2013年1月16日水曜日

■米家庭内労働者の知られざる実態 現代の「奴隷制」か、低賃金に虐待も


米家庭内労働者の知られざる実態 現代の「奴隷制」か、低賃金に虐待も
http://www.cnn.co.jp/usa/35025819.html?google_editors_picks=true
2013.01.13 Sun posted at 18:02 JST


低賃金や虐待など、初調査によって米国内の家庭内労働者の実態が明らかに

(CNN) フィリピン出身のアンナさんは、大手企業の幹部家族が住む米ニューヨーク・マンハッタンの5番街に面した賃貸マンションで、子どもの養育もする家政婦として週7日、朝6時から夜10時まで住み込みで働いていた。多くの家事をこなし、15カ月の間1日の休みもなく、夜は子どもたちのベッドの間の床で寝る生活だった。アンナさんは、母国フィリピンで教師としての教育を受けていたため雇われたのだが、時給は1.27ドル(約100円)に過ぎなかった。

先ごろ発表された米国の家庭内労働者に関するリポート「家庭経済学」によると、アンナさんの話は珍しいケースではない。ベビーシッターや家政婦、介護人といった家庭内労働者は、多くの米国人の生活に不可欠で米国経済にとっても重要な役割を担っている。しかし、その実態はあまり知られておらず、賃金や社会保障は不十分で、虐待されることさえ珍しくないという。

同リポートでは、全米14の大都市で働く71カ国・2086人の家庭内労働者をインタビューしている。この種の調査としては初めての試みで、様々な実情が明らかになった。

米国の家庭内労働者は、その大半が女性で、アフリカ系(黒人)やヒスパニック(中南米系)の少数派(マイノリティー)であり、人種や性別で職業が分かれる奴隷制の伝統を引きずっている。最近では移民の割合も増えている。

リポートの共著者の1人でシカゴのイリノイ大のニック・セオドア准教授は、女性の労働が不当に低く評価されていると指摘する。

家庭内労働は、密室での労働で孤立しがちで、労働政策による保護も受けられない。また、雇用契約さえない場合もあり、雇い主の気まぐれに左右されやすい。セオドア准教授は、過酷な作業を強いられる現代の奴隷制みたいなケースもあると懸念を示す。


米国の家庭内労働者は、国勢調査によると過去数年で72万6437人にまで増加しているが、リポートは実際の数字はこれよりもはるかに多いだろうと指摘している。

超富裕層家庭で働いている労働者もいるが、その多くは、雑用をこなす人間を雇うのには十分な経済力がある、多忙な幹部職・専門職の中流家庭で働いている。また、より低所得の高齢者家庭で掃除や介助の仕事をする人もいる。

家庭内労働者の家族の生活は苦しく、その60%は、収入の半分以上を家賃や住宅ローンの支払いに費やしており、20%の人は、過去1カ月の間に家に食料が全くない時期があったとインタビューで答えている。

家庭内労働者には、最低賃金や残業、傷病・有給休暇などを定めている労働関連法は適用されず、その23%は得ている給料が各州別の最低賃金を下回る。住み込みの家庭内労働者に至っては67%が最低賃金未満で働いている。

リポートによれば、住み込みの場合は住み込みでない場合よりも総じて受け取る賃金が少ない。時給の中間値は、子育ても担う家政婦では、住み込みでない場合が11.55ドル、住み込みでは6.76ドルとなっている。介護職では、住み込みでない場合が10ドルで、住込みでは7.69ドルとなっている。

家庭内労働者の65%は健康保険に未加入で、社会保険料を負担している雇い主は9%に満たない。


リポートは、雇用や労働関連の法律が家庭内労働者を対象としていない状況の改善を提唱している。

イリノイ大のセオドア准教授は、家政婦や介護人なども、最低賃金を得られるようにすべきだし、福祉手当ても受けられなければならないと指摘。安全で健全な労働環境が必要だと語る。

セオドア准教授は、今回のリポートを通じ、米国内での家庭内労働者の虐待の深刻な状況に驚いたと語る。准教授によれば、雇い主にナイフを突き付けられたとインタビューで語った女性もいたという。

家庭内労働者の問題は外国での出来事だと考える人がほとんどだろうが、移民政策や経済政策にもかかわる問題である。セオドア准教授は、社会が子どもや高齢者をどのように世話するのかという問題にも影響することだと付け加えた。



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