結婚費用が高額な韓国、親は青息吐息
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2012/06/25 14:47 朝鮮日報
京畿道水原市に住むチョン・ギワンさん(56)=仮名、以下同じ=は、軍を除隊してすぐに結婚し、3人の息子をもうけた。社員10人ほどの廃棄物処理会社を経営し、年6000万ウォン(約446万円)を稼ぎ、4億ウォン(約3000万円)のマンション(152平方メートル)を持っている。息子3人を難なくソウルの名門私立大学に入れ、周囲からもうらやましがられていた。
そんなチョンさんだが、息子3人が結婚適齢期に差し掛かり、次第に苦労が多くなった。チョンさん自身は結婚したとき、ソウル市中区長橋洞にある一戸建ての玄関脇の小部屋を借りた。「当時は誰もがそんな感じで、特に自分がつらいとは思わなかった」と語る。3人の息子は大企業に就職し、あとは結婚させるだけだと気楽に構えていたが、実際はそんなにたやすいことではなかった。
2009年、当時29歳だった長男が結婚した。長男は大学卒業後すぐに就職し、3000万ウォン(約223万円)を貯金したが、ソウル市麻浦区のマンション(80平方メートル)を伝貰(チョンセ=高額の保証金を預ければ、その運用益で家賃負担が不要となる賃貸方式)で借りるには1億8000万ウォン(約1340万円)が必要だった。チョンさんは「そうはいっても最初の子どもの結婚だ」と思い、老後の資金としてためていた2億ウォン(約1500万円)の預金を崩した。
昨年には、三男(当時27歳)が結婚式の日取りを今年5月と決めた。伝貰の額はさらに上がり、ソウル市松坡区にある築30年のマンション(63平方メートル)を借りるのに2億ウォン必要だった。チョンさんは残った貯金だけでは足りず、銀行から8000万ウォン(約595万円)の融資を受けて三男に渡した。
最近、二男(28)も恋人がいると伝えてきた。チョンさんは「正直言っておじけづいている」と心境を打ち明ける。「息子を3人持つ親は、家が四ついるのだろうかと思った。自力で結婚しろと言いたいが、伝貰が元々高額なため、親が援助しないわけにはいかない。事業をして家を持っている自分でもこんなに大変なのに、生活が苦しい親はどれほどもどかしい思いをするだろう」と語った。
外国でもこれほど多額の結婚費用が掛かるのだろうか。本紙は結婚情報会社ソヌが運営する韓国結婚文化研究所に依頼し、米国・英国・中国の結婚費用を調査した。各国の昨年の結婚式費用統計と、その国で最も一般的な住居形態を考慮して平均費用を算出したところ、韓国より豊かな米国、世界的にも物価が高い英国、急成長を遂げている中国のいずれも、韓国より安かった。
結婚文化研究所のユ・ソンリョル所長は「韓国の結婚費用が特に高いため、親も子どもも親の資金援助を当然のことと考えるようになる」と説明している。
問題は、誰もが大変だとこぼしながらも、こうした負担を当たり前と受け止めていることだ。高麗大学社会学科の金文朝(キム・ムンジョ)教授は、その理由を「結婚が特別な意味を持つため」だと説明した。
結婚文化研究所の調査結果を分析すると、結婚費用が上昇を続けているにもかかわらず、伝貰で家を借りて新婚生活を始める割合は05年の54.1%から今年は46.1%に低下し、マイホームを購入する人は32.1%から40.9%に上昇した。親は老後に不安を抱えながらも、不動産価格が上昇を続けているため、無理をしてでも子どもの新たな出発を手助けしているというわけだ。
京畿道始興市に住むチャ・ヨンジュさん(57)=女性=は、裸一貫で出発し、夫(59)=建設機材メーカー社長=と協力して3億5000万ウォン(約2600万円)のマンション(132平方メートル)を購入するに至った。中産層の生活ができるようになり、一息ついていたところに子どもたちの婚期がやってきた。チャさんは09年に購入した京畿道光明市の土地(330平方メートル)を売却し、1億ウォン(約740万円)の預金を崩して息子(31)に伝貰3億ウォン(約2230万円)の新居を借りてやった。昨年に娘(29)が結婚したときには、相手側が新居を準備し、チャさんは預金1500万ウォン(約110万円)に融資を受けた2000万ウォン(約150万円)を加えて結婚式の費用を援助した。
チャさんは「30年以上も使わなかった金だが、子どもたちが『ほかの人と同じようによい式場で挙式したい』と言い張るのでつらかった。私の世代とは生き方が違うため、どうしようもない。100歳時代といわれており、老後が心配ではあるが、末っ子(14)も息子なので今から家の準備のことで頭が痛い」と語った。
だが、本紙が取材した若者の中で、そんな親の心をきちんと理解している人は少なかった。昨年12月にソウル市内のホテルで挙式したユ・ジヨンさん(28)=女性=は、年収2500万ウォン(約186万円)の会社員だが貯金がなかった。結婚式だけで父親の預金6000万ウォンを費やし、皮膚クリニックで200万ウォン(約15万円)掛けて「ひじのケア」を受けるなど、花嫁たちがすることはほぼ全部した。
ユさんは「ただ婚姻届を出して終わりというのでなければ、皆に結婚を伝えなければ意味がない。実家は裕福ではないが、娘を皆と同じように結婚させられないほどではない。もっといいホテルで結婚した友人がどれほど多いことか」と語った。
ソク・ナムジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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