2011年12月8日木曜日

■今、若い女性の理想の男性像は“フーテンの寅さん”


今、若い女性の理想の男性像は“フーテンの寅さん”
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111208-00000302-playboyz-soci
12月8日(木)13時58分 週プレNEWS

 こんなオシャレなファッション誌に、大きく「寅さん」の文字。しかも「かっこいい」「お手本」とまで。今、なぜ寅さんが女性の支持を受けているのか?

「私、生まれも育ちも葛飾柴又(かつしかしばまた)です。帝釈天(たいしゃくてん)で産湯(うぶゆ)をつかい、姓は車、名は寅次郎。人呼んで“フーテンの寅”と発(はっ)します」の口上でおなじみの寅さん。言わずもがな、1969年から1997年まで続いた『男はつらいよ』シリーズの主人公だが、実は今、この寅さんが若い女性の理想の男性像になっているという。

 たとえば、20~30代向けの女性ファッション誌『Domani』(小学館)は、今年9月号で「いつも心に『寅さん』を!」という特集を組んでいる。市民大学『丸の内朝大学』では11月から「寅さん学部」がスタートしたが、その受講者は20~30代の女性がほとんどだという。クリスマス真っ盛りの12月23、24日、WOWOWでは『寅さん女子短期大学』という「女子向けの恋愛指南番組」を放送、幸せな恋愛をつかむヒントなどを教えるという。

 フーテンとは今でいうところのフリーター。日本全国をフラフラして、出会ったマドンナに恋をしてはフラれる。すぐにカッとする江戸っ子で、妹のさくらや周囲の人とケンカばかり。こんな寅さんに、なぜ今どきの女性は憧れるのか? 『Domani』の井亀真紀編集長は、その理由を“カッコをつけないから”と言う。

「20~30代の女性に聞いてみると、皆さん“カッコつけてる男性ほどカッコ悪いものはない”と言うんです。カッコつけていると、話をしていても、お互いの距離が縮まらなくて何も始まらない。でも、最初にカッコ悪いところを見せられると“この人は私に本音を見せている”と安心して距離が縮められるんです。女性は、男性が思っている以上に男性のカッコ悪いところに惹かれるんですよ」

 また、映画評論家で愛知淑徳大学非常勤講師の吉村英夫氏は、3月11日の東日本大震災が寅さんブームに少なからず影響していると分析する。

「東日本大震災が起こったことによって、便利さだけを追求しても人は幸せになれない。それよりも、家族の絆や友人、コミュニティとのつながりのほうが重要だと若い人たちが気づいたんです。映画『男はつらいよ』の中でマドンナである葉子(松坂慶子)がこんなことを言っています。

『寅さんはね、電気ストーブの温かさではなくって、寒い日にかじかんだ手をお母さんがじっと握ってくれた時のような温かさなの』と。今の若者にとって本当に必要なものは、この心のつながりという“温かさ”だということです。その典型が寅さんなのです」

 今、被災地で上映希望の一番多い映画が、この『男はつらいよ』だという。寅さんの、カッコ悪いけど温かいところが、男性だけでなく若い女性の心も捉えているということだ。

「寂しさなんてのはなぁ、歩いてうちに風が吹き飛ばしてくれらぁ」(第44作『男はつらいよ 寅次郎の告白』より)

 確かに、こんな粋(いき)な言葉を言える男、今の時代にはいない。


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