2013年1月24日木曜日

■女性が太り過ぎのカップルはけんかが多い=米大学研究


女性が太り過ぎのカップルはけんかが多い=米大学研究
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2013年 1月 22日 20:08 JST By ELIZABETH BERNSTEIN

 ジェイロム・ショーさん夫妻は12年間の結婚生活でずっと直面してきた最大の問題について一致した。それはお金のことではなく、セックスでも子育てのことでもない。体重だ。

 ジェイロムさんとべッツィさんのショー夫妻。ベッツィさんは今より75ポンド(34キロ)太っていた

 妻のベッツィさん(31)の人生の大半は太っていた。子どもの頃、家族は多くの加工食品とテークアウトしたファストフードを食べ、自分はめったに運動をしなかった、とベッツィさんは振り返る。学校では、ベッツィさんが通り過ぎると周りの子どもたちは牛の鳴き声の「モー」と呼んで冷やかした。最初のダイエットに取り組んだのは12歳のときだった。

 大学でベッツィさんは将来の夫に出会う。当時はベッツィさんが「細かった時代」だという。夫のジェイロムさん(36)はソフトウエア・エンジニアで、アウトドア派でやせていた。2人はハイキング、スキー、ロッククライミングなどに出掛けた。しかし、それでも、2人が結婚する2000年までに、ベッツィさんの体重は25ポンド(約11キロ)増えていた。その後、毎年、ベッツィさんは25ポンドやせると、30ポンド体重が増えてリバウンドするようだった。5回目の結婚記念日を迎えるまでに、ベッツィさんの体重は220ポンド(約100キロ)になっていた。もちろん、本人はかなり不満だった。

 恋愛関係の中で、体重のこと以上に語るのが難しい話題はあまりない。太り過ぎではない人でも自分の外見を気にしすぎることになりかねないからだ。(悲しいかな、ほとんどの場合は女性だ)。ではどうしたら、太り過ぎの相手を傷つけず、恥をかかせずにこの問題を取り上げることができるだろうか。そして、どうすれば、太り過ぎの人は気にしすぎず、2人の関係を傷つけずに、体重の問題に取り組むことができるだろうか。

 ユタ州アルパイン在住のショーさん夫妻は楽しいことを2人で一緒にすることをやめてしまった。ハイキングに出かけると、ベッツィさんはハイキングコースの入り口で本を読み、ジェイロムさんが戻ってくるのを待つようになった。夫の両親の家で行われる日曜の夕食会にも出席しなくなった。やせている人に囲まれると恥ずかしい上に、厳しい目で見られているような気がするからだ。数年間、夫妻は別々の部屋で寝た。ベッツィさんが自分の体について不安と不快さを感じていたほか、よく眠れなかったからだ。

 口げんかもした。1度のみならず、ジェイロムさんはベッツィさんに洋服を着替えるよう頼んだ。そのときに言った言葉は「それは君のようなサイズの人向けには作られていないよ」だ。ベッツィさんが忘れられないのは、ベッツィさんが「寝室で何か面白いことをしようとして」おどけたダンスをし、裸になったときだ。ジェイロムさんは「君は洋服を着ていた方が良く見える人たちの仲間だと思う」と言ったのだ。(ジェイロムさんはすぐに謝ったが、ベッツィさんは1週間も口をきかなかった。)

 1人が痩せていて、もう1人が太っているという体重差のあるカップルは、そうでないカップルより口げんかや怒りの感情といった争いが多いことが、先月発行のジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・リレーションシップスに掲載された研究でわかった。これはワシントン州タコマのピュージェットサウンド大学とアリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学の研究者によるものだ。被験者となった43組の男女カップルのうち、最も争いの多いカップルは健康的な体重の男性と太り過ぎ女性のカップルだった。男性だけが太り過ぎの場合、争いの回数は体重差の大きくないカップルと同じくらいだった。

 研究者らは、口げんかの回数が多いのは体重差によるものなのか、それとも口げんかが多いために食べる量が増え、太り過ぎになってしまうのかはわからないという。カップルで運動したり、健康的な食事を心がけたりする際、太り過ぎの片方が「相手は協力的だ」と報告したカップルの場合は争いが少ない。「これは重要だ。争いが増えるかもしれないというリスクはあるが、コミュニケーションには争いを減らし得るメカニズムがあるということだからだ」と話すのは、同研究の筆頭執筆者でピュージェットサウンド大学のコミュニケーション学部の客員准教授、トリシア・バーク氏だ。

 もう1つ判明したことは、食事をよく一緒にとる体重差の大きいカップルは、食事をめったに一緒にとらないカップルより衝突が多い。

 専門家らによると、どちらかが体重の問題を抱えている場合、思いやりのある方法でコミュニケーションをとることが肝要だという。ペンシルべニア州ランカスターで結婚や家族問題を扱うセラピスト、キャサリン・ヘイスィングス氏は、太っていないほうのパートナーは「自分を応援してくれていると相手が感じるように」問題に取り組むべきだと話す。最悪なのは、相手をからかったり、しつこくしたり、決めつけてかかることだという。「それ、本気で食べるつもり?」という言葉は応援にはなっていない。

 健康な体重のパートナーは、相手の行動を変えるためにチームを組む意思があることを見せるべきだ。例えば、太り過ぎの相手に何が自分にできるか聞いてみることも可能だ。甘いものを家の中に置かないようにするとか、一緒に外食したときにはデザートを食べないようにするといったことだ。ほとんど誰でもが、もっと運動することはできるし、もっと健康的に食べることも可能だ。それに健康的な体重のパートナーは模範的な人になることで助けることもできる。

 太っていないパートナーはまた、自身の不安感や潜在意識が相手の減量への努力を妨害する可能性があることに気づくべきだ。「全体的に『わたしはあなたを愛している。可能な限り長く一緒にいたい』という雰囲気であるべきだ」とヘイスティング氏は話す。

 ベッツィさんは離婚話を持ち出し、スーツケースに服を投げ入れ、夫に家を出たいと話した。結婚にも自身自身の悲惨さにも逃げ場がなくなったと感じたからだ。ジェイロムさんは冷静にガレージに行き、ベッツィさんのジープのタイヤの空気を抜いた。「彼女を冷静にさせ、気分を良くさせることができれば、解決に向けて取り組めると感じた」とジェイロムさんは振り返る。

 べッツィさんは家を出なかった。しかし、体重のことで不満を言い続けた。ある夜、ベッツィさんがまた、どのくらい体重が増えそうかという話をしていると、ジェイロムさんは眠たそうに「考えるのをやめて、寝なさい」と言った。

 後から思えば、それがターニングポントだったようだとベッツィさんは言う。ベッツィさんは極端なダイエットを止め、カロリーの計算と運動に集中するようにした。最終的に週に4回は走り、ヨガをやり、ズンバもした。40ポンド体重を落とした後、夫は妻に、一緒にマラソンをするのが夢だと話した。そして2011年、夫妻はパークシティー・マラソンに出場した。

 10カ月でべッツィさんは75ポンド(34キロ)やせた。夫妻はハイキングや自転車、ロッククライミングを再び始め、3歳と6歳の子供たちに活発に動くよう教えている。ベッツィさんは自身の体験を本に著した。今月発刊された「Finished Being Fat(太っていることを止めた)」がそれだ。

 夫妻の結婚生活は良くなった。「結婚生活で体重のことがそれほど問題ではなくなったことで、『私は太っている』『いや、君は太っていない』という終わりのない会話から話題を変えられるようになった」とベッツィさんは話す。「自分を直し始めて、自分と闘うことを止めた。そうしたら彼と闘うこともなくなった」という。



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