2012年1月27日金曜日

■通訳が明暗を分ける 中国人通訳におんぶに抱っこが危険な理由


通訳が明暗を分ける 中国人通訳におんぶに抱っこが危険な理由
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0127&f=column_0127_004.shtml
【コラム】 2012/01/27(金) 08:42
  
日中ビジネスと「通訳」

 通訳は、古来大変重要な役割を担ってきました。現代のように、国と国のコミュニケーションが重層的かつ多面的なものになるまでは、「通訳」の仕事が大きく国家や民族の運命を左右した時代がありました。(いえいえ、現代でもその役割の重要性には本質的な変化がないことでしょう)

 通訳は、大きく分けると同時通訳のような会議通訳と、逐語通訳に分けられます。ビジネスの現場では、だいたい逐語通訳です。逐語、という言葉で表される通り、話者が何フレーズか一区切り話してから、それを逐次通訳していく方法です。話者が通訳を使い慣れていない場合ほど、滔々と話されてしまう場合がありますが、これはいずれにせよ、あまり賢いやり方ではありませんね。

 通訳は、しばしば重要なプロジェクトの行方を決定付けてしまいます。

 通訳がどういう立場に立つかで、プロジェクトの方向性、あるいは相互理解の深度がまるで変わってくるということが起こり得るからです。人間は、どんなに頭の良い人でも基本は「感情の動物」ですから、話している内容だけでなく、その語感によっても大きく影響されます。通訳が、このプロジェクトは何が何でも実現させたいと思えば、相手が多少厳しいことを話されたときでも、それを甘い砂糖漬けにしてしまうことさえできるでしょう。

 こうした通訳の圧倒的な影響力は、特定の通訳者しか社内(外)に持ち得ない中小企業でとりわけ顕著なものになります。もっとも典型的な例は、中国人通訳に「おんぶに抱っこ」で頼りきる場合でしょう。中小企業が優秀な日本人通訳を社内(外)に持っているというケースは、そもそも日本人通訳が絶対数で中国人通訳に遥かに及ばないという現実もあり、極めて稀少です。

 このため、必然的に、中国人通訳が会社の中国事業の行方に圧倒的な影響力を持ちがちになるのです。問題は、中国人通訳に全て頼りきる状況となった場合、とくに直接投資では、進出先選定、パートナー選定、関係先との交渉等、およそあらゆる面で、その通訳が思う存分に特定の利益誘導をおこなう機会が生まれる、ということです。これは、個人個人が個のネットワークのなかで縦横無尽に利益追求をおこなうことが常である中国社会を考えれば、少々言葉はキツイですが、「蟻の巣に蜜を落とす」だったのです。

 市場経済化が本格的なものになった前世紀の90年代以降、いったいどのくらいの中小企業が中国人通訳に「おんぶに抱っこ」で「進出」し、苦杯を嘗めたことでしょう。

 あらかじめ誤解を受けぬよう申し上げますと、わたしは、「中国人通訳が悪い」と言っているわけではないのです。

 むしろ、「通訳など言葉の問題だけだ」などとうそぶき、その本質的な重要性を看過し、海外人材を自社(本社)での昇進プログラムに載ぜず-つまり、彼ないし彼女のモチベーションを軽視し-、下手をすれば「安く現地雇用で使える」ぐらいの安易さでやってきた日本側こそ、その責めを負うべきであると考えています。

 通訳をどうみるか、どう使うか、という問題は、じつは海外事業に本気で取り組む会社にとっては全社レベルでの研修が必要なほどの大問題です。島国だからでしょうか。日本人には良い物さえ作っていければいい、「通訳なんて言葉の問題(=道具程度、というニュアンス)に過ぎない、外国語使いに任せておけばいい」といった感覚が未だに残っているというふうにわたしは感じていますが、これこそが大問題なのです。

 海外事業に本気で乗り出す、乗り出そうという会社こそ、そういう会社の経営者こそ通訳-INTERPRETATION-の決定的な重要性をよくよく考えてみるべきです。





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