2011年10月19日水曜日

■秋祭りの餅まき異変 丹波でパンまき広がる


秋祭りの餅まき異変 丹波でパンまき広がる
http://eonet.jp/news/kansai/kobe/article.cgi?id=11876
10月19日 11:05神戸新聞社 ,

 秋祭りの行事として受け継がれる風習「餅まき」に異変が起こっている。丹波地域の一部で、餅に代わってまかれるのは大量のあんパンやジャムパンだ。もち米を育てたり、餅をついたりするのが手間、のどに詰まらせると危ない‐などパンに代わった理由はさまざまだが、地域行事の担い手の世代交代も背景にあるようだ。

 丹波市山南町谷川の熊野神社。秋祭りがあった今月7日、氏子たちが供え物にするパンを風呂敷に詰めて集まってきた。祭壇に集められたのは約1千個。粛々と進んだ神事は“パンまき”で一変し、約80人の老若男女が「こっちに投げて」と歓声を響かせた。

 この地区では神社の多くでパンがまかれる。食料品店を営む男性(53)によると15年ほど前からという。当初はあんパンが主流だったが、ジャムやクリーム、メロンパンまで加わった。

 周辺19神社で神事を執り行う田中史夫宮司(59)は「農家が減り、杵や臼が姿を消す中で、代わりに考え出されたのがパンだったのでは」と話す。

 同市春日町鹿場の大武神社では、餅もまくがパンの方が多い。地元の男性(72)は「農家以外の氏子がパンを持ち寄ったのが始まりだった」と振り返る。

 そのほか、「パンは餅より安くてかさが高く、供え物として豪華に見える」「固い餅が子どもに当たったり、お年寄りがのどに詰まらせたりすると危ない」などの声も聞かれる。

 一方で、“揺り戻し”現象も。同市春日町下三井庄の主婦(58)によると、同地区の一ノ宮神社もパンが多かったが最近、餅が増えたという。「今は餅を自宅でつかない人が増えたので、かえって喜ばれる」

 県内の伝統文化に詳しい民俗芸能学会評議員の久下隆史さん(62)=篠山市=は「神事や伝統に対する畏敬の念は変わらないが、戦後生まれの60代が祭りの中心になり、意識の変化が出てきているのかもしれない」と話している。


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