2012年3月2日金曜日

■低水温?泥質悪化?有明海特産の貝が謎の大量死



低水温?泥質悪化?有明海特産の貝が謎の大量死
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120302-00000125-yom-soci
読売新聞 3月2日(金)7時32分配信


 佐賀、福岡両県沖の有明海で、二枚貝のサルボウが大量死し、不漁が続いている。

 タイラギと並ぶ有明海特産の貝だが、場所によっては約7割が死んだ状態。漁業者からは「これまでになかったほどの被害。このままでは生活していけない」という声が上がり、今月中旬、約6500人分の署名を添えて農林水産省に原因究明を要請した。


 サルボウは赤貝に似た貝で缶詰などに使われ、1年を通じて取れる。大量死は昨年10月上旬、福岡県柳川市沖で見つかった。同県水産海洋技術センター有明海研究所が県沖の漁場11か所を調査したところ、採取したうちの42~72%、全体では5割以上が死んでいた。

 佐賀県有明水産振興センターによると、同県沖も同様の状態。2010年冬から11年春先にかけて、低水温のため植物性プランクトンが少なく、夏場も海水中の酸素や塩分濃度が低下していたことが原因ではないかと推測する。

 一方、生きた貝を独立行政法人水産総合研究センター増養殖研究所(三重県)で検査した結果、エラにあるはずの細かい毛が抜けていることが確認された。サルボウは、エラから植物性プランクトンを濾して餌として体内に取り込んでいる。ところがエラが傷んだサルボウは餌を取り込めず、水っぽく、黒ずんだ状態になり「赤貝」とは程遠いという。

 有明海では、海底の泥質悪化が生物に悪影響を及ぼしているとの見方もある。しかし、独立行政法人西海区水産研究所の有滝真人・有明海・八代海漁場環境研究センター長は「サルボウは環境変化に強い上、大量死前に極端な環境悪化はなかった。非常に珍しい現象で、一層のデータ解析や検証が必要だ」と指摘する。

 現在も福岡県沖で調査が続いているが、5~7割は貝殻だけ。漁業者らによると、生きていても3センチ以上の貝は少なくほとんど漁にならない状態で、例年は60~70隻前後が出漁するのに、5隻前後しか出ていない。

 今季はタイラギも大量死し、漁は太良町沖に限られている。

 今月18日、農水省に原因調査を要請した「有明海復活・再生の会」の古賀春美代表(64)(福岡県柳川市)は長年、サルボウやタイラギ漁で生計を立ててきた。「こんなに貝がいなくなることはこれまでなかった。一刻も早く原因を究明してほしい」と訴えている。




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