結婚費用:高額なホテル挙式、暴利の実態
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/25/2012062501470.html
2012/06/25 14:55
「花を飾らないのは好みだが、基本料金は同じ」
「ワインは必須、洋食にビールは合わない」
「土曜日には安いコースは選択不可」
ホテルでの結婚式については賛否両論があるものの、選択肢の一つとして根強い人気を誇っている。本紙が結婚情報会社ソンウに依頼し、韓国の新婚夫婦310組を対象に調査を実施した結果、5組に1組(22.9%)がホテルで挙式していることが分かった。
韓国ウエディング学会のキム・インオク会長(誠信女子大学生活文化消費者学科教授)は「どこの国にも高級なサービスはある。ホテルでの結婚式は、費用が高いこと自体が問題なのではなく、高い料金を請求しながら、消費者が望むほど高品質のサービスを提供していないことが問題」と指摘した。
本紙がソウル市内にある特1級ホテル21カ所を全数調査した結果、全てのホテルが、新郎新婦の意思に関係なく、次の3点を強要していた。一つ目は、ホテル直営の生花店またはホテルが指定する生花店を利用すること、二つ目は、装花の数を減らしたり装花を全く利用しない場合でも最低限の基本料金は支払うこと、三つ目は、外部の業者を選ぶことはできない、ということだ。ちなみに装花の基本料金は、ホテルによって380万-2000万ウォン(約28万-145万円)と差があった。
あるホテルは「新婦の母親が外部のフラワーショップで娘に直接花を選んでやりたいと言っても、絶対に認めていない」と説明した。
取材チームがソウル市内の特1級ホテルのマネージャーに話を聞いたところ、法律や常識とはかけ離れた答えが返ってきた。花だけでなく、飲み物や幣帛(ペベク、新婦が嫁ぎ先の親に行う儀式)の食事についても、必須アイテムとして料金に含めているホテルが多いというのだ。ワインが必須となるホテルが18カ所、幣帛室を必ず利用しなければならないホテルが11カ所、幣帛の際の食事が必須となるホテルは2カ所あった。このほか「土曜日に挙式する場合は、最も安いメニューは選択できない」とするホテルが4カ所、また写真撮影を必須としているホテルも2カ所あった。
このように、ある商品を販売する際に別の商品の購入まで強要する、いわゆる「抱き合わせ販売」が行われているわけだ。公正取引法では「消費者の利益を損ない秩序を乱す」として、抱き合わせ販売を禁止している。
公取委の関係者は「式場のレンタルサービスと装花サービスは、厳格には別の商品のため、この二つを抱き合わせて一緒に販売するのは違法」と語った。だが、これまでこうしたサービスが取り締まりにあったケースは一度もない。公取委側は「届け出がないため知らなかった」と説明する。
■花の装飾
「花はホテルの直営ショップで注文しなければなりません。ベテランスタッフが担当します」(JWマリオット・ホテル)
「花の価格は固定です。ただし、プラスされる可能性もあります」(ウォーカーヒル・ホテル)
「装花をシンプルにアレンジすることは可能ですが、料金は変わりません。お客様の好みに合わせることはできますが、料金を下げることは…(できない、の意)。2000万ウォンでやってほしいと言われれば、その通りに準備します」(新羅ホテル)
「(外部の業者に装花を頼んでもよいかと尋ねると)皆さん、よく『なじみのフラワーショップがある』とおっしゃいますが、それはできません」(メイ・フィールド・ホテル)
「花が必須項目に含まれているのは、ウエディングで最も重要だからです」(ルネッサンス・ホテル)
「○○ホテルの方がうちのホテルより高い。うちは○○ホテルのように花だらけにはしません。落ち着いた雰囲気に仕上げるため、保守的な方々、たとえば公務員のような方がよく利用されます。誰とは申し上げられませんが、立場上華やかにできない方々が、知人だけを呼んできちんともてなしたいときに利用されますね」(グランド・インターコンチネンタル・ホテル)
「外部のフラワーショップを利用したいと? それは認められません。そんなことは絶対にしない方がいいと思いますよ」(グランド・ヒルトン・ホテル)
■あれもこれも必須
「写真撮影も必須です。アルバムをホテルで注文すべき理由の一つが、外部のスタジオに依頼すると、ムードがうまく演出できないことがあるからです。ホテル側が写真撮影をすれば、全体的に調和の取れたアルバムになり、仕上がりが違います」(リッツ・カールトン・ホテル)
「食事メニューにはワインが必ず含まれています。洋食にビールでは、ちょっと合わないでしょう。ドレスをお召しのときに足元がスニーカーだとおかしいじゃないですか。それと同じです。どんなワインが出るかって? (1本5万5000ウォン〈約4000円〉と価格は決まっているが、どんな銘柄かは分からないため)担当者に確認してみます」(ホテル・ロッテ・ワールド)
「幣帛の食事は、できればホテルにお任せいただければと思います。わざわざほかの業者に頼む必要はないし、せっかくこちらで挙式されるのだから、最高級の食事を召し上がった方がいいじゃないですか。あえて外部の業者を利用して、質が悪いもので後悔するよりも、ホテル側がお勧めするものをご利用いただいた方がいいと思います。必須と申し上げているわけではないですが、外部業者の食事は搬入禁止となっております」(ウォーカーヒル・ホテル)
■「土曜日は安いメニュー選択不可」
「さまざまなメニューがありますが、土曜日には最も安価なメニューをお選びできないことはご存知ですよね」(グランド・アンバサダー・ホテル、リッツ・カールトン・ホテル、JWマリオット・ホテル、インペリアル・パレス・ホテル)
「まずは最低限の基本料金で見積もりを出してみますね。その後の変更は、高くなる分にはいくらでも調整可能です。それでも追加料金は最大限配慮させていただきますので、ご相談ください。それからワインの持ち込みは不可能です。認めたいのはやまやまですが、前例を作ってしまうと今後やりにくくなるため、お断りしております」(インペリアル・パレス・ホテル)
「(最初に○○ホテルに行ってきたと言うと)そちらの価格よりは安くできます。式の中継は無料でサービスいたししますし、仮予約していただければそれ以上にサービスいたします。今お見せしているのは割引する前の基本料金です。後で喜んでいただけるように(先に基本料金をお見せしているのです)。後から割り引かれた額を知った方が気分がいいじゃないですか」(ソウル・プラザ・ホテル)
「改装してさらにグレードアップし、価格も値上がりしましたが、こちらで挙式すれば『なるほど、ここで挙式するカップルが多い理由が分かる』と納得していただけると思います」(ウエスティン朝鮮ホテル)
「オーストラリア産牛ヒレ肉の黒コショウステーキ、赤ワインソース」
ソウル・江北地区にある特1級ホテルで提供される結婚披露宴のメニューだ。料理は1人当たり8万5000ウォン(約6200円)で、ホテル側は「腕のいいシェフたちが最高級の食材を使って直接調理している」と説明する。だが、昨年12月から今年2月にかけて同ホテルでアルバイトをしていた大学生のパク・チェヨンさん(仮名)=21、写真=は「忙しいときは、私のようなアルバイトが焼いていた」と話す。「ファストフード店でハンバーガーのパテを焼くように、ステーキ肉を広げてひっくり返すだけ。塩の代わりに砂糖を振るというミスを犯したこともあるが(給仕担当のスタッフが)忙しいため、そのまま客席に運ばれていった」
ソウル市内にある特1級ホテル21カ所が提供する披露宴メニューは、ホテルによって異なるものの、6万500-12万ウォン(約4400-8700円)ほどだ。本紙がインタビューしたカップルや夫の親のうち大半は、ホテルでの挙式を選んだ理由について「わざわざ来てくれる招待客には、高級な食事でもてなしたかった」と答えた。だが、こうした思いとは裏腹に、見かけ倒しの料理を提供しているケースが少なくなかった。
「ホテルで挙式したとき、招待客は『ステーキがおいしい』と感動していた。ところが、同じホテルで行われた別の結婚式に出席したら、味が全く違っていた。後で知ったことだが、義父がホテルのVIP会員で、あらかじめ料理長にチップを渡し『1人目の結婚だからいい料理を出してほしい』とお願いしていたそうだ。その料理長は『なじみの客に頼まれればホテルのスタッフが担当するが、そうでなければアルバイトを使う』と話していた…」(パク・チョンヒョン〈仮名〉=34=)
「数百人分の料理を一度に出すのだから、アルバイトを使わないわけにはいかない」(特級ホテルの元料理長)
昨年12月に別の特級ホテルで時給4700ウォン(約340円)でアルバイトをしていたキム・ヨンジュさん(仮名)=21=は「原則として経験のない人は料理をさせてもらえないが、宴会場の厨房はとにかく忙しいため、実習生もアルバイトも関係なくさまざまな仕事を任せられる」と語った。
韓国ホテル観光専門学校のイ・フンジュ教授は「費用が高いこと自体が問題なのではなく、高い料金を請求しながら、その料金に見合った料理が提供されないことが問題」と指摘した。
■通常40万ウォンのケーキ、結婚式では100万ウォンに
必須項目はまだまだある。ソウル市内の特1級ホテル21カ所のうち「ウエディングケーキは、必ずホテルのケーキショップで注文すること」としているホテルが16カ所に上った。ケーキを必須項目に含んでいる理由は「新郎新婦が結婚式を終えて退場し、披露宴のために再度入場する際、(ケーキの登場が)招待客に披露宴が始まることを告げるサインとなるため、絶対に必要」ということだった。「ケーキは省略してもいいか」と尋ねると、ホテル側は「必ず注文してください」「ほかのカップルも皆、頼まれています」との答えを繰り返すばかりだった。
ウエディングケーキの価格は50万-120万ウォン(3万6300-8万7200円)だった。ケーキが100万ウォン(約7万2600円)を超えるホテル6カ所を選び、そのホテルのケーキショップに、同じ大きさと材料でケーキを作った場合の見積もりを出してもらった。すると60万ウォン(約4万3600円)もの価格差があった。新羅ホテルでは、ウエディングケーキは120万ウォンだが、同じケーキを結婚式用ではなく一般用に注文すれば、90万ウォン(6万5400円)だった。COEXインターコンチネンタル・ホテル、グランド・インターコンチネンタル・ホテル、グランド・ハイアット・ホテルでは、ウエディングケーキの場合は100万ウォン、一般用なら40万ウォン(約2万9100円)だった。このほか、ウォーカーヒル・ホテルとロッテ・ホテル・ソウルは「ウエディングケーキと同じサイズのケーキは、通常は注文を受け付けていない」とのことだった。
一般注文とウエディング用で価格が異なるホテルのケーキショップのスタッフに「先ほど結婚式の相談をしてきたのだが、同じケーキなのになぜ価格が異なるのか」と尋ねたところ、スタッフは一瞬言葉に詰まりながら、きまり悪そうに「ウエディング用は特別なものですから」と答えた。
金秀恵(キム・スヘ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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