<日本人が見た中国>「どうしようもない」「しかたない」中国人ビジネスマンの口癖に学ぶこと
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2013年2月1日 0時31分
この言葉は日本語で「どうしようもない」という意味なのだが、私が約17年間、中国で仕事をしてきた中で、最も聞きたくない、最も嫌いな言葉の一つである。
私は以前、大手総合商社の北京支店で石炭を日本へ輸出する仕事をしていた。ある時、船積みする予定の船がすでに入港しているのに、肝心の石炭がまだ港に届かない、という事件が起きた。
数万トンクラスの大型船舶を待たせると、1日あたり数万ドルの賠償金が発生する。何より、日本の顧客に対して納期を守ることができない。私は事の重大さに青くなりながら輸出側の企業に何度も電話をし、石炭が港に少しでも早く到着する対策を打つように懇願した。しかし、同社の担当者は「石炭を積んだ列車が遅れているんですから、“没弁法(どうしようもない)”じゃないですか」と、へらへら笑いながら対応する。この会社は、中国の国有企業だった。そして、解決策が一切提示されないまま、「会社の送迎バスがもう出てしまうので、さようなら」と一方的に電話を切られてしまった。
1日数万ドルもの損失が発生しているというのに、どうして笑っていられるのか。納期が守れないのに、どうして送迎バスの方を優先できるのか。当時の私には全く理解できなかった。
今になって思えば、これは中国が“ベスト・エフォート型社会”であるため、こういったことが発生するのではないかと思い至った。国有企業の担当者は、“ベスト・エフォート”―すなわち、最大限の努力はしましたが、自分の力ではどうすることもできない不可抗力で発生した事態については“没弁法(しかたない)”、私の責任ではありません、ということなのだろう。
一方の日本は、“結果責任型社会”だ。石炭を積んだ列車がどうにもならない理由で遅れ、たとえ自身の過失でなかったとしても、賠償金は払わなければならないし、納期も必ず守らなければいけない。
こうした“結果責任型”の働き方をする日本人サラリーマンが、日本経済を効率化し、急速な経済成長を果たす原動力となったのはまぎれもない事実であるし、これは日本人が誇ることのできる美徳でもある。
しかし、こうした結果責任型の社会が働く日本人の心に対し、働けど働けど果てしなく重くのしかかる圧迫感や閉塞感を与えているのも、また事実なのではないだろうか。「部長、できる限りのことはやりましたが、今期の実績は予算未達でした。しかたないですね」。中国人ビジネスマンのように、こう言い放つことができたら、プレッシャーで胃が痛くなる人も減って、もっと多くの人が楽しく働けるようになるかもしれない。
非常事態に陥ってもへらへらしていることが「良いことだ」とは言わない。しかし、仕事の重圧から心を病んでしまう人が多い昨今の日本が、ストレスの少ない中国の“ベスト・エフォート型社会”に学べることもあるのではないか、と私は思う。
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