2012年1月18日水曜日

■【専欄】歓迎されない大陸の旅行者も…香港に「一国両制」の試練続く


【専欄】歓迎されない大陸の旅行者も…香港に「一国両制」の試練続く
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120110/mcb1201100502010-n1.htm
2012.1.10 05:00

 昨年、香港を訪れた旅行者は4200万人に達した。前年比10%増であるが、うち大陸からの旅行者は、前年比24%増の2810万人、全体の67%に及んでいる。これまでの「6割」から「7割」に迫る勢いである。

 香港は今や、シーズンを問わず、大陸からの旅行者でにぎわっており、その旅行者の消費が香港の景気を支えている。

 2810万人のうち、日帰り旅行者は1480万人、宿泊旅行者が1330万人であり、日帰り旅行者が宿泊旅行者を初めて上回った。この背景には、香港のホテルの供給不足と料金の高騰がある。
 最近では、香港に隣接する深センや他の広東省内の都市に泊まり、香港での観光や買い物を楽しむ、という傾向が顕著になっている。大陸からの旅行者に限らず、日本の団体旅行者もそのようにしているケースがあるという。

 それでも、大陸旅行者の香港での1人当たり消費金額は高く、日帰り組で2300香港ドル(約2万3000円)、宿泊組は8000香港ドルにも達する。金額の割には、買い物の内容は、シャンプー、ミルクなどと日常生活用品も多く、ブランド品ばかりではない。しかし、この消費力は日本からの旅行者の2倍以上である。香港社会が大陸旅行者の言動に眉をひそめながらも、歓迎するのは、この消費力のためである。

 他方で、香港にとって必ずしも歓迎されていない大陸からの訪問者もいる。それは、妊婦である。これまでも大陸からの妊婦が香港の公立病院を席巻していることに対して、規制が行われてきたが、それでも、昨年の場合、前年比2倍の1656件が「緊急処置ケース」として、公立病院に担ぎ込まれ、出産を行っている。

 出入国管理サイドでも、「出産予約証明」(出産予定日から28週目に入った妊婦の香港での病院証明書)を持たない妊婦は入国を拒否するなど、「水際対策」を行っているが、それでも、後を絶たない。本来、香港人のための公立病院が大陸妊婦によって席巻されている問題については、次期行政長官の政策課題ともなっている。

 大陸の妊婦いわく、「中国人が『一国』」の病院を利用して何が問題なの?」。「一国」とはいうまでもなく「一国両制」(中国という一つの国に、社会主義と資本主義が共存する制度)の「一国」だ。つまり、香港も中国の一部、同じ国ではないか、ということだ。「一国両制」の試練が続く。



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