2012年3月26日月曜日
■【上海ブログ】『スラムダンク』中国語字幕の“痛い”誤訳について
【上海ブログ】『スラムダンク』中国語字幕の“痛い”誤訳について
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0326&f=national_0326_032.shtml
2012/03/26(月) 11:22
ジェレミー・リン(林書豪)選手のNBAにおける活躍から、中国でのバスケットボール人気、井上雄彦氏『SLAM DUNK』(スラムダンク)の話題まで広がり、「スラムダンク」を中国の動画サイトで改めて視聴する。
まず驚いたのは、中国語吹き替え版が完備されていること。デフォルトの検索結果で表示されるものは、まず中国語吹き替え版になっている。吹き替え版の制作には手間暇がかかるはずだ。それらを上回るニーズがある、あったのだろう。
ただし、最近の中国では、韓流ドラマの急速普及と、その吹き替え版の評判の悪さが広がり、吹き替え版そのものが敬遠されつつはある。
吹き替え版では興をそぐので、検索窓にわざわざ「日文」を追加して、and検索。ここまでしなければ日本語の原版が検索されないところにも、「スラムダンク」の中国における人気と浸透度合いを見て取れる。ちなみに、「スラムダンク」の中国語は「灌籃高手」だ。
百度の検索結果から飛ぶ先で、最近株式上場し、最近合併が話題になった動画サイト土豆(Tudou)のページの場合、ほとんどの動画が削除されていた。株式上場は中国企業でさえもコンプライアンスを徹底される景気になり得ると再確認。
視聴していくと、考えさせられる字幕を発見した。インターハイ県予選、決勝リーグの最終戦、湘北対陵南戦。前半、湘北の主人公・桜木花道のディフェンスの甘さを突かれ、陵南の福田がポイントを積み重ねていくという場面がある。プライドの高い花道が大きな屈辱を感じる。花道のチームメイトで犬猿の仲の流川楓と、以下のようなやり取りがある(※正確性については保証いたしません)。
流川「お前は笊(ザル)なんだよ」
花道「何!」
流川「奴らに、そう思われている」
花道「!(相手チームを睨み、怒り心頭)」
この部分の字幕、流川の最初のセリフが、日本語訳すれば「お前は猿なんだよ」となってしまっていた。。この間違えがどうして発生したのか、まあ、トレースするのに難しくない。ただ、ただでさえ、「スラムダンク」にはゴリ、ボスザル、野猿などのあだ名で呼ばれる登場人物がおり、花道自身、赤毛猿と呼ばれることがある。だから生じたミス、ということでもあるとは思うが、それを意識して、上記の笊を猿に置き換えて、もう一度読んでみると。。
流川のこのセリフ、字幕だけを見る限り、何のことかわからなくなってしまう。この場面で、流川はなぜわざわざもう一度花道を「猿」と罵倒するのか、なぜ改めて花道は怒り心頭となるのか。字幕を頼りにしている中国人視聴者は、非常に高度な読解・推理センスが求められることになる。
日本語の笊には解説するまでもなく、笊法などの用法があり、この場合、花道のディフェンスの弱さを示している。中国語には笊に関連して、そうした用法がないのか、少し調べてみたが、ないようだ(あるようでしたら、すみません)。
私が見た版が特殊だったかもしれないが、総じて、字幕のレベルが低かった。スラムダンクが90年代の作品であって、まだ字幕スキルが途上の段階だったためだろうか。日本アニメの中国語字幕がどのように精度を向上させていくのか、というのも大変興味深い研究対象となりそうだ。
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