2011年11月25日金曜日

■「カジノ構想」


「カジノ構想」 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111125/plc11112507500006-n1.htm
2011.11.25 07:46

 観光振興や経済活性化につながるとして、民主、公明、自民など超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(通称カジノ議連)が、地域限定でカジノ解禁の法案提出を検討している。「“ギャンブル後進国”の日本も、もはや禁止するのではなく、自己責任のもとに認めるべきではないか」としてカジノ構想を推進する大阪商業大学の谷岡一郎学長と、「これ以上、国民をギャンブル漬けにしてどうするつもりか」と反対するジャーナリストの若宮健氏に意見を聞いた。


人心荒廃招き事件が増加

 ●犠牲で成り立つもの

 --なぜカジノ解禁に反対か

 「ギャンブルは基本的に負ける人の犠牲で成り立つものだ。韓国ではカジノが17カ所あり、自国民が入れるのは1カ所のみ。その公営カジノ『江(カン)原(ウォン)ランド』では、全部負けて持ち金がなくなり、車を質屋に入れてまでやり続ける人が多い。一度に日本円で1千万円や2千万円もかけられるから、自営業者が一夜にしてホームレスになった話がわんさとある。地元警察の発表では、この10年間でカジノ周辺で自殺者が35人も出た」


 --世界のカジノの現状は

 「マカオがラスベガスを抜いて世界一のカジノ王国で、昨年の売り上げは日本円に換算して約1兆9千億円。これに対し、レジャー白書によると、日本のパチンコ業界全体の昨年の市場規模は約19兆3800億円。マカオの10倍だ。さらにカジノが加わったらどうなるのかという心配がある」
 「41年前に初めてマカオを訪れたとき、カジノは3カ所。現在は37カ所に増え、街全体に品がなくなった。ソウルからバスで2時間半かかる江原ランドは、2000年のオープン3カ月で殺人などの凶悪犯罪が3倍に増えた。国内で構想に挙がっているお台場(東京)や大阪は中心地といっていいから治安の悪化が懸念される」


 ●換金の合法化が狙い?

 --カジノ議連は収益を震災復興の財源とすることも視野に入れている

 「議連が本当にやりたいのはパチンコの換金の合法化ではないか。カジノ解禁はパチンコ業界にとって商売敵となるはずだが、反対の声は上がっていない。パチンコの換金は合法化されていないから株式は上場できない。カジノと一緒に合法化すれば堂々と上場できる。議連メンバーにパチンコ・チェーンストア協会のアドバイザーがダブっているのが気になる」

 --石原慎太郎・東京都知事、森田健作・千葉県知事、橋下徹・前大阪府知事らも推進している
 「ギャンブル経験のない人は構想をあまり語ってほしくない。橋下氏は『やってみてだめだったらやめればいいじゃないか』と発言しているが、一度解禁したらやめようがない。経済効果より人心の荒廃や事件の多発、暴力団絡みのほうが怖い」(市川雄二)



 ≪谷岡一郎氏≫
経済的なメリット大きい
 ○地域全体が潤う

 --経済活性化の一策として、カジノの合法化を訴える声が高まっている

 「確かに、経済的メリットは大きい。まず、カジノをつくることによって、海外からやってくる観光客の増加が見込める。すると、ホテルや飲食関係の店などの需要も生まれ、さらには雇用も創出し、地域全体が潤うことになる」

 --海外からの観光客はもとより、そもそも日本人観光客が韓国など外国のカジノで落としている金の額も莫大(ばくだい)だと聞くが

 「毎週末に、どれだけ多くの人が大金抱えて韓国に向かっているか。某企業の御曹司が海外のカジノで100億円負けたという話があったが、事の善しあしはこの際、抜きにして、もし日本でカジノが合法化されていて、彼が国内で負けてくれていたら、その100億円は国内で回っていた。実際にはそうでなかったから大金はみすみす外国に流れてしまったことになる」

--単純に経済的な損失だ

 「逆から見てみると、合法化されていない現状を一番喜んでいるのは、暴力団。数千軒あるといわれている違法カジノでどれだけの金が流れているのか、具体的な数字はないが、莫大な額が動いているはずだ」

 --合法化されたら暴力団は困る?

 「これだけ大衆に欲求があるなら、きちんとコントロールして健全なものにしていくのが為政者の役割だろう。合法化して、収益金をもう少しいいことに使おう、という方が、まともな考えではないか」

 --ギャンブル依存症の問題についてはどう考えるか

 「一般的に、カジノをオープンするとプレーヤーの1%が依存症になるといわれているが、こうした患者には教育が有効であることが研究で分かっている。1980年代後半からアメリカで政策的にも実施され、収益の1%以上をギャンブル依存症患者の治療もしくは研究に使うと法にも明記されている。自分が来たら追い返してくれ、というセルフイクスクルージョンというシステムもある」


 ○「反対」暴力団を利する

 --解禁されている国ではすでに依存症患者には二重三重のケアがなされている、というわけだ

 「依存症といえば、アルコール依存症患者をなくそうと酒を禁止にした1920年のアメリカの禁酒法の例がある。これが何の役にも立たないどころか、マフィアの台頭を許してしまったことは歴史が証明している。カジノも似たような構図で、結局、合法化に反対することは暴力団を利する、ということを忘れてはならない」


【プロフィル】若宮健
 わかみや・けん 昭和15年、秋田県生まれ。71歳。トヨタ自動車の販売店に19年間勤務。独立後、自動車販売会社の経営などを経て著述や講演活動を行う。パチンコとカジノの依存症問題に取り組み、著書に「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」「カジノ解禁が日本を亡(ほろ)ぼす」など。



【プロフィル】谷岡一郎
 たにおか・いちろう 昭和31年、大阪市生まれ。55歳。慶大法学部卒業後、米南カリフォルニア大社会学部大学院で社会学博士号取得。専門は犯罪学、ギャンブル社会学、社会調査方法論。平成9年から現職。著書に「ラスヴェガス物語」「カジノが日本にできるとき」など。


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