2011年11月22日火曜日
■中国で商標法改正へ、日本の地名などの“勝手”登録はどうなる?
中国で商標法改正へ、日本の地名などの“勝手”登録はどうなる?
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1122&f=national_1122_119.shtml
2011/11/22(火) 15:17
2011年9月2日、中国国務院法制弁公室は「商標法(改正案意見募集稿)」(以下「意見募集稿」という)を公布し、「商標法」改正に向けて一歩前進させた。現行「商標法」と比べ、「意見募集稿」では合計40以上の条項改正が行われ、そのうち、21箇条の現行法条文を改正、8箇条を新規追加し、現行「商標法実施条例」の11箇条を改正法案に昇格させた。その結果、現行法の合計64箇条から改正法案では合計75箇条となった。
これから全人代常務委員会に提出し、全人代常務委員会の「法工委」がさらに議論し、意見募集を手配することになる。そのため、改正案が最終的に採択される時期は早くても2012年後半になるではないかと予測される。しかし、中国の商標登録といえば、同じ漢字を使っていることもあり、日本の地名などが勝手に登録されてしまうなど、トラブルが後を絶たない。今回、改正作業の前進に合わせて、“日本視点”で今回の改正作業や傾向について、日中間の商標出願、異議申し立て、商標訴訟などにも詳しい、現地法律ファーム・華誠法律事務所(Watson & Band)の専門家に聞いた。
――青森、勝沼、宮城、富山、福井、愛知、山口、香川、佐賀などなど、日本の地名や日本で登録されている商標が、中国で登録されてしまうトラブルが後を絶たない。「悪意登録の防止規則を強化」も謳っている今回の改正への動きは、そうした日本側に対する配慮もあるのか?
今までの事例はいずれも「地理的表示に対する保護」(現行「商標法」第16条)または「中国公衆に知られている外国地名は商標としてはならない」(現行「商標法」第10条)と関連している。もともと禁止されていることであり、異議申し立ては通りやすい。
今回の意見募集稿では現行「商標法」の第10及び第16条について新たな修正は行われていない。そのため、今までの事例が今回の「商標法」における悪意による登録の防止に関する改正に直接に影響をしたかどうかについては、現在のところまだ不明だ。
商標の悪意による登録の防止について、今回の意見募集稿において新たに追加された条項は主に第34条の2項と3項の規定、すなわち、
(1)出願商標が同一又は類似した商品について、中国で先に使用された第三者の商標と同一又は類似し、出願人が当該第三者との間で契約、取引、地域関係又はその他の関係により第三者の商標の存在を明らかに知る場合には、登録してはならない。
(2)登録出願する商標は、非同一又は非類似の商品について、比較的強い顕著性があり、かつある程度の影響がある他人の登録商標を盗用し公衆に容易に混同を生じさせる場合には、登録してはならない。
上記の改正は、現行「商標法」が施行されてから今に至るまでの10年間によく生じた悪意による登録の共通性をまとめ、現行「商標法」の不足を補充するべく行なったものと考えられる。意見募集稿に現れる悪意による登録の防止の規則を厳密化するなどの改正の方向性は、日本の商標権利者を含む各方面の意見を考慮した結果だとは言える。
――日本の地名やその他の商標登録について、今までも異議申し立てをした場合、受理される確率は高かった(時間はかかったとしても)が、今後改正された場合、どのような変化が予想されるか?
意見募集稿には商標の異議申し立てにつき、下記のような新しい規定がある。
1.異議申立者の範囲を明確に
申立者の主体範囲を限定し、悪意による異議申立を提起する可能性のある申立者を排除することができます。意見募集稿第36条は申立者の主体範囲を先行権利者または利害関係者に限定した。
2.異議申立手続における権利付与審査の効率を高める
意見募集稿の第38条第1項及び第2項では、異議申立が支持されなければ、商標権が直ちに付与される制度の確立を目指している。これによると、商標局は異議申立に対する審査の結果、商標登録を決定した場合、まず被異議申立人に商標登録証を発行する。つまり、現行法の規定と異なり、異議申立に対する不服による再審手続き、さらに再審結果に対する行政訴訟の提訴手続などは、商標権付与後の取消手続になるため、異議申立人は商標局の異議申立の審査結果を不服として再審を申請した場合でも、商標の登録に影響を及ぼさない。出願者は長い審査期間というリスクを回避することができ、出願者の必要以上の負担が軽減されることになる。
3.異義申立による再審準備時間を長くした
商標審議委員会へ再審を提起する期限を延長し、より長い再審準備時間を権利者に付与した。意見募集稿第38条は、商標局による商標登録不可の決定(異議決定)を不服とする場合、商標審議委員会へ再審を提起する期間を「決定通知を受領した日から30日まで」に延長した(現行法は「決定通知を受領した日から15日まで」)。
4.異議申立の理由をより豊富に
前述した通り、今回の意見募集稿第34条第1項、第2項に規定されたように、悪意による登録の規制も異議申立の理由として新たに追加され、未登録の非著名商標権利者に、より全面的な保護を与えている。
上記のとおり、意見募集稿が正式に可決された場合、商標異議手続きは全体的に「異議主体の範囲がより明確になり、異議による権利確認の手続きがより効率的になり、より余裕がある異議準備の時間があり、異議採用の理由がより豊富」という、商標権利者に有利なようになる。
――同じ漢字文化圏として、改正前後において、日本の自治体や権利ホルダーが気をつけておかなければならないことはあるか?
「商標法」の改正と関係なく、漢字を含む商標を有する日本の商標権利者は、以下の点について特に留意する必要がある。
(1)漢字を含む日本語商標につき、ただちに中国で登録し、同日本語商標の中国における登録商標専用権を取得すべき。
(2)漢字を含む日本語商標に対して、随時モニタリングを行い、悪意による登録を発見したら、ただちに法的措置を採らなければならない。
(3)漢字で表示する日本語商標は、中国消費者に直接に認識・記憶されるので、法律紛争に対応するために、中国における使用及びその影響力に関するすべての情報・証拠の収集、保管に心がけること。
――上記の対応策は現実的にはむずかしそうだが? 特に、中国事情が分からなければ、モニタリングや情報・証拠の収集、保管は難しい。
まずは専門家に相談すること。華誠法律事務所(Watson & Band)には経験豊富な専門家が多数在籍しており、特に商標分野においては、中華商標協会の常務理事を務めるスタッフもいる。
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