【社説】政権末期に仁川空港とウリ金融の売却を強行するワケ
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2012/06/28 10:19朝鮮日報
韓国政府は仁川空港公社の株式を売却するため、関連法改正案の国会提出に向け準備を進めている。政府は18代国会(任期は2008年 5月30日から12年 5月29日まで)でも、現在保有する株式49%を売却するための法案を提出したが、与野党双方の反対を受け法案は否決された。今回は大統領の任期がわずか8カ月しか残っていない状況で、改めて売却計画を強行するというわけだ。
もちろん、今回も与野党の双方が「売却の意図」などについて疑いの目を向け反発を強めているため、法案が可決する可能性は低い。政府は実現の見込みがないプロジェクトを無理に強行し、波紋を呼び起こすだけの結果を招いている。
仁川空港は、世界空港評議会(ACI)が毎年発表している顧客サービスに関する国際空港評価(ASQ)で、7年連続で「世界最高の空港」に選ばれた。開港から4年後の2004年以降は収支も黒字転換し、昨年は3400億ウォン(現在のレートで約234億円、以下同じ)の純利益を出した。この4年間、政府が受け取った配当金は総額1800億ウォン(約124億円)に達し、15年には配当金が1300億ウォン(約90億円)を上回る見通しだ。このように国に利益をもたらす公企業なのにもかかわらず、政府が株の売却を急ぐとなれば、その裏事情について国民がさまざまな疑いの念を持つのは当然のことだ。
政府は仁川空港に民間資本を引き入れることで経営の効率化を図り、施設の拡充に必要な財源を確保できると説明している。また、シンガポール・チャンギ空港の免税店や中国・北京空港の旅客・貨物処理能力は仁川空港を上回っているとの評価が出ており、仁川空港も財源を確保してさらに発展する必要があるとの大義名分もある。仁川空港が今後も世界トップの空港の座を守るには、株式の売却を含めた経営面での革新は確かに必要だろう。しかしそれは、大統領の任期末に世論の反対を抑えてまで強行すべきほど、急を要することではない。
政府は次世代戦闘機事業を予定通り今年10月までに決着をつけるのか、あるいは次の政権に引き継ぐのかという最終決定を、今なお下していない。一方でウリ金融持株の民営化については、数カ月以内に決着をつける勢いで推し進めており、一部ではKB金融持株との合併まで検討しているという。
任期末を迎えた政権が仁川空港やウリ金融持株の売却、さらには次世代戦闘機の選定など、数千億ウォン(1000億ウォン=約69億円)あるいは数兆ウォン(1兆ウォン=約690億円)規模のプロジェクトを無理に推し進めようとした場合、たとえそれが合法的な手続きに基づくものであっても、国民は疑いの目を向けざるを得ない。政府はまず今すべきことと、次の政権に任せるべきことをしっかり区分することから始めなければならない。
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