2011年12月22日木曜日

■MICEの底力


■MICEの底力
広範な分野に多大な経済波及効果をもたらすMICE。
日本的な“もてなし”が開催地のプレゼンスを高める
http://diamond.jp/articles/-/15127
ダイアモンドオンライン

 アジア諸国をはじめ、欧米やオーストラリアでは早くから「MICE」の振興に積極的に取り組んでいる。日本でも2007年に観光立国推進基本法に基づいて政策目標を掲げ、アジアにおける最大の国際会議開催国を目指している。多くの集客交流が見込まれ、訪問客の消費性向が高く、経済効果や地域の活性化など多大なメリットを持つといわれる「MICE」。平成21年度の「MICE実態調査」では、日本の市場規模は約9200億円と推計された。

そもそも「MICE」とはどういうものなのか、「MICE」の現状や課題を、観光ジャーナリストの千葉千枝子氏に聞いた。

 MICE(マイス)とは、ミーティング(企業等の会議)、インセンティブ(報奨・研修旅行)、コンベンション(国際会議等)、イベント・エキシビション(展示会・見本市等)の頭文字を取った造語で、多くの集客交流が見込まれる大規模なビジネスイベント等の総称である。

広範な分野に
経済波及効果をもたらすMICE

  「一般の観光と違い、MICEはグローバル企業や学術系の団体の関係者やその家族が世界各地から訪れるため、大型団体となるケースが多いのが特徴。また滞在日数も多く、開催後にはパーティや周辺観光が発生するため、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や運輸機関、さらにはイベント関連業者など、広範な分野に多大な経済波及効果をもたらします」と千葉千枝子氏は説明する。

 観光庁の調査(2009年度)によれば、MICE全体の訪日外客数は年間約100万人、市場規模は9200億円、そのうち訪日外国人の消費額は約1200億円と推計され、全訪日外国人の消費額約1兆600億円の約9分の1に当たる。組織による経費の負担比率が大きいので、1人当たりの投下金額が多いのがMICEの特徴なのだ。

 MICEにはさらに開催周辺地域が活性化、国際化するというメリットがある。プロモーション効果が高いため、MICEの誘致が町おこしの起爆剤になるケースが多い。

 「好例となったのが、08年に開催された“北海道洞爺湖サミット”。会場に選ばれたザ・ウィンザーホテル洞爺は、バブル期の箱物投資の象徴でしたが、開催が決定したあとはホテルのイメージや認知度が高まり、ツアーの催行が相次ぎました。また地元の北海道もこのサミットを観光PRのチャンスととらえて、観光振興アクションプランを策定。花々で街を彩るなど、道民挙げて“おもてなし”の取り組みを行いました。サミットの様子は全世界に配信され、その後の国際観光振興にも大きな効果を生んだのです」(千葉氏)。

2010年が“MICE元年”
背景にあるアジア諸国の台頭

 もともと日本では、1994年にコンベンション法が制定され、全国52の都市が国際会議観光都市として認定を受け、各地方都市にコンベンション・ビューロー等が発足するなど、国際会議の誘致に取り組んできた。特に近年はインバウンド(外国人の訪日旅行)の促進という観点から、MICEを積極的に推進するようになっている。

 観光庁のMICE推進アクションプランが策定されたのは2009年、翌10年を“Japan MICE Year(MICE元年)”と位置づけ、開催・誘致に向けて国の支援が本格的にスタートした。今年、東日本大震災でキャンセル等の影響は受けたものの、推進する姿勢に変わりはない。特に日本政府観光局(JNTO)は「オールジャパンの代表として、諸外国に向けて総合セールスを積極的に展開している」(千葉氏)。

 日本がMICEに力を入れるようになった背景には、経済成長著しいアジア諸国がMICEの誘致に向けて積極的に動き出しているという事実がある。

 「特にシンガポールは、90年代後半から国家戦略的にMICEを誘致しており、MICEのなかでも大きな比重を占める国際会議の開催件数では、07年にパリを抜いて都市別1位に躍り出ました。10年4月にはウォーターフロント地区に、国際会議展示場やホテル、ブティック、カジノなどエンターテインメント施設を含む巨大複合商業施設、“マリーナ・ベイ・サンズ”を開業するなど、観光立国への意気込みを強く見せています。また韓国や中国の追い上げも激しく、近年では台湾でも動きがあります」(千葉氏)

“もてなしの心”が
日本のプレゼンスを高める

 このような状況のなか、日本がMICEの開催地としてプレゼンスを高め、ホスト国として優位に立つためには、何が必要なのだろうか?

 「MICEの開催地のポテンシャルは、必ずしも大都市や首都にあるとは限りません。大規模施設がなくても、たとえば“ユニークべニュー”と呼ばれるような、地域独特の会場を用意することで差別化は図れます。もとより日本には風光明媚な自然や、京都・奈良に代表される史跡、豊かな物産や食文化など、質の高い観光資源がある。そして日本流の“もてなしの心”、他国にはない極上のホスピタリティがあります。クオリティの高いMICEを目指し、規制緩和を含めて官民が連携しながら積極的にプロモーションしていけば、日本がMICE市場で優位に立てる可能性は大いにあると考えています」(千葉氏)

 国別の国際会議の開催状況(ICCA・10年)を見ると、日本は現状、米国、ドイツ、スペイン、英国、フランス、イタリアに次ぐ7位(305件)。MICEの誘致競争力は、国自体のプレゼンスや魅力と密接にかかわっている。日本には物価高や言葉の壁などのハンディがあるが、本格的な振興はまだ始まったばかり。MICEは観光ビジネスのなかでも費用対効果が高く、国益においても重要な事業となるだけに、今後の取り組みが期待される。


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