2011年11月9日水曜日

■’11知事選:/上 観光客誘致で正念場 /高知


’11知事選:/上 観光客誘致で正念場 /高知
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20111108ddlk39010631000c.html
毎日新聞 2011年11月8日 地方版

 ◇地域ぐるみで魅力発進を

 世界遺産の地質版とされる「世界ジオパーク」に室戸市が認定され、1カ月がたった10月下旬。県が企画した、俳優の辰巳琢郎さんと室戸ジオパークを散策する催しには、雨にもかかわらず、約40人が集まった。

 昨年からボランティア・ガイドをしている同市の女性(47)は、「認定後、ガイドの依頼数はびっくりするくらい増えた」と振り返る。室戸ジオパークインフォメーションセンターによると、ガイドの依頼数は世界ジオパークに認定された9月で約100人。10月は600人近くにまで跳ね上がった。
 ガイドの女性は、観光客数増加について「一時的なブームにはしたくない」と話す。「地質について勉強すればするほど、見慣れた景色が新鮮に映ってくる。今後は体験学習なんかも企画して、室戸という土地の魅力を発信したいんです」と続けた。

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 一時的なブームでない観光地づくり--。空前の「龍馬ブーム」に沸いた10年、県外観光客数は推計435万人(前年比120万人増)に上った。今年、県の観光行政にとって最大の課題は、大河ドラマ終了後の観光客数減をいかに抑えるかということだった。

 そこで県が仕掛けたのが、2年連続となる大型観光イベントの開催だ。3月に開幕した「志国高知 龍馬ふるさと博」では、目玉イベントとしてJR高知駅前に坂本龍馬らの3志士像を設置。龍馬ファンから「安直」という反発はあったものの、旅行会社のパンフレットに大々的に取り上げられ、一定の観光効果をもたらした。

 今年1~8月に県内の主要観光施設を訪れた観光客数は、前年より102万人減って198万人。一方で、大河ドラマ放映前の09年よりは20万人増となっている。東日本大震災の自粛ムードや「1000円高速」の終了といったマイナス要素のある中で、県の観光客誘致策が効果的だったと評価できる。

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 だが、2年続けた観光イベント終了後の観光客数減をどう食い止めるか。観光地としての真価が問われるのは来年以降となる。

 県内で初めて農家民宿「いちょうの樹」(梼原町)を00年に開業した上田知子さん(55)は、大河ドラマが終了した今年に入り、「ゆっくり田舎を歩きたい」という観光客が増えていることに気づいたという。

 「いちょうの樹」では四季折々の山菜や野菜を料理として出し、田植えや収穫などの農業体験もできる。宿泊客の半分はリピーター。上田さんは龍馬ブームではなく、こうした動きに、高知の可能性を感じている。

 「大量の観光客を呼び込むイベントも大事でしょう。でも、安全・安心な食べ物や美しい自然を楽しんでもらい、本当の高知ファンをつくっていく。田舎の強みを生かしたグリーンツーリズムこそが、本当の地域活性化につながるのではないでしょうか」

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 県政の未来を託す知事選は10日に告示される。出馬を表明しているのは、現職の尾崎正直氏(44)のみ。民主、自民、公明、社民の本部や県連は尾崎氏の推薦を決め、共産も独自候補を立てないことを決めた。無投票の可能性が高くなる一方で、龍馬ブームが薄れ、国の経済対策基金が終了する今後の4年間が正念場となる。「ポスト龍馬ブーム」、「地域産業育成」の今後の姿を考える。



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