2011年11月18日金曜日

■生活苦の影で急増する窃盗犯 /ソウル


生活苦の影で急増する窃盗犯/ソウル
低学歴・低所得・前科者などは仕事がなく窮地に
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/16/2011111601239.html
2011/11/16 12:35

2年前から犯罪件数が急増
 
 ソウル市江南区狎鴎亭洞の現代アパート(日本のマンションに相当)周辺では、最近になって空き巣が急増しており、パトカーが24時間体制で警戒に当たっている。

 同じ江南区大峙洞の銀馬アパートも同様だ。このマンションに住むイさん(30)は「下の階に泥棒が入ったという話を聞き、最近は家族全員が同時に外出しないよう心掛けている」と語る。警察や管理事務所が、空き巣への注意を呼び掛ける張り紙を掲示しているマンションもある。最近になって江南区のマンション密集地域をはじめ、周辺の蚕室、盤浦、汝矣島、木洞などの大規模マンション団地のある地域などで空き巣が急増している。もちろん漢江以北の住宅街も例外ではない。

 最近は単なる空き巣にとどまらず、富裕層を集中的に狙う大泥棒も出没している。今月1日にはソウル市城北区で、同区の邸宅が集まる地域でおよそ2億ウォン(約1400万円)相当の金品を盗んだとして、J容疑者(56)が警察に逮捕された。

■2009年から窃盗が急増

 ソウル地方警察庁によると、ソウル市内で発生した窃盗件数は2008年には2万8000件ほどだったが、翌09年には3万7189件、2010年には4万9410件に上るなど、09年以降急激に増加し、この傾向は今年に入っても続いているという。警察庁関係者は「正確な統計は年末ごろに発表される予定だが、今年の窃盗件数は5万件を上回る可能性もある」と語る。

 ここ数年の間に窃盗が急増した背景には、08年末のリーマン・ショックとそれに伴う景気の落ち込みがあるとみられている。ソウル市内のある警察署に勤務する警察官は「景気が落ち込むと窃盗が増加する。いわば生活のための犯罪という性格がある」と話す。

 このように窃盗犯罪が明らかに増加している一方で、検挙率は足踏み状態のため、治安に対する不安も高まっている。2009年の窃盗犯罪検挙率は72.0%だったが、昨年は53.4%と大幅に落ち込んだ。

 特に江南地域は再開発を控えた古いマンションが多く、これらは窃盗犯にとって格好の標的となっているようだ。団地内の防犯設備が老朽化している上に数も少なく、防犯上の死角地帯といっても良い状況にあるからだ。

 警察の関係者は「富裕層が多いにもかかわらず防犯体制が不十分な地域は、空き巣にとって特に狙いやすい」と指摘する。ガス管を伝って上り、江南の高級マンションに何度も空き巣に入って5800万ウォン(約396万円)相当の金品を盗んだ挙句、今月2日に逮捕されたK容疑者(73)の犯行などはその典型的なケースだ。

■スマートフォン窃盗犯も増加

 マンションや一般の住宅、商店などを狙った空き巣、駐車中の車からカーナビなどを盗み出す車上狙いなど、窃盗の手口もさまざまだ。今月11日には2人組の車上狙いが逮捕されたが、容疑者らは今年5月から3カ月にわたりソウル市蘆原区など江北地域のマンションの駐車場で、37台の車から900万ウォン(約61万4000円)相当の金品を盗んでいた。このほか、七つの鍵を使ってソウル市内の100軒以上の住宅にドアから堂々と侵入し、ここ2年間で2億5000万ウォン(約1710万円)相当の金品を盗んだ男(45)も14日に逮捕された。

 最近は高価なスマートフォンを狙った犯行も増えている。ソウル鍾路警察署は14日、今年6月からサウナなどで睡眠中の客のスマートフォンを盗み続けた窃盗犯や、乗客が車内に置き忘れたスマートフォンを売り払ったタクシー運転手など、60人を相次いで検挙した。警察によると、犯人は盗んだスマートフォンを中古業者などに1台当たり7万ウォン(約4800円)から20万ウォン(約1万4000円)で売却していた。

 京畿大学犯罪心理学科の李水晶(イ・スジョン)教授は「空き巣が増えるのは庶民の生活が苦しくなっているからだ。景気の落ち込みで前科者や低学歴・低所得層が仕事を失い、生活苦に追い込まれる状況にあることが原因といえるだろう」とコメントした。

クォン・スンジュン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版



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