2012年5月17日木曜日

■コンプガチャ中止 消費者庁の目論見と肝を冷やすテレビ局

コンプガチャ中止 消費者庁の目論見と肝を冷やすテレビ局
http://www.wa-dan.com/article/2012/05/post-633.php
週刊朝日 2012年5月25日号

5月7日朝、連休明けの東京株式市場は、大荒れでスタートした。グリーとDeNA株が両者ともストップ安の前日比500円安に張り付いたのだ。これはゴールデンウィーク中に報道された「コンプガチャ規制」の影響だ。連休前、5千億円あったグリーの時価総額は、わずか一瞬で1200億円が吹き飛んだ。

9日にはコンプガチャゲームの開発会社・KLabが「5月中に全てのコンプガチャを中止する」と発表。これに、グリー、DeNA含むソーシャルゲーム提供6社も追随した。

楽天証券経済研究所の今中能夫アナリストはこう語る。

「コンプガチャ中止で、グリーは2013年8月期は40~50%営業減益になると試算される。また今後、通常のガチャ中止となった場合は赤字に転落する可能性もある」

そうなればソーシャルゲーム会社は崖っぷちだ。

「今回の規制は省庁の利権争いだ。当初、消費者庁は業界に自主規制を求め、自らの規制は考えていなかった。しかし『コンプガチャはパチンコと同じ』という理由で、パチンコを管轄する警察庁が乗り出す構えを見せた途端、消費者庁は一転、規制に乗り出した。きっと、今後、ソーシャルゲームの業界団体に消費者庁の天下りが押し寄せる」

また、肝を冷やす人もいるようだ。10日の楽天の決算発表後、三木谷浩史社長は、こう話した。

「本当に影響するのはテレビ局でしょ。広告大変だよ」

テレビCM全体でネット関連が占める割合は20%ともいわれる。その広告収入がゼロになったら――。

コンプガチャ規制は思わぬところにも飛び火しそうな雲行きだ。






■テレビ局に責任はないのか コンプガチャ騒動を振り返る
http://news.infoseek.co.jp/article/itmedia20120517016makoto
ITmedia(2012年5月17日08時01分)相場英雄の時事日想

ソーシャルゲーム企業が提供するゲームを巡り、先週来騒動が起こったのはご存じの通り。射幸性の高い「コンプガチャ」がそれだ。ゲーム大手各社はこれを徐々に減らしていくとの方針を明らかにしたことから、業界に対する風当たりは弱まりつつある。だが、一連の騒動の背景に、テレビ局の責任を問う声は少ないのではないか。過去、大量の広告出稿とともに利用者を増やし、あげく消費者に迷惑をかけた企業は多々ある。CMが入ればそれでよし、とのテレビ局の姿勢に疑問を投げかけてみる。

●大量の広告出稿

ソーシャルゲーム業界の騒動をおさらいしてみよう。

ゲーム上で戦闘力の高いアイテムやキャラクターを得るため、くじ引き的な要領で決められたアイテムをそろえるプロセスがコンプリートガチャ(コンプガチャ)だ。

ゲーム会社が当たりを操作することが可能な上、少額決済が積み重なることで、知らずしらずのうちに思わぬ高額利用料になることが問題視されてきた。

また、ソーシャルでつながる仕組みのため、他の利用者が得たアイテムなどがすぐに分かる仕組みが射幸心を煽る結果につながったようだ。

消費者庁が景品表示法に抵触する公算大として、実態調査に乗り出すことも明らかになっている。

筆者はゲームに疎い。ましてソーシャルゲームには全く関心がなかった。だが、中学校一年生の息子によれば、同級生や知り合いの中に月に数万円程度の「コンプガチャ」利用者がいて、家庭内で問題になっている向きがあると知らされ、驚いたことがある。

ここまでコンプガチャが急速に利用者を増やした要因の1つに、大量に出稿されたテレビCMの影響があるとみるのは筆者だけではないはず。

著名タレントをCMに起用して「無料」をうたい文句に利用者をゲームに誘導し、コンプガチャで収益を叩き出していたのが簡単な構図。

一方、テレビ局側にはこんな声も確実に届いていたはずだ。

国民生活センターによれば、オンラインゲームに関する相談件数は09年度に1437件にとどまっていたが、10年度は2043件、11年度は3439件に急増した。すべてがコンプガチャと断定するわけにはいかないが、ソーシャルゲームの利用者層の裾野が急速に広がったことと無縁ではないはずだ。

●繰り返される“緩い審査”

電通の調べによれば、テレビ向けの広告費は2004年当時約2兆円。これが昨年の場合1兆7200億円の規模に萎(しぼ)んだ。長引く不況の影響で企業の広告宣伝費が減少したほか、ネット広告などへのシフトが響いたのは明白。

こうした環境下、成長著しいソーシャルゲームの広告はテレビ局側には魅力的に映ったはず。「消費者のクレームが増えていたのは承知していたが、営業上の理由でCMを流していた側面は否めない」(某民放関係者)。

テレビや新聞の広告担当セクションには、広告主である企業を調査する部門がある。かつて問題を起こしたことがないか。あるいは法に抵触するような販売の手法をとっていないかなどを調べ、これをクリアしないとCMや広告面に出すことはできない。

筆者の知る某新聞社の担当者は「広告の減少に歯止めがかからないため、脛に多少の傷があっても、刑事事件化していないようなケースでは掲載にゴーサインが出る場合が増えてきた」と明かす。

一方、消費者の視線に立ってみれば、「テレビCMでやっていた」「新聞に載っていたから大丈夫」との安心感はあるはずだ。

最近では、美容石鹸を巡る健康被害の問題が取りざたされたばかり。この製造企業もさかんにテレビCMを打ち、全国紙への広告展開を積極化させていたことは周知の事実だ。

また、数年前には、次世代通信網の構築をうたい文句にした企業が、顧客を欺いていたことが発覚、刑事事件化したケースもある。この場合でも、当該企業は著名なタレントを広告に器用し、広告活動を積極化させていた。

テレビ局・新聞社には、広告を審査する部門のほか、優れた取材力を有する記者が多数在籍する。広告が消費者をミスリードする前に、審査を厳正化する手立てはいくらでもあるはずだ。

現在、あれだけ流れていたソーシャルゲームのCMが漸減傾向をたどっている。次はどのCMが台頭し、消費者をミスリードするのだろうか。

[Business Media 誠]





■「コンプガチャ」廃止にパチンコ業界がひと安心~RMTで軍資金減少? 
http://www.data-max.co.jp/2012/05/10/_rmt_dm1718_1.html
耳より情報2012年5月10日 13:39

  9日、グリーとDeNAの2社は、問題視されている「コンプガチャ」をそれぞれ廃止することを発表した。(「コンプガチャ」の問題については、記事「グリー、DeNA株価急落! ズサンな管理が生んだ「ボッタクリ・ガチャ」」を参照)。

 一方で、「グリーやモバゲー(DeNA)はオークションなどでRMTも禁止しているのも問題だと思います」という読者ご意見が寄せられた。「RMT」とは「リアル・マネー・トレード」の略で、ソーシャルゲームで使う通貨やアイテムを、サイト外のネットオークションなどで売買し、現金化することである。投稿した読者は、「今まで課金して手に入れたアイテムやカードが現金化できない」と苦情を寄せている。

 小中学生が遊んだソーシャルゲームで、親に高額な請求がきたという実態がある一方、「コンプガチャ」市場が急速に拡大した背景は、このRMTにあると言われてきた。たとえば、10万円分ガチャを回して得られたレアアイテムがRMTで15万円になれば、5万円のもうけになる。投機的な目的でソーシャルゲームを行なう"小中学生ではない大人"もいるのである。

 「コンプガチャで若年世代の客が減った」と、あるパチンコ業界関係者はいう。携帯端末でできる"ギャンブル"へ、場所や営業時間に制限があるパチンコ・パチスロから客が流れても不思議ではない。同時に手を出して金を使いすぎたユーザーも少なくはないだろう。今回の「コンプガチャ」廃止に、「ひと安心」といった関係者も多いのではないだろうか?



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