2012年5月5日土曜日

■台湾 10世代パネル・テレビ、日中台で本格競争へ


台湾  10世代パネル・テレビ、日中台で本格競争へ[IT]
http://news.nna.jp/free/news/20120507twd001A.html
2012年5月5日(土曜日)

超大型液晶テレビ用のパネルや受託製造事業で、日本、台湾、中国を巻き込んだ競争が激化しそうだ。EMS(エレクトロニクス機器の受託製造サービス)世界最大手の鴻海精密工業がシャープとの提携によってこの分野を強化する姿勢を見せているが、液晶モニター製造世界最大手の冠捷科技(TPV)も中国のパネルメーカーと協力し、中国初となる第10世代液晶パネルの工場建設に乗り出す。

鴻海は3月下旬、シャープ子会社で大阪府堺市の第10世代パネル工場を運営するシャープディスプレイプロダクト(SDP)の株式46.48%を握り、同工場のパネル、モジュールの最大半分を引き取る方針を明らかにした。鴻海はかねてから液晶テレビの受託製造事業を伸ばす意向を示しており、SDPで生産する超大型パネルを使ったテレビの受託を増やす。


■鴻海、シャープ提携専門組織

鴻海はこのほど社内に専門チームを発足させた。10世代パネル工場の生産能力の分配や顧客の選別と供給、価格の決定、営業、工場運営の決定権を持ち、責任を負うことが決まった。画面サイズが60、70インチの超大型テレビで攻勢をかける。狙いをつけている顧客として、シャープのほか、米Vizio、パナソニック、中国の蘇寧電器など家電量販店チェーンの名前が挙がっている。

シャープは昨年、米国の感謝祭からクリスマスにかけての商戦に、60インチのテレビ(バックライトは冷陰極管)を999米ドル(約8万円)の破格で投入した。米国の超大型テレビ市場でのシェアは80%を誇っており、鴻海との連携が進めばさらに存在感を高める可能性があるという。

4日付工商時報によると、鴻海は今年、シャープのテレビ出荷量目標の1,200万~1,300万台のうち、150万台を受託するとみられている。全体に占める比率は11.5~12.5%と昨年第4四半期時点の3.2%から大きく上昇し、両社の関係が深まる見通しだ。市場調査会社の米ディスプレイサーチは、鴻海がシャープの海外のテレビ組み立て工場を買い取る可能性もあるとみている。

生産面だけではなく、技術面での高画質を実現するシャープのノウハウを吸収し、米アップルの「iTV」の受託を目指しているとの見方もある。

鴻海はまた、ソニーからも今年は800万台の生産を請け負うことで、通年のテレビ出荷量は1,000万台を軽く超すと予測されている。

鴻海のこうした動きによって、同様にテレビの受託製造を担う冠捷科技や緯創資通(ウィストロン)は競争上、直接の影響を受けそうだ。


■南京に中国初の10世代工場

冠捷科技はこれに対抗する動きを見せている。

中国国有の大型IT企業グループ、中国電子信息産業集団(CEC)傘下で、深セン上場の中国長城計算機深セン股フン(長城電脳)がこのほど、江蘇省南京市に第10世代パネル工場を新設すると発表した。冠捷科技はこの工場を運営する合弁会社に、香港子会社でパソコンモニター販売や部材調達を手掛ける「トップビクトリー・インベストメンツ(トップビクトリー)」を通じて出資することを決めた。トップビクトリーが、パネルの調達で優先権を持つという。

長城電脳の発表によると、投資総額は350億人民元(約4,476億5,000万円)。工期や生産能力は明らかにしていない。資本金は175億元で、南京市のパネルメーカー、熊猫液晶が99.2%、トップビクトリーが0.8%出資する。60、70インチの第10世代パネルのほか、光学フィルター、LCDモジュールなどを生産する。



0 件のコメント:

コメントを投稿