッションを受け取る。免税店など大型店でガイドが観光客を説得して1200万ウォンのロレックスの時計を一つ購入させれば、ガイドには180万ウォン(約15万円)、旅行会社には300万ウォン(約25万円)ほど入る。ソウルの明洞や南大門の商店は、コミッションの割合がさらに高い。

 旅行会社やガイドは、このコミッションで必要な経費や利益を全て賄っている。このため旅行会社の立場としては資格があろうとなかろうと、利益をもたらしてくれるガイドが一番だ。しかし質の低いガイドがのさばるとさまざまな問題が生じる。24時間営業のサウナに宿泊させるガイドや、観光客に「6・25戦争(朝鮮戦争)は韓国が北朝鮮を攻めたことで始まった」などと説明するガイドまで登場する。全ては、まるで金の卵を産むガチョウを自ら捕まえて食べてしまうような行為だ。

 中国人の海外観光ブームはまだ初期段階だ。去年海外に出掛けた中国人観光客8300万人のうち、韓国を訪れた人は3.4%の283万人にすぎなかった。中国旅行研究所によると、2030年ごろには海外旅行に出掛ける中国人は延べ4億人に達する。このうち、韓国を訪れる人が5%だとしても2000万人になる。

 外国人観光客にとって最も重要なことは、宿泊先や食事ではなくガイドだ。しかし現在、韓国各地の大学にある150余りの観光関連学科のうち、ガイドの概念や実務についてきちんと教えているところは1カ所もない。学生たちの間で「私の夢はガイドだ」という声も聞かない。まずは、ガイドを観光客の世話係程度と考えるレベルの低い認識から変えなければならない。外国人に深い感動を与える高水準のガイドは、立派な民間外交官であり、国の経済を生かす愛国者だ。




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