2012年3月26日月曜日

■より効率的な「韓流3.0」


より効率的な「韓流3.0」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/03/25/2012032500068.html
2012/03/25 08:35 金基哲(キム・ギチョル)文化部次長

 今年1月に搭乗したドイツ行きのルフトハンザ機で夕食に出された機内食はキムチを添えたビビンパだった。数種類のナムル(野菜の和え物)などをのせ、ごま油を少々振りかけたビビンパは、韓国人だけでなく欧米人にも人気のメニューだ。大韓航空が最初に始めたビビンパの機内食は、今やルフトハンザ、エアフランスなど韓国を出発する外国の航空会社が先を競って提供する人気メニューとなった。韓国料理のグローバル化の風は、機内食のビビンパから始まったと言える。

 狭い機内で足を伸ばすのも容易ではないエコノミー席で、11時間を超える長時間のフライトを快適に過ごせる、もう一つのサービスがある。それは、音楽大国ドイツを代表するクラシック演奏者や公演団体のアルバム、そして演奏を収録した個人用ビデオのクラシックチャンネルだ。ミュンヘン出身の世界的テナー歌手、ヨナス・カウフマンが米国ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で公演したモーツアルトのオペラ『フィデリオ』、ドレスデン出身のオペラ歌手、ルネ・パーペがベルリン・シュターツカペレと共演したワグナーのアリア公演、クリスティアン・ティーレマンがドレスデン・シュターツカペレを指揮したリスト誕生200周年公演のライブなど、数十種を取り揃えていた。あれこれクリックしながら聞いているうちに、いつのまにかドイツ上空だった。このように機内でクラッシック音楽を楽しんだドイツへのビジネスマンたちは、仕事を済ませた後、ベルリンやミュンヘン、ドレスデンなどの歌劇場やコンサートホールを訪れるだろう。退屈な機内が、ドイツ文化を紹介する役割をしっかりと果たしているというわけだ。

 韓国文化観光部(省に相当)は1月、ドラマや大衆音楽をきっかけに世界中に広まった韓流を伝統文化中心の「韓流3.0」に発展させるという計画を発表した。「趣(伝統文様や民族衣装)、味(伝統料理や酒)、興(伝統芸能、伝統音楽)」など6分野で韓国文化の遺伝子を発掘し、広めようという計画だ。来年だけで355億ウォン(約25億220万円)の予算が策定された。

 これには航空会社とも協力し、韓国の「趣」と「味」を感じられる機内サービスを提供しようという計画も含まれている。機内食向けにバラエティー豊かなメニューを開発するのもいいが、まずは大韓航空やアシアナ航空の機内音楽や映像サービスから始めてみてはどうだろう。現在、機内音楽として提供されている伝統音楽のアルバムは、形ばかりで外国人の好奇心を引くには物足りない、というのが実情だ。米国のメトロポリタンオペラや英国のロイヤルオペラで活躍するテナー歌手キム・ウギョンの「韓国歌曲集」や、ソプラノ歌手スミ・ジョー(チョ・スミ)の歌曲アルバムを国際線で聞けるようにしてはどうだろう。パンソリ(物語に節をつけて歌で伝える韓国の伝統的民俗芸能)スターのアン・スクソンがウォルフガング・プーシュニッヒのような西洋のジャズミュージシャンと共同で制作した「ウエストエンド」のアルバムや、日本や中国など外国人観光客が多く訪れるノンバーバルパフォーマンス「NANTA」のライブ映像なども紹介すべきではないか。

 「韓流3.0」が伝統文化だけに固執する必要があるのか、という点も疑問だ。「クラシック韓流」といわれるほど、韓国の音楽家たちが有名なコンクールを総なめにし、欧米の主な公演会場で主役として舞台に立つ時代だ。指揮者の鄭明勲(チョン・ミョンフン)率いるソウル市交響楽団が先日、世界的なレーベルDGから発売したラベル・ドビュッシーのアルバムや、ベルリン・ドイツ・オペラで客員歌手として活躍するヨン・クァンチョル・ソウル大教授のシューベルト歌曲集『冬の旅人』を欧州路線の機内サービスで提供してみてはどうだろう。数百億ウォン(数十億円)もの予算を投入する「韓流3.0」が、もう少し幅広い視野と人々の共感を優先順位に掲げ、より効率的に進められることを願う。


0 件のコメント:

コメントを投稿