2011年10月20日木曜日
■関空「格安の翼」 アジアへ攻勢 専用ターミナル起工式
関空「格安の翼」 アジアへ攻勢 専用ターミナル起工式http://news.infoseek.co.jp/article/sankein_snk20111019118
2011年10月19日15時09分 (産経新聞)
◆着陸料無料…コスト増不安視も
関西国際空港活性化の起爆剤として期待される国内初の格安航空(LCC)専用旅客ターミナルの起工式が19日、2期島で開かれた。東日本大震災の影響で外国人観光客らが減少する逆風下、アジア空港間の競争に勝ち残るのが狙いだが、LCC誘致は旅客数の拡大につながる一方、着陸料を実質無料化することによるコスト増といったマイナス面も伴う“もろ刃の剣”。大阪(伊丹)空港との経営統合まで9カ月と迫るなか、お膝元の自治体では「期待」と「不安」が交錯する。(宇野貴文、藤原由梨)
◆成功に自信
「日本初のLCC専用ターミナル。関空会社の成長戦略として今後もLCCを強化し、これまでにない低運賃で新たな需要の創出を目指す」-。起工式に出席した関空会社の福島伸一社長は、LCCターミナルの成功に自信を示した。
建物は平屋建て延べ3万平方メートルで来年度下期の完成を目指す。免税店や飲食店は設けるが、ボーディングブリッジ(搭乗橋)はなく、利用客は建物から徒歩でタラップに向かうなど簡素化を図り、建設費を約30億円に抑えた。
関空会社の幹部は「日本の空の歴史を塗り替える、新しいビジネスモデルになる」と感慨深げだ。
◆2年後に400万人
関空にとって長らく懸案事項であり、平成19年に滑走路と誘導路などの供用を開始した2期島。4千メートル滑走路は国内最長だが、国内線利用客の伸び悩みなどから全面竣工(しゅんこう)には至っていない。
しかし、世界的なLCCの躍進を背景に、今年に入って全日空などが関空を拠点に日本初のLCC「ピーチ・アビエーション」を設立し、来年3~5月に福岡と新千歳、韓国・仁川に就航する。また関空では、すでに豪ジェットスター航空など5社のLCCが乗り入れており、国内最多となっている。
こうした動きを受け、関空会社は今年5月、2期島起死回生の策としてLCCターミナル建設を表明。関係者は「大阪空港に利用客が流れている国内線の立て直しや、アジアからの旅行客増が見込める」と大きな期待を寄せる。
1期島の年間ターミナル利用者が約1400万人(22年度)の中、ピーチが航空機10機態勢で就航する2年後は、2期島だけで約400万人が利用すると試算されている。
◆2期島推進を
ただ、ターミナル建設で関空の未来が開けたと考えるのは早計だ。約1兆3千億円に上る有利子負債を抱える関空は、アジアの主要空港よりも着陸料が数倍高い状態で、立場は極めて不利。関空の旅客便に占めるLCCの割合は約8%にすぎず、旅客数全件の約2割がLCCのシンガポール・チャンギ空港との差は歴然だ。関空は国際線の新規就航で1年目の着陸料を実質無料とするサービスを開始。しかし、この誘致策は同時に関空の収益を圧迫するもので、成否が注目される。
一方、施設の建設場所は大阪府田尻町域で、同町は固定資産税として24年度から約1億円、25年度からさらに約1億円の増収を見込む。町担当者は「町にとって大きなプラス」と歓迎するが、ビル完成後も2期島で供用される土地は約290ヘクタールと約5割にとどまっており、同府泉佐野市は「未整備の2期島の他の部分も、早く利用法を決めてほしい」としている。
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