2012年6月8日金曜日

■高句麗の城も万里の長城、中国が主張


高句麗の城も万里の長城、中国が主張
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/07/2012060700867.html
2012/06/07 09:56

 中国当局が世界的な文化遺産である万里の長城の総延長が2万キロを超えるとの調査結果を発表した。これは2009年に中国当局が発表した8851.8キロに比べ2倍以上長い。中国側の発表を受け、韓国の学者は「中国が現在の国境を基準に自国領土内にある城は全て万里の長城だと無理な主張を行っている」と批判した。

 6日付人民日報によると、中国国家文物局の童明康副局長は5日、北京の居庸関長城で行われた行事の席上、2007年から5年間、万里の長城に対する詳細な調査と測量を行った結果、長城の総延長が2万1196.8キロに達し、計4万3721カ所の遺跡が残っていることが判明したと発表した。今回の調査は、各省・市が域内にある長城とみられる遺跡を届け出て、専門家による調査班が現地調査を行い、長城に含まれるかどうかを認証する形式で進められた。

 万里の長城の長さは、2000年代半ばまで6000キロをやや上回る程度とされた。しかし、国家文物局は09年、万里の長城の東端がこれまで知られた河北省山海関ではなく、北朝鮮国境に近い鴨緑江河口の虎山山城だと認識を修正。総延長は8851.8キロだと主張。さらに今回は、2万1196.8キロだとの主張を展開した。

 09年当時、韓国の学識者の間では、中国が鴨緑江河口の遼寧省丹東市にある高句麗の泊灼城遺跡を明代に築かれた虎山山城だとみて、細かい考証なしに長城を復元したと抗議した。1998年に現地を訪問した徐吉洙(ソ・ギルス)西京大教授は「深さ11メートルを超える大型の井戸があったが、典型的な高句麗様式だった」と指摘している。中国当局が高句麗の山城まで勝手に万里の長城に含めたと批判した形だ。

 中国は今回、長城の東端、西端をいずれも延長した。東端は虎山の北東にある黒竜江省、吉林省にも大規模な長城遺跡が発見されたとした。西端はこれまで甘粛省の嘉峪関とされたが、新たに新疆ウイグル自治区でも長城の遺跡が発見されたと発表した。中国の統一王朝初期に当たる秦・漢時代に築かれた城壁が見つかったとの主張だ。

 東北アジア歴史財団のノ・ギシク歴史研究室長は「長城は基本的に漢族と非漢族、すなわち北方民族との境界として築かれたものだが、吉林省や黒竜江省まで長城を築いたとすれば、誰を阻むための城なのか疑問だ。高句麗、渤海、契丹、女真が築いた城まで全て万里の長城だと主張するのは合理性を欠く」と指摘した。

 中国による今回の発表は、中国の領土内に暮らす少数民族は全て中国人であり、彼らの歴史を全て中華民族の歴史に帰属させようとする「統一的多民族国家論」に基づくものとみられる。中国の古代史に詳しい金翰奎(キム・ハンギュ)西江大教授は「中国の歴史学が事実を確認する学問ではなく、現在の政治問題を解決する手段として活用される限り、こうした主張が相次ぐことになるだろう」と述べた。



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