【ニッポン経済図鑑】アップルストア銀座 人引き寄せる強い“磁力”
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120416/bsb1204160500000-n1.htm
2012.4.16 05:00
「長蛇の列」信者のお祭り
スマートフォン(高機能携帯電話)の「iPhone(アイフォーン)」など洗練された製品を次々と生み出し、IT業界を牽引(けんいん)する米アップルには、ライバルメーカーがうらやむ熱狂的なファンが多い。彼らが宗教の信者に近い存在ならば、直営販売店のアップルストアは聖地ともいえる拠点だ。製品のサポートや情報発信機能も備えるアンテナショップとして強い磁力で人々を引き寄せている。
東京・銀座の目抜き通りに面し、直営販売店で国内最大の規模を持つアップルストア銀座。平日の昼間にもかかわらず、新型が発売されたばかりのタブレット型端末「iPad(アイパッド)」をはじめ、製品の品定めに没頭する客でごった返している。かたわらでは、そろいの青いTシャツを着た販売スタッフが付きっきりで使い方を教えている。
店内は1階と2階で製品を販売。3階は大型スクリーンを備えた映写室で、映像を交えて製品の使い方などを教えるワークショップを常に開催している。4階には技術的なサポートや修理に応じる「ジーニアスバー(Genius Bar)」があり、年9800円を払えば製品の使い方などをマンツーマンで指導してもらえる予約制サービスも提供している。
客層は幅広い。取材で訪れた日はパソコンで動画を作成する方法を学びにきた76歳の女性も。「銀ブラ」のついでだったり、展示製品で周辺の情報を検索する観光客も少なくない。
店のデザインは基本的に世界共通だが、違う部分もある。他店にあるガラスのらせん階段がなく、代わりにシャトルと呼ぶガラス張りのエレベーターが置かれている。
実は苦肉の策で、空間の制約をクリアする必要があったためという。全体のデザインに溶け込むどころか、店の象徴的存在となっている。
このシャトルには行き先の階を指定するボタンがない。醜悪だとの理由で製品にボタンをつけたがらなかった創業者、故スティーブ・ジョブズ氏のデザイン哲学を思い起こさせる。
新型アイパッドが発売された3月16日、開店前に450人が長蛇の列を作った。先頭の若者は2日前の夜に並び始めたという。午前8時、販売が始まるとスタッフとハイタッチを交わしながら店内に導かれていく。新製品発売日のアップルストアでおなじみの光景だ。
ファンにとって、アップルストア銀座での新製品購入は聖地巡礼にも等しく、列に加わった男性は「ここで並んで買うことはお祭り。参加することに意義がある」と興奮気味に話す。2011年10月5日、ジョブズ氏が56歳で死去した時は、店舗の前に多くの花束が手向けられた。
「アップルストアは最高の購入体験とカスタマーサービスを提供している」。ティム・クック最高経営責任者(CEO)の自信は揺るがない。
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