ロケット発射に踏み切る北朝鮮の内部事情は
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2012年12月10日17時49分 [ⓒ 中央日報]
北朝鮮の張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長(左)と金正恩(キム・ジョンウン)第一書記。 北朝鮮の長距離ロケット発射を控え、平壌(ピョンヤン)権力核心部の動きに関心が集まっている。 ミサイル発射という強硬カードを取り出した内部事情、これをめぐるパワーエリート間の力比べなどの観点でだ。
北朝鮮は1日、ロケット発射を予告し、「金正日(キム・ジョンイル)の遺言」であることを強調した。 1980年代に金日成(キム・イルソン)主席が「われわれももう人工地球衛星を打ち上げる時期になった」と“教示”した後、金正日総書記のロケット発射成功目標を金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が受け継いでいくという論理だ。
政府当局と北朝鮮専門家は、金正恩のロケット発射決定には、いわゆる“後見3人組”がいるとみている。 叔母の金敬姫(キム・ギョンヒ)労働党秘書とその夫の張成沢(チャン・ソンテク)国防委副委員長、そして崔竜海(チェ・ヨンへ)軍総政治局長だ。
特に金敬姫・張成沢夫婦は金正恩の後見グループのうち親姻戚という強みを持つ。 権力基盤が脆弱でリーダーシップを十分に発揮できない28歳の金正恩が絶対的に頼るしかない存在だ。 ところが金敬姫は最近、病気の治療のためにシンガポールへ行くなど健康に問題がある。 金正恩の最側近補佐役である張成沢の役割に当局が注目する理由だ。
張成沢は金正日の死去後、勢力を伸ばしている。 “万年第2人者”のくびきから脱した姿だ。 金正日の葬儀場に張成沢は大将軍服を着て現れた。 軍部から「なぜあいつが軍服を着てのさばるのか」という声も出たという情報もあった。 しかし張成沢の立場が強まったことを表しているという分析も出た。 張成沢は霊柩車行列で金正恩のすぐ後ろに立ち、後継権力の核心後見勢力であることを誇示した。
◇金敬姫・張成沢・崔竜海の“後見3人組”
変わった位置づけを表す事例もある。 先月19日、金正恩は平壌近郊の第534軍部隊直属の騎馬中隊を訪問した。 訓練場を視察した金正恩は白い斑点が入った灰色の駿馬に乗った。 関係当局の北朝鮮分析官が注目したのは張成沢の姿だった。 張成沢は馬に乗ったまま金正恩とほとんど横に並んでいた。 しかし張成沢の馬の手綱や額の革帯などには他の党・軍幹部には見られない複雑な紋様と装飾が入っていた。 特に馬の額のあたりの装飾の星は、金正恩の馬に元首階級章が付いているのと似ていた。 ある関係者は「張成沢が金氏一族のメンバーであることを確認させる場面」と述べた。
張成沢は先月4日、新設された国家体育指導委員長になった。 金敬姫を除いて労働党秘書全員がメンバーとして構成される組織の首長だ。 国防研究院のベク・スンジュ責任研究委員は「体育指導委を掌握したのは、盧泰愚(ノ・テウ)氏が大統領選挙街道を歩んでいる時、88ソウル五輪組織委員長を務めたことを思い出させる」と述べた。 単純な体育関連組織ではなく、新進パワーエリートを網羅した権力機構の性格が見えるという指摘だ。 体育指導委から張雄(チャン・ウン)国際オリンピック委員会(IOC)委員など多数の体育界関係者の名前が抜けたというのは、こうした分析を後押ししている。
張成沢に会ったことがある政府当局者や北朝鮮専門家は、張成沢は改革・開放性向を持つとみている。 ソ連に留学した経験があり、頻繁な外遊を通して西欧の文物に比較的詳しいからだ。 2002年10月には経済視察団として9日間、韓国の産業施設を見回った。 当時、朴南基(パク・ナムギ)国家計画委員長(デノミ失敗に対する問責で2010年1月に処刑)が団長だったが、中心人物は張成沢だった。 案内をした関係者は「100万ウォン以上のバレンタイン30年物ウイスキーで爆弾酒(カクテル)を作って飲もうと話すなど、自由奔放な性格だった」と語った。 張成沢の暴飲のため翌日の出発日程が遅れても、北側関係者は誰も張成沢を起こそうとしなかったという。 当局者は「張成沢が扉を開くと、70歳代の閣僚級の老幹部が壁にくっついて立って道をつくるほどだった」と話した。 サムスン電子を訪問した際、張成沢がキムチ冷蔵庫に関心を見せたため、韓国政府は板門店を通じて視察団参加者に1台ずつ贈り物をしたという話もある。
◇住民の不満爆発なら“張成沢粛清”カード?
金正日が生きている間、張成沢は党首都建設部長を務め、平壌市の現代化事業を総括した。 金正恩時代に入ってからは対中国経済協力問題を主導しているという。 8月に張成沢は北京を訪問した。 朝中合弁で推進される黄金坪開発プロジェクトと羅先特区開発事業について、中国指導部と議論するためだった。 張成沢は食糧を含む大規模な経済援助を要請したが、拒否されたと、韓国当局は把握している。
莫大な外貨稼ぎ事業を握る軍部の金脈を掌握するのにも、張成沢が核心的な役割をしたと知られている。 7月中旬の李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長の電撃粛清も、張成沢をはじめとする後見グループの意中が反映されたということだ。 金正日が若い後継者の「軍部課外教師」役を任せた人物を一朝一夕にして追い出すほど、張成沢が強大な権力を振るっているという評価だ。
しかし張成沢が一定の限界を表しているという指摘もある。 金正恩体制を改革・開放へ向かわせるには力不足ということだ。 6・28措置と呼ばれる金正恩式経済改革も公表できないまま、内部試験実施レベルにとどまっている。 ある当局者は「金正恩が9月、『資本主義を論じる者は踏みつぶせ』と指示したと把握している」とし「最近は農業改革を建議した教授・専門家を処罰しろと指示したという情報もある」と話した。 さらに李英鎬の解任後、無差別粛清事態に幹部が忠誠競争を繰り広げる状況であるため、張成沢も身動きが取れないという分析だ。
そのためか、4月以来8カ月ぶりに強行するミサイル発射にもかかわらず、張成沢が問題を提起するのが難しい状況という観測が出ている。 韓国政府当局者は「張成沢は米国はもちろん、中国側との摩擦が避けられず、対北朝鮮制裁で経済難が深まる可能性をよく知っている」とし「金正日の“遺訓”を前面に出す強硬派の発射強行論に対し、異見を提示できない状況」と述べた。
一部では、張成沢が金正恩体制構築過程で犠牲になる可能性があるという見方もある。 農業改革や外資誘致が不発に終わり、食糧難のために金正恩体制に対する住民の不満が爆発する場合、「張成沢粛清」という極端なカードで事態の収拾を図ることも考えられるということだ。 当局者は「金正日が息子に教えた帝王学の核心部分の一つは、張成沢をどう扱うかというものであるはず」とし「いつか張成沢を犠牲にすることもあるという点を金正恩に刻印させたはずだ」と述べた。
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