【コラム】料金値上げに怒るタクシー運転手
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2013/03/10 09:00
「今度タクシー料金が少し上がるから、暮らしが良くなりそうですね」
この言葉がそれほど相手を怒らせることになるとは思わなかった。真夜中12時を過ぎて自宅に帰るとき、タクシー運転手が、生活が厳しいと愚痴をこぼすので、このように「慰めた」つもりが、むしろ怒らせてしまったのだ。運転手の愚痴はソウル市内から光化門と高速道路を経て城南市盆唐の家に到着するころまで続いた。最初は適当に相づちを打っていたが、この際全て聞いてみようと決心した。
運転手の話を要約すると次のようになる。「料金が上がれば個人タクシーはいいだろうが、われわれのような法人タクシーは負担が増える。料金が上がると客足は遠のく。しかし社納金は引き上げられる。いったいソウル市はなぜこんな無駄なことをしているのか。これは結局タクシー会社からの政治資金を受け取ろうという取引ではないのか」。身の上の嘆きを陰謀論に置き換えていた。運転手は「タクシーの基本料金を5000ウォン(約430円)まで上げるという話が出ているが、そんなことになればタクシー運転手は刃物を持って強盗をした方がましだ」と話した。
タクシー料金が上がれば、不安が消えるだろうという考えは誤解だった。運転手はこんなことも言った。「暮らしが厳しい、生きていけないと不平を漏らすが、最近は車のない家などほとんどないじゃないか。料金値上げは庶民の生活を苦しくし、タクシー運転手も殺すことになる」。運転手はまるで声明書を書くかのように話を続けた。
先日、元公務員の方に会い、初めて知った事実がある。勲章や褒章を受けた人は、一定期間無事故の経歴を維持すればタクシーの個人免許を申請できるという。その方も以前、個人タクシーの免許を受け取ったという。1980年代の終わりごろ、ソウル市の国政監査で、4人に1人がこのようにして個人免許を手に入れたという事実が公表された。軍事政権時代には軍出身者も同じような形で免許を取得し、免許を取るために褒章を受章しようとする人も相次いだという。しかしこれは個人タクシーで金もうけができた時代の話だ。現在のタクシー事情はあまりにも大きく変化してしまった。
「ノーベル大衆交通賞」があったならば、韓国も受賞を逃さないだろう。1000ウォン(約86円)あれば、バスや地下鉄に乗ってどこへでもすぐに行くことができる。タクシーに乗らなければならないことはあまりない。このような革新はタクシーの需要と供給に多大なずれを生じさせた。現在韓国のタクシーは約25万台、個人タクシーと法人タクシーの割合が6対4だ。つまり15万台が個人タクシー、10万台が法人タクシーだ。このうち問題となるのが法人タクシーだ。タクシー運転手の基本給はおよそ70万ウォン(約6万円)で、平均収入は1カ月130万ウォン(約11万2000円)であることが調査の結果明らかになった。基本給は1日7時間労働を基準としている。ところがその時間働いただけでは、逆に社納金を準備するために家の金を持ち出さなければならない状況だ。
ところがおかしな点がある。「営業用タクシー権」を個人同士で売買する場合7000万ウォン(約600万円)、会社同士で売買する場合は4500万ウォン(約390万円)という相場が形成されているという。計算が合わない。韓国の法人タクシーの運転手が全て「先天性の不平不満患者」でなければ、なぜタクシーの営業権は高いのに、タクシー運転手の暮らしは厳しいと愚痴をこぼすのだろうか。タクシー運転手は非常にけちな一例も話してくれた。政府がガソリン代補助金としてタクシーのガソリン代を1リットル当たり約220ウォン(約19円)補助してくれるが、タクシー会社がこのうちの一部を着服しているケースもあるという。
政策が全ての人を満足させることはできない。しかしタクシー運転手の40%に当たる法人タクシーの運転手たちが「(タクシー料金を)引き上げれば、今以上に厳しくなる」と言っているのに「彼らはもともとそういう人たちだ」と突っぱねて政策を押し通そうとするのは、政治家の取るべき態度ではない。半数の人に利益があるとしても、残りの半数が「死にそうだ」というのなら、他の方法を探すべきだ。なぜ市民たちは昼夜問わず「怒りのタクシー」に乗らなければならないのか。ソウル市や釜山市ではなく、国が調整に乗り出してほしい。
朴垠柱(パク・ウンジュ)文化部長
朝鮮日報
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