2011年11月28日月曜日
■「モノづくり大国」の明日
「モノづくり大国」の明日
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2011年11月25日 08:00
河北新報 オピのおび ふらっと弁論部
「良いものを作っていればお客さまは分かってくださる」
経営の世界で、この言葉はよく聞くフレーズだと思います。愚直に品質の向上に励む匠の姿勢は、日本人の本質のように考えられることさえあります。
ただビジネス上は、こういう気質の同業者と戦うのは、比較的楽なのではないかと自分は思っています。お客さまにとって、品質の良さは当たり前です。むしろ、品質という目に見える特質以上に、利便性や楽しさなど感情をくすぐられるものにも人は弱いもの。だからマーケティングの発想からそこを熟知した新しいチャレンジャーが、旧態依然とした業界のトップを脅かす事例は、比較的多くのジャンルでみられます。
さて、「良いものを作っていれば・・・」というフレーズは、ビジネスの世界だけの問題にとどまるのでしょうか?
良いものを作るとは、まさにモノづくりの国「日本」のことではないかと思います。 確かに3.11の震災があり、タイの洪水がありと不運が重なったことは事実です。 ただ、その前に日本の考え方「良いものを作っていれば・・・」は、実は破たんをしていたのではないかと思うのです。
製造業中心の考え方からくるさまざまな労働問題は、私どもサービス業に身を置く者には、なかなか適応できないものも多く、細かい規定を見てもこの国は製造業中心に考えられてきたことを感じます。
日本がモノづくりの分野で他国の後塵を浴びる日が来ることを想像していた人が、どれほどいたのかと思うのです。それがここ数年で負け続け、あっという間に奈落の底です。「中国にまねをされた!」という人もいますが、まねなどはビジネスの世界では普通のことで、それが悪ではありません。
日本は「品質」という一点を特別視しすぎたあまり、それ以上深みのある価値を置き去りにしてしまったのではないかと、今になって本当にそう感じます。
国家のビジョンの欠落、ここからくる負けに終わりはありません。 ビジネス上も戦略ミスをしたあとに色々な不運に合い、最後を迎えた会社をいくつも知っています。
不運は弱い時に訪れ、致命傷を与えます。 ギリシャやイタリア、スペインのようになる日が来ないと、本当に日本の国民は思っているのでしょうか。
最後の武器「モノづくり」を失った日本の今後が心配でなりません。
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