【近ごろ都に流行るもの】進化カラオケ 絆と孤独…どこででも
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120416/ece1204160939002-n1.htm
2012.4.16 09:36
進化カラオケ 絆と孤独…どこででも
酒席の余興として生まれ、およそ40年。カラオケが進化し続けている。携帯端末につなげばどこでも歌える「スマカラ」が愛好者の交流を育む一方、ひとりカラオケ専門店「ワンカラ」がサラリーマン層などの新規“孤客”を開拓し、今夏までに都内に10店舗の出店攻勢をかけている。今の日本を象徴する「絆」と「孤独」の両面から、歌の持つ力が見直されている。(重松明子)
◇
iPad(アイパッド)やiPhone(アイフォーン)につなぐと、画面にカラオケ店同様の歌詞映像が流れる世界初の家庭用動画通信カラオケシステム「スマカラ」(参考価格9800円)は、昨年11月にサン・ホームエンターテインメントが発売。歌い放題で月額利用料1200円などと手ごろで、家電量販店を中心に計画比4倍の1万7千台が売れている。
今年1~2月、採点機能を生かして、ユーザー向けに「スマカラで100点取れたら100万円」プレゼント企画を行ったところ、三重県の工場に勤務する日系ブラジル人、久保ブルーノケンジさん(23)と北海道のパート主婦、和嶋美奈子さん(29)が100点を獲得した。楽譜通り完璧に歌わなければ取れない100点。「まさか複数出るとは。賞金を分けるよりも直接対戦の場を設け、予定通り100万円を贈りたい」(楮(かじい)修社長)として、このほど都内で開かれた決勝戦。花見舟で行う予定があいにくの風雨で、急遽(きゅうきょ)貸し会議室に移動。図らずも「どこでも」特性が生かされた。
優勝した和嶋さんは、誕生日に夫からiPadとスマカラをセットで贈られたそうだ。「自宅で5時間連続、のどがかれるまで歌うことも。カラオケボックスのように時間を気にしなくていいのがありがたい」。惜しくも敗れた久保さんは、在日ラテンアメリカ人向けのど自慢で優勝経験もある猛者だ。「上達するには練習あるのみ。いつでも歌える環境を家族と楽しんでいます」
東京都千代田区に昨年11月にオープンした、ひとりカラオケ専門店「ワンカラ」神田駅前店にも訪れてみた。
1畳ほどの個室が24室並び、平日の午後2時過ぎだが17室埋まっていた。「平日でも昼間から満室になる日もある。8割が近隣サラリーマンで、過半数がリピーターです」と展開するコシダカ首都圏事業本部の矢野斉(ひとし)さん。昨年のクリスマスイブは1時間待ちもでる盛況。一緒に来店して別々の部屋に入るカップルなど想定外の需要も掘り起こし、今月27日に高田馬場、来月には池袋にも開店予定。「8月までに山手線沿線を中心に10店舗は出したい」と勢いづく。
神田駅前店の料金は正午~午後5時までが1時間600円でソフトドリンク飲み放題。外回り中の休憩にも使われているらしい。東京都武蔵野市のフリーター男性(22)に話を聞くと「発音が悪くて人前で歌えない洋楽を思い切り歌った。友人とのカラオケは空気を読んで、みんなが知っている歌を選ばなくてはいけないけど、1人なら自由。どちらもありだと思う」。
酒も販売しているが、飲酒する人は少ない。バッティングセンターやゴルフ練習場のような感覚だろうか。「本気で歌いに来る場所ですね」と矢野さん。
私も、曲を選んでマイクに向かう。イントロとともにこみあげてきたのは気恥ずかしさだ。酔わずに歌うなんてできないタチだが、次第に隔絶された狭小空間に慣れ、歌の世界にどっぷり漬かっていた。昭和歌謡の詞の深さに胸をつかれて涙。予想外のカタルシス…。
店を出て再び雑踏にまぎれるとスッキリしていた。ストレス解消に気分転換、暇つぶし、歌唱力向上などなど、客の目的も“効能”も十人十色だろう。進化カラオケで、歌の持つ原始的な力を体感した次第である。
0 件のコメント:
コメントを投稿