2013年1月4日金曜日

■海外にスーツケースで現金持ち出す中国富裕層


海外にスーツケースで現金持ち出す中国富裕層
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324828304578218460077819222.html?mod=WSJJP_hp_bottom_3_3_bucket_2_right
2013年 1月 03日 13:00 JST

 豊かになった中国人が、米国やカナダの国境管理当局で空港で財布やハンドバッグ、スーツケースに詰め込んだ大金を押収されるケースが目立っている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルがカナダ国境サービス庁から入手した資料によると、同国で最も利用者の多いトロント空港とバンクーバー空港では、2011年4月から昨年6月上旬までに中国国籍者から押収した無申告の所持金が総額1290万カナダドル(約11億4300万円)に上った。この額は両空港で押収された現金全体の59%に相当し、その大半は所持者に返還されたという。また米国の空港でも現金を押収された者は米国人の次に中国人が多い。

 昨年6月、ある中国人男性は約17万7500ドルの現金を携えてバンクーバー空港に到着した。所持金の大半は米国およびカナダの100ドル紙幣で、財布やポケットに詰め込まれていたほか、男性のスーツケースの裏張りの下にも隠されていたという。現金を発見した国境サービス庁の職員によると、この男性は所持金について家か車を買うために持ち込んだと答えたという。結局、現金隠しと無申告の罰金が課されたのみで、現金は持ち主に返された。

 職員によると、この中国人はひどく腹を立てていたという。

 罰金は2500カナダドルと、中国政府による厳しい外貨管理からうまく逃げ切った代償としては取るに足らない金額だ。同政府は民間人一人当たりが年間に国外に持ち出せる金額を5万ドルに制限している。この規制を順守させるのは難しいが、中国当局は資本逃避リスクの拡大が懸念されるなか、大規模な腐敗防止キャンペーンの一環として個人が所有する現金の国外流出に監視の目を光らせている。

 ただカナダの国境警備当局は、こうした情報を中国当局に提供しているかどうかについては明らかにしなかった。中国に残っている家族に迷惑がかかるかもしれないためだ。国営新華社通信は、中国の汚職取締当局が昨年6月外国政府に対し汚職公務員の資産を凍結するようよう要請したと報じたが、カナダの外務省によると要請を受けた記録はないという。

 空港で押収される現金は中国から流出する金額のほんの一部だが、持ち出しの手段として最も古く最も簡単な方法を使っている中国人が多いことが浮き彫りになった。

 カナダ政府は過去のデータを提供していないが、国境を超えた送金問題に深く関わってきた現職および過去の政府関係者らは、中国人が持ち込む現金は増加していると証言する。

 一方、米国税関・国境警備局によると、米空港の税関職員は2009年から2011年までに中国人から500万ドル強の無申告現金を押収したという。これは押収金総額の8.4%で、米国以外の国籍を持つ者の中では突出している。

 多額の現金を持ち込むこと自体は必ずしも違法行為ではない。カナダや米国に入国する旅行者は所持金が1万ドルを超える場合、申告しなければならない。無申告の現金は一時押収され、その所持者には罰金が課される。また税関検査官が違法行為によって得られた疑いがあると判断した場合、持ち込んだ旅行者がそうでないことを証明するまで現金は返還されない。

 一方、中国でも現金持ち出しの規定に違反した者は罰金が課される。直近のデータでは、国家外為管理局が2007年から2011年までに課した罰金の総額は12億7000万人民元となっている。

 民間の中国人が現金の持ち込み先としてカナダを好むのには理由がある。外国人の資産保有に関する規制が緩い上、政府が居住者による民間投資を優遇する場合も多い。

 さらに、同国の生活水準や、中国語を話す人口の多さも中国の新たな富裕層を引き付ける要因となっている。

 カナダに持ち込まれた中国マネーは長年、バンクーバーやトロントなどの不動産市場の下支えに貢献してきた。

 中国人投資家はここ数年、カナダ投資を加速している。ブリティッシュ・コロンビアを拠点に不動産業に従事するシャロン・ブラックさんは2010年、ワイン醸造所を中国人に290万ドルで販売した。




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