2012年12月15日土曜日

■<書評>日本のマスコミが伝えない「異形大国」の真実―八牧浩行著「中国危機 チャイナリスクに備えよ」


<書評>日本のマスコミが伝えない「異形大国」の真実―八牧浩行著「中国危機 チャイナリスクに備えよ」
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67431&type=
2012年12月14日 7時27分      

驚異的な経済成長が続き「21世紀はチャイナの時代」とも言われる中国。GNPで日本を追い抜き、やがて米国をも凌駕する勢いだ。大都市にはビルが林立し、活気に満ちている。しかしその陰で格差拡大、共産党幹部の汚職腐敗、道徳観の低下など多くの「ひずみ」が噴出。大気・水質汚染、食品安全問題、交通事故、労働災害、格差、物価高、就職難など「負の遺産」も半端ではない。二ケタ成長が続いた経済も、賃金上昇、公共投資偏重など構造的な壁に直面している。

本著は経済、軍事面で急拡大する不気味な「大国」の光と影をえぐり出し、政治、経済、社会、外交、軍事など多岐にわたり真の姿に迫る。この複雑怪奇な国のリスクをあぶり出し、「いかにリスクを回避するかが、日本にとって重要な課題となる」と著者は主張。日本人「個人」として、日本の「企業」として、日本の「国家」として、「チャイナリスク」を抑え、「チャイナチャンス」に変えていく処方箋も提示されている。

隣り合う世界第2、第3の経済大国は、偏狭なナショナリズムを排除し、地域の平和と繁栄を実現するという大局に立つ必要があるとのアピールは読者の共感を呼ぼう。
 
日本と中国2国間の貿易額は年間3400億ドル(約28兆円)余りに達し、日中国交正常化時の1972年の10億ドルの340倍に増えた。両国は互いに重要な経済・貿易のパートナーであり、中国は日本にとって最大の輸出市場となっている。中国には日本企業2万2千社が進出。日本企業の海外現地法人全体の売上高に占める中国現法の割合は19%と、10年前の8%から急速に高まった。

こうした中、中国では「尖閣諸島国有化」を理由とした日本製品不買運動が広がり、自動車、家電を中心に売り上げが激減。さらに中国人観光客が大きく減り、ホテル、デパート、家電販売店、航空会社など日本の観光産業は大打撃を被っている。一方、中国にとっても日系企業で働く約1千万人に上る労働者の雇用にも響く。

日中間の喉元に刺さったトゲである「尖閣諸島問題」の真相と解決策を様々な角度から追求。尖閣諸島問題に関する「日中の棚上げ合意」の真相など新たに発掘した事実や解決に向けた秘策も随所に散りばめられている。未知の習近平新体制と日中関係の今後のゆくえを読み解くヒントも満載。日本のマスコミが伝えない異形の大国の真実が活写されており、反中派、親中派双方にとって一読に値する書といえよう。

著者は世界と日本を取材し続け、時事通信編集局長を務めたジャーナリスト。本書でも徹底的な現場主義が貫かれている。




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