2011年12月6日火曜日

■クリスティーズ香港、韓国の若手アーティスト好きなワケ


クリスティーズ香港、韓国の若手アーティスト好きなワケ
中国人好みの作品出品、低価でコレクター引きつける
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/12/06/2011120601365.html
2011/12/06 13:11

 先月26日に開催されたクリスティーズ香港のアジア現代美術・20世紀美術オークション・イブニングセール(高価な作品を中心としたオークション)では、ジーンズをキャンバスに縫いつけてアートにする「ジーンズアーティスト」チェ・ソヨン(31)の作品『観光都市』が122万香港ドル(約1220万円)で売却された。チェ・ソヨンは20代前半だった2004年10月から、たびたびクリスティーズ香港のオークションに招待されている。イブニングセールだけでも2008年5月、09月5月に続き3回目だ。

 韓国の若手アーティストの躍進は、翌日開催されたデーセールでも目立った。イ・ファングォン(37)の『隣の子』に50万香港ドル(約500万円)の値が付いたのをはじめ、チェ・スアン(36)、チェ・ヨンゴル(43)、イ・セヒョン(44)の作品が4000万ウォン(約280万円)以上の価格で落札された。今回のクリスティーズ香港のオークションに作品がかけられた韓国人アーティスト15人のうち、故キム・ファンギ、キム・チャンヨル(82)、カン・ヒョング(57)を除く12人(80%)が30-40代だ。出品したアーティストも22人のうち18人が30-40代だった。クリスティーズ香港ではこうした傾向が大勢になっている。5月は出品したアーティスト32人のうち24人(75%)、昨年11月は21人のうち18人(86%)が30-40代だった。クリスティーズ香港に韓国人アーティストが初めて出品した04年10月は、出品アーティスト6人全員が20-40代だった。

 世界のオークションハウス(競売会社)で最初にアジアの現代美術オークションを始めたクリスティーズ香港のオークション結果は、国際アート市場での今後のアジア・アート作品の「価格のバロメーター」といわれている。西洋のコレクターたちは、なじみのないアジアのアーティストの作品を購入するとき、クリスティーズ香港のオークション価格を参考にするからだ。

 クリスティーズ香港が韓国の若手アーティストを「こよなく愛する」最大の理由は、価格競争力があるからだ。クリスティーズ韓国事務所のペ・ヘギョン所長は「コレクターは価格が高い中堅アーティストの作品ではなく、比較的価格が低く、斬新な若いアーティストたちの作品を購入しているうちに、引き続き若手アーティストを中心にオークションに参加するようになる」と話す。
 
 若いアーティストたちが香港市場、すなわち「中国人好み」の作品を出しているのも一因だ。クリスティーズ香港のオークション入札者のうち70%がアジア人で、そのうちのほとんどは華僑(中国系)コレクターだ。スーパーリアリズム的な技法で韓国の山河を描くチェ・ヨンゴルは、脈が途絶えた中国の伝統的な山水画に対する郷愁を刺激し、コレクターの心を捉えて放さない。赤い山水画で南北分断の傷を描いてきたイ・セヒョンは、中国人が幸運のシンボルと考える赤が効果的なアピールとなっているケース。韓国芸術経営研究所のキム・ユンソプ所長は「韓国的な情緒と素材を表現しているが、技法が独特なため、中国市場だけでなく海外市場でも目を引く」と話す。

 韓国美術界は、代表的な国際的オークションハウスでアジアを代表するクリスティーズ香港に若手アーティストの作品が集中している現象を「もろ刃の剣」と見ている。若いアーティストたちが海外市場に名前を知らしめるチャンスとしては良いが、長期的に見れば国際市場で「50-60代の中堅アーティスト不足現象」をもたらす可能性があるというわけだ。

 アートカンパニーのキム・スンウン代表は「価格が低い、若いアーティストたちの作品だけが海外のオークションに出品されてばかりいると、『韓国市場=安い市場』という認識を持たれかねない」と懸念する。洋画家のキム・ジョンハク世宗大学教授は「中国は張暁剛(53)など50代以上のアーティストたちが国際市場でしっかりと一定の地位を築いているが、韓国は『国際的な50-60代のアーティスト』が消えてしまっている。世界の美術界では韓国のベテランの地位がすっぽりと抜け落ちてしまうのではないかと心配だ」と危惧の念を抱いている。



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