2011年10月26日水曜日

■九州観光、外国人足踏み 震災後復調も円高で一転


九州観光、外国人足踏み 震災後復調も円高で一転
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/269787
2011年10月23日 10:04 福岡

 歴史的な円高が九州観光に影を落としている。東日本大震災や福島第1原発事故直後に韓国人客が激減した福岡-韓国・釜山の高速船や航空会社は夏場以降は持ち直し、中国人などを乗せたクルーズ船の寄港も平常に戻った。ただ、超円高が客足の回復にブレーキをかけ、訪れた観光客の財布のひもも固くしている。

 21日午前、福岡市の博多港国際ターミナルは、にぎやかなハングルが飛び交っていた。「九州は福島から離れているから放射能は心配していないが、今は物価が高すぎる」。これから同市・天神へ買い物に繰り出すという韓国人の女性(26)は苦笑した。

 欧米経済の減速懸念などを背景に、7月中旬以降は円が1ドル=70円台後半で推移。10月21日までに3回にわたって戦後最高値を更新した。

 博多-釜山で高速船「ビートル」を運航するJR九州高速船(福岡市)によると、韓国人客は4月に前年同月の3割以下に激減したが、8月は7割強まで改善。ところが、9月は約6割と再び下落幅が広がった。担当者は「今は原発事故より円高の影響が大きい」と分析する。

 福岡-釜山を1日1往復する航空会社エアプサン(釜山)は6割以上を占めた韓国人客の割合が、震災で一時2割まで落ちたが、9月には5割程度まで戻った。

 買い物目当ての中国人が乗客の大半を占める外国クルーズ船は震災直後はキャンセルが相次いだが、8月後半にはほぼ正常化。福岡市の百貨店・岩田屋では9月、外国人の買い物件数が前年並みに回復。ブランド品などの高級品が人気で、購入額は前年の1・7倍に上った。「放射能を心配してか、首都圏を避けて福岡に買い物に来る外国人が増えている」と同店。

 ただ、各地の観光施設は震災や原発事故の影響がなお尾を引き、円高がさらに重くのしかかる。
 韓国人ゴルフ客を誘致しているグリーンランドリゾート(熊本県荒尾市)は10月に入っても韓国人客が前年の1割以下。別府温泉(大分県別府市)の杉乃井ホテルも「東日本への旅行を避ける傾向で国内客は増えたが、外国人は前年の3割程度」という。

 大型リゾート施設・ハウステンボス(長崎県佐世保市)は9月になっても外国人客が前年の4割程度と低迷したまま。特に韓国人が戻っておらず、担当者は「円高で旅費が減り、福岡の外に足を延ばさなくなっているようだ」とこぼす。

 九州観光の安全性や魅力の情報発信に力を入れる九州観光推進機構(福岡市)は「メディア招待ツアーなどPR事業の効果もあって状況は好転している」と強調。外国人観光客数を本年度中に前年度並みに回復させる目標を掲げるが、円高が収まらない限り本格回復は見通せそうにない。



0 件のコメント:

コメントを投稿