2011年10月26日水曜日

■羽田国際化1年 「24時間」看板倒れ 成田と一体運用 ハブ化に課題


 羽田国際化1年 「24時間」看板倒れ 成田と一体運用 ハブ化に課題
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111020-00000012-fsi-bus_all
10月21日(金)8時15分配信フジサンケイ ビジネスアイ

 羽田空港が本格的な国際空港に生まれ変わって21日で丸1年を迎える。旅客の利用は好調で拡張整備も進められているが、アジアの拠点(ハブ)空港として機能している韓国やシンガポールなどの国際空港との差は縮まっていない。未明から早朝にかけて利用できる公共交通機関がなく、「24時間運用」が看板倒れの状況にあるなど、目標とするハブ化への道のりは遠い。

 ◆成長の原動力期待

 「週末になると韓国に向かう観光客でいっぱいになる」。大手旅行会社の社員は、新国際線ターミナルビルのフロアにあふれた旅行客を見るたびに、羽田が「日本の空の玄関口」の一つになったと実感するという。

 昨年10月21日に4本目の滑走路とターミナルの供用が始まった後、国際線の利用客は順調に推移している。都心とのアクセスがよく、国内線との乗り継ぎもしやすいことから、法務省東京入国管理局によると、10月に約27万4000人だった羽田の出入国者数は11月に約55万9000人に倍増。東日本大震災で一時的に落ち込んだものの、その後も月50万人前後をキープしている。

 政府は昨年6月の新成長戦略で、羽田と成田空港を国際ハブ空港として一体的に運用する方針を打ち出した。羽田はビジネス需要を狙う一方、成田は格安航空会社(LCC)の受け入れなどで観光需要を掘り起こし、海外から「ヒト・モノ・カネ」を呼び込む戦略だ。羽田に対し前田武志国土交通相は「成長戦略の原動力としての役割を果たしてほしい」と期待を寄せる。

 羽田の国際化後、国内大手航空各社は新たな営業戦略を打ち出した。全日本空輸は、世界で初就航する最新鋭旅客機「B787」の運航を11月から羽田-広島線などで始め、来年1月には羽田-独フランクフルト線に投入する。羽田と地方空港を結ぶ国内線のネットワークを生かし、国内外のビジネス客だけでなく地方から海外旅行に向かう乗り継ぎ需要の喚起を目指す。

 日本航空も羽田発着の国際線で「8、9月は利用率が9割を超える路線が多かった」(大西賢社長)といい、近距離のアジア便や深夜・早朝の中長距離のビジネス便の強化を進める。

 ◆早朝アクセス不便

 もっとも、羽田はハブ空港としての魅力は乏しい。シンガポールのチャンギ国際空港は100以上の免税店や飲食店、映画館のほか、終日稼働の郵便局も完備。乗り継ぎ客は無料で市内観光にも参加できる「アミューズメント施設」だ。また、仁川空港(韓国)は日本の地方空港との間を結ぶ直行便も多く、仁川経由で海外を旅行する日本人は年間80万人近くにのぼる。

 24時間利用できる羽田は深夜・早朝帯にも国際便が飛ぶものの、利便性はよくない。早朝に羽田を出発して米デトロイトに向かう米デルタ航空の路線は、公共交通機関が動いていないため空港の近隣で前泊が必要になる不便さもあり、9月から運休。米アメリカン航空も羽田-米ニューヨーク線の運航を見合わせた。高すぎる着陸料や通関手続きの煩雑さも障壁だ。

 国交省は今後、羽田と成田を一体化した首都圏空港として能力の増強を図る。13年度に国際線発着枠が現在の年6万回から9万回に増える羽田では、国際線ターミナルの新棟を建設。成田では14年夏をめどにLCC専用ターミナルを設け、ビジネス機の受け入れを拡大する。

 早稲田大学の戸崎肇教授は、成田と羽田を結ぶ交通手段の利便性向上も課題に挙げ、「両空港が一体運用されれば仁川やチャンギと肩を並べられる」と指摘している。



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