2012年4月13日金曜日

■iPadに「NO」日本 教育のデジタル化に慎重姿勢


iPadに「NO」日本 教育のデジタル化に慎重姿勢
http://j.people.com.cn/94476/7781387.html
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年4月10日

 デジタルテクノロジーが高度な発展を遂げたビジネス国家として、日本のIT業界は近年、教育のデジタル化に力を注いでいる。2010年、日本の携帯電話大手ソフトバンクモバイルの社長と日本マイクロソフトの社長らは共同で「デジタル教科書教材協議会(DiTT)」を設立した。協議会が掲げる目標は、全ての小中学生がデジタル教科書・教材を持つ環境を整えることで、そのための試験的実施や普及・PR活動などを行なう。同年、日本の文部科学省は「学校教育の情報化に関する懇談会」を開始し、最先端の情報通信技術(ICT)を最大限活用できるような電子教材の授業への導入についての専門的研究を始めた。総務省も「フューチャースクール推進事業」を立ち上げ、日本国内にモデル小学校を10校選定し、タブレットPC・無線LAN・電子黒板などのデジタル製品を整備し、これらの最新の科学技術を利用した授業を進めるよう指導し、その効果を実証する。

 iPadが世に出た2010年、日本には再び教育のデジタル化ブームが巻き起こった。通信・ソフトウェア・コンピューター企業を筆頭に、大学の教授や出版社なども賛同し、電子黒板、デジタル教材などの普及を目指す様々な協会が立ち上がった。日本政府の各部門も授業での最先端の情報通信技術の普及を始め、教育の効果向上や小中学生の情報時代に適応できる能力の向上を目指している。

 日本においてデジタル教育の推進派は多くのメリットを主張している。例えば、「視野が広がる。子どもの学ぶことへの好奇心を高める。重い教科書を持ち歩く必要がない」など。日本「デジタル教科書教材協議会」の責任者が講演でよく取り上げる例は、「150年前の医者が現代の病院にタイムスリップしたら、現代の医療設備や治療方法の変化に驚くだろう。我々のオフィスも昔とは比べものにならないほど大きな変化を遂げている。しかし、現代の教室は100年前と大して変わっていない。同じような机、黒板、教科書にノート。昔、学校には子どもの好奇心をそそるようなピアノや顕微鏡などが置いてあった。これらのものは、昔は学校でしか触れるチャンスがなかったものだ。しかし今、iPadのような最先端のデジタル製品に触れられるのは家であって、もはや学校ではないのだ」。

 文部科学省の「学校教育の情報化に関する懇談会」の昨年の報告書では、教育のデジタル化の必要性が強調されていた。「21世紀の知識社会では広大な知識と柔軟性のある考え方に基づいて、新たな知識や価値観を生み出す能力を持った人材が求められている。子どもの情報利用の能力を養い、情報通信技術を通して、それぞれの子どもの能力や個性にあった『個別学習』や、子供たちがお互いに学び合える『協同学習』を作り出す必要がある」。報告書では「21世紀の青少年を育む為に、従来の教育方法のレベルアップをするべきであり、情報通信技術によってレベルアップの実現が可能となる」とし、「今の時代の子どもは小さい頃から、様々な情報端末に接する事ができる環境で成長していく。このようなデジタル時代の子どもの電子・デジタル技術に対する適応能力は想像以上である。その事実を出発点として、今後の教育の展開を考えていくべきである」と指摘している。

基礎教育関連部門 冷静さ呼びかけ

 企業と政府が積極的に奮闘する中、日本の小中学校の教育のデジタル化はどこまで進んでいるのだろうか。基礎教育の管轄部門はこの現象をどのように捉えているのだろうか。東京都品川区の自治体・区の教育委員会事務局課長・和気正典氏にインタビューを行なった。和気課長は記者の予想外の答えを口にした。

 品川区は東京の中心の沿岸地帯に位置し、東京で最も先進的な教育条件を有しているとまではいかないものの、東京の平均的なレベルを代表する地域である。品川区の小中学校教育のデジタル化のレベルは、小学校には20台、中学校には40台のパソコンが置かれたコンピュータールームを少なくとも1つ完備していること。これは小中学校のクラスの上限人数がそれぞれ20人と40人だからである。現在、一部の小学校で実験的に電子黒板などの製品が導入されているが、タブレットPCやiPadが授業に導入されるにはまだまだ程遠いようだ。それでも、和気課長は教育のデジタル化が早すぎると感じている。実施の過程において、機械や設備などのハードウェアの導入を重視するあまり、ソフトウェアの構築を忘れがちであると指摘する和気課長は、「どの学校にもコンピュータールームはあるものの、その使用率は、特に小学校では極めて低い。使用頻度が少なすぎて、口に出すのも恥ずかしいくらいである」と明かした。

 和気課長は「現代の社会では教育のデジタル化理論が流行しており、企業は必死に学校に最新の製品をPRする。政府の各部門も教育での最新の情報通信技術を使用することの重要性を積極的に強調している。しかし、教育のデジタル化の全面的な普及にはまだ問題が山積みである。まず、脳科学や心理学的な観点から教育のデジタル化に対しての総合的な研究が行なわれていない。このような新たな教育方法が青少年の心身の成長と学習能力にどのような影響を及ぼすかについての分析が行なわれていないのだ。先生が電子黒板を利用して授業を行なう際、生徒が積極的に参加しているように見える。生徒は皆、興味津々に電子黒板を見つめるため、先生は生徒が全員理解したと勘違いしてしまうこともある。また、教育のデジタル化を全面的に推し進める場合、教育大網そのものの改正を行い、教師一人一人に対し、再度指導を行なう必要もある。現状ではそれが難しい。パソコンやネットワークに比較的関心が高い先生がいる学校で、仮に新たな教育方式を導入した場合でも、その先生が学校を離れれば、全ては元に戻ってしまう」と説明した。

 品川区は2000年には早くも、小中学校のデジタル化プロジェクトを開始している。全ての学校にコンピュータールームを設置し、先生には1人1台パソコンを与えた。しかし近年、電子化とデジタル化の大きな波が学校にどんどん押し寄せる中、教育委員会は情報化の歩みを止め、反省を始めた。

 2010年、品川区教育委員会は、授業での情報通信技術の合理的な使用についての研究を行なう特別委員会を設置した。その委員会の責任者として、和気課長は、「現在のデジタル化の流れについていけないと感じている先生方が多い。一つにデジタル教育の効果が権威的な学術論文によって証明されていないこと。二つ目にデジタル化に対応する準備をしていない先生が大半であるため、企業が積極的に品川区の学校にiPadを贈呈しようとしても、教育委員会は断らざるを得ない。もちろん、費用も考慮しなくてはいけない点である。ハードウェアは無料でも、その後の維持費はバカにできないものだ。義務教育であるため、学校としても勝手に新しいデジタル教材を導入しておきながら、保護者にその費用を徴収することはできない。もし今後、政府がタブレットPCやiPadを利用して教育を行なうことを求めるのなら、国がそれ相応の財政補助金を出すべきである」と述べた。

 iPadの導入はいつ頃になるかとの質問に対し、和気課長は「教育委員会はまだ如何なる計画も立てていない。今後、学校が試験的に実施して、確実に効果を実感し、導入への要求を出せば、教育委員会も導入を考えるだろう」と答えた。「企業は毎日のように新製品を学校に売り込みに来るが、今はまだ断ることしかできない。学校側が主動して企業に具体的な機能を持つ製品の開発を提案できた時、初めて学校は真に新製品を導入する能力を持ったと言えるだろう」。和気課長は人々に教育のデジタル化の流れを慎重に受け止め、子どもに何を学ばせたいかを冷静に考える必要があると呼びかけた。「もし青少年が最も基本的な知識や能力でさえも、パソコンやネットワークなどのデジタル端末に依存するようになってしまったら、本末転倒な結果を招くことになる」と指摘した。



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