2012年1月24日火曜日

■訪日リピーター誘う 大商、中国人向け接客講座


訪日リピーター誘う 大商、中国人向け接客講座
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819A96E3EAE2E0988DE3EAE2E3E0E2E3E09E9693E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5
2012/1/24 6:05

 関西の消費が伸び悩むなか、旺盛な購買意欲を持つ中国など新興国の消費者は関西経済を活性化する力を秘める。関西企業の間では、関西を訪れる外国人客の取り込みを強化しているほか、関西発のサービスで世界進出を図る動きも目立つ。いずれも独自の“おもてなし力”を武器に新市場の開拓を狙う。

 「中国人が好む『食べ放題』は中国語で『随意喫(スイイーチー)』です」――。大阪商工会議所が昨年12月から始めた商店街向けの無料セミナー。大商が独自に作成した中国語の接客用語シートを参加者に配り、中国人に対する接客のコツを伝授する。中国人客が多数訪れる春節(今年は1月23日)の大型連休に向けた取り組みだ。

 1月中旬に心斎橋筋商店街で開いたセミナーに参加した飲食店の女性スタッフは「簡単なやり取りだけでも覚えたい」と真剣な様子。大商の担当者が「お辞儀など普段通りに接客すれば十分な『おもてなし』になります」と説明すると「それならできる」と笑顔を見せた。計6回のセミナーに約100人が参加した。

■経済効果に期待

 5、6泊で大阪・京都―東京間の観光地を巡る中国人観光客の経路を「ゴールデンルート」といい、そのうち関西の滞在期間は1泊2日。限られた滞在期間だが、立ち寄り先に選ばれると大きな経済効果が期待できる。

 ドラッグストアのコクミン(大阪市)では23日、心斎橋の3店舗に中国人の団体旅行客が一斉に流れ込んだ。買い物リストを手に中国語で「この化粧水はどこにあるの」と店員に尋ねる客や、白髪染めを10箱単位でカゴに入れる客も。コクミンの吉川博和常務は「1度に100人が訪れることもある」と話す。

 中国人客1人当たりの平均購入額は約3万円で、1度に10万円以上買う客も珍しくない。「多い時は店舗の月間売上高の半分を中国人客が占める」(吉川常務)

 大商によると2010年に来阪した中国人は約70万人。これが16年には300万人に増え、大阪だけで年2430億円の買い物をするとみる。これは10年の大阪市内の百貨店売上高の3割に当たる。中国人客の立ち寄り先をいかに増やすか。地域の商店街も動き始めた。

 利用者が3億人を超えた中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」。昨年12月、心斎橋筋商店街の販促支援を手掛けるエムエフプラス(大阪市)が「商店街でパスポートを見せると5%オフになります」と投稿すると、即座に150回の転載があった。馬嶋伊織代表は「15万人が見た計算になる」と話す。今後、心斎橋のセール情報や各店の情報を発信する計画だ。

■文化体験に人気

 国内外から年間約7700万人もの観光客が訪れる京都では訪日ビギナーだけでなく、富裕層や訪日リピーターを呼び込む工夫が目立つ。

 「ハウ・ビューティフル!」――。オーストラリア人のマリーニ・トレジアさん(24)は、色とりどりの着物を前に感嘆の声を上げた。JTB西日本が主催する着物の着付けと祇園散策ツアーは、外国人に人気のオプションだ。JTBは「訪日旅行に慣れた外国人に何度も来てもらえるようなコース作りが重要」と強調する。

 日本政策投資銀行の試算では「大阪の場合、少子高齢化による消費減少額の6割程度を中国人客の消費で補完できる可能性がある」という。ただ、「現状では関西だけに滞在するツアーが少なく、関西の魅力が十分に伝わらない」(政投銀)ことが課題となっている。



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